2007/10/11  23:11

もう一つの日本文化(浦川太八さんのマキリづくり2)   文化・芸術

 9月11日のブログで、「(財)アイヌ文化振興・研究推進機構」の「アイヌ生活文化再現マニュアル」でのマキリ(小刀)やタシロ(山刀)の製作方法について、浦川太八さんが批判的だということを書いた。

 若干説明不足のことがあった。
 浦川さんの真意が説明されていないので補足説明を行う。

 浦川さんは、アイヌ文化全体に対し伝統を重んじている。
 その守るべきアイヌの伝統に反したことを、アイヌ文化を振興すべき「(財)アイヌ文化振興・研究推進機構」が行っていることに怒っているということだ。

 さきのマキリ、タシロの製作方法について、浦川さんが最も問題だといっているのは、鞘づくりの部分である。
 『刃を収納する部分を2枚の板に均等に掘り込む、具体的には、刃を当てて、その大きさに合わせる、ということで、その刃に合わせた鞘ができあがる。』

 浦川さんの怒り(問題提起)は、このようなつ鞘づくりをアイヌは行ってきていない、ということだ。

 浦川さんにいわせると、次のようになる。
 アイヌは、道具(もの)を使い捨てにしない。
 アイヌは規格品の刃物を使っていたわけでない。
 手に入った刃物を上手に利用して使っていた。

 刃は、使っているうちに磨り減る。
 (使って、刃こぼれして、切れなくなって砥ぐ。そうして磨り減る。)
 *骨董品屋などでは、刃が小さくなったマキリを見ることができる。

 そうやって使って、大きな刃が小さくなると、刃を交換して使用する。
 小さくなった刃は、もっと小さなマキリに移し替えて使用する。

 アイヌは、そうやって刃が不都合になると刃を付け替える。鞘や柄が壊れると、鞘や柄を作り直して使う。
 いわばリサイクルして使う。それが当たり前、普通の使い方ということだ。
 真に合理的である。

 (財)アイヌ文化振興・研究推進機構が紹介しているマキリ、タシロの鞘づくりでは、そういった使い方はできない。

 では、浦川さんはどのように鞘を作っているか。
 刃の交換の融通性があるよう、刃の収まる場所は大きめに作る。
 また、鞘の先端等には、水抜き、または空気が入る穴や切り込みがあることが多い。この方が、刃の乾燥にもよく錆止めの効果もあるとのこと。

 具体的な鞘の作り方は、2通りある。
 1つは、鞘になる木(木材)が正目だった場合は、2つに割って、内側を刳り抜いて使う。
 貼り合わせは、鮭の皮を煮込んだ膠を使い、桜の皮などを巻いて補強する。

 もう1つは、鞘になる木(木材)が正目でない場合、内側を刳り抜いて使う。
 刳り抜くにもドリルなどは使わない。
 刳り抜くべき大きさにあわせた「マイナスドライバーのような形をした鉄」を真っ赤に焼いて、刳り抜くべき場所に押し当て木材を炭化させる作業を何度も繰り返し、徐々に内部まで刳り抜いていく。
 そうして、炭化した部分は、切り出し(小刀)で削って形を整えていく。

 正直にいえば、私も、この「鉄を焼いて刳り抜いていく」方法が合理的だとは思わないが、浦川さんはこの方法にこだわる。
 それが浦川さんの「伝統」なのだろう。

 浦川さん愛用のタシロを紹介する。


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