2008/6/16  23:01

もう一つの日本文化(贋作マキリ)  文化・芸術

 私は現在でマキリを18本所有している。
 その中の3本はヤフー・オークションで入手したものであるが、うち2本はすばらしいものである。

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 本年2月21日と5月5日のブログで紹介しているが、ヤフー・オークションでなければ私の手には入らなかったと思う。
 ということで、私はヤフー・オークションをマキリ入手の有効な手段としてきたが、今回、贋作マキリを掴まされてしまった。

 論より証拠で、まず、オークション画面での写真を見てほしい。

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 マキリの文様がアイヌらしくないような気もするが、この刀身の「錆び具合」は、昭和初期以前の物かな、少なくとも戦前だろう、と考えてしまった。
 「錆びは、金物屋に研いでもらえばいいや」と考えて、入札することとした。
 無事落札し、商品が到着し、刀身を見てみると、確かに錆びているように見えるのだが、濡れたような感じで薬品の臭いもする。
 とりあえず、自分でも錆びを落としてみようと、スポンジ鑢をかけてみると・・・、錆がズルズルと取れるのだ。取れるというより、塗ってあったとか、上に乗っかっていただけ、という感じなのだ。

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 「やられた!!」と思ったが、もう遅い。贋作である。
 後ほど詳しく書くが、「贋作」というのは、「錆び」だけではない。

 どうしようか考えた。
 売主と談判して料金を返してもらうという方法もある。

 だが、こうも考えた。
 この贋作は、当然のことながら作為的にやっている。
 幸い、私の支払った料金は、大したことはない。
 ヤフーオークションに支払った代金(この贋作も含めて4本分)と得たマキリ(前述の2本)を考えれば、まだ支払額が少ないくらいだ。
 この際、このマキリは、贋作マキリとして、今後、このようなものが出回らないよう周知に使おう、と考えた。

 私は、マキリについては、それなりの本数も持っているし、マキリを制作している浦川太八さんや貝澤徹さんなどからも、いろいろなことを教えてもらっている。
 だから、このマキリがどのくらいインチキかわかるが、初めてマキリを手にした人や経験が少ない人ならば、アイヌのマキリはこのようなものだと思ってしまうだろう。
 そのようなことは、私の望むところでない。

 今後も、このような贋作マキリが、ヤフー・オークションに出回るようであれば、北海道警察に「経済事件(詐欺などの経済犯罪)」として告発する際の証拠物件として使おうと決めた。
ネット上の情報も全て保存してある。

 私が、このマキリを贋作という理由は、2つある。

 1つは、「古く見せかけて、価値のあるものと思わせる」ことだ。
 「時代付ける」ともいうらしい。
 このマキリの場合は、「刀身の錆び」と「鞘や柄の着色」である。
 普通の店舗で実物を見れば、すぐに見破れる程度の幼稚な技術であるが、ネット・オークションでは、パソコン上の写真(画面)でしか確認できない。騙される確率も高くなる。
 鞘や柄は、顔料で着色したらしく、歯ブラシで擦ると、色が落ちる。

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 私が本当に腹を立てているのは、「時代付け」ではない。
 それは、アイヌのマキリの作り方をしていないことだ。
 浦川さんの言葉ではないが、「こんなものがアイヌのマキリだと思われては困る。」ということだ。
 次の3つにおいて、アイヌのマキリでない。

@刀身を入れる部分−鞘の作り方である。
 論より証拠で、まずニセモノ・マキリを見てほしい。

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 次に、私がヤフーオークションで入手した3本のマキリ

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 最後に、浦川太八さんや貝澤徹さんなどによる、本物の作り方をしているマキリ

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 ご覧のとおり、アイヌのマキリは、鞘の内部と刃の間の空間を広く取っている。
 *以前のブログで説明したが、錆び防止と、刃の交換を容易にするためである。
 
A刃についてである。
 まず、アイヌのマキリの刃は、「片刃」が9割以上を占める。
 このマキリが両刃だからといって、絶対にアイヌのマキリでないとは言い切れないが、
その前に、この刃は、鋼(刃物)でない。
 軟鉄である。私が、金属用の鑢(やすり)をかけたところ、まるで鉛でも削るように削れた。
 また、刃と柄の接着は、木工ボンドである。
柄の顔料を落すため、バケツの水につけておいたら、刃がグラグラになって取れた。
 とんでもないニセモノである。

Bマキリの鞘についている「紐(ひも)」である。
 ご承知のとおり、その紐は、腰につけるためのものである。
 であれば、実用的な長さは、相場がある。
 このニセモノ・マキリは膝下まで届くくらい長い。
 作った奴は、何のためか、などは全くわからないまま、形だけ似せたのだろう。
 柄についている紐は、論外である。


 まことに気分の悪い話になってしまったので、最後に浦川さんの素朴なマキリの写真を紹介して終わらせることとする。
 昨年12月に浦川さんの工房を訪問した際に見つけた。
 小物の細工に使っているようである。
 室内用であり、鞘はない。

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2008/6/20  8:51

投稿者:KUMA

先日、オークションで入札していた同じマキリがこちらで『贋作』と掲載されているので驚きました。私も簡単に『贋作』と判断するのはおかしいと思います。今回のマキリの出品者の説明文にも時代物のマキリとは掲載されていなかったですし、もし、気になることがあったなら質問することも可能だったと思います。落札してからあなたの見解で一方的に『贋作』と判断するのはおかしいと思います。そして作り手を中傷するかのような今回のブログへの掲載はあなたが古いマキリと判断し、購入してあなたの見解で『騙された』という思いからくる腹癒せとしか思えません。ましてや一方的に出品者に悪い評価を入れてますよね…それってどうなんでしょうね?。ごめんなさい、言い過ぎましたね。ただ、私も今回掲載しているマキリの購入を考えていたものですから、このような形で掲載されたいたことが非常に残念に思ってしまいまして…。

2008/6/19  14:35

投稿者:kibori

ブログ拝見しました。私は彫刻を始めて約40年近くになります。出来る事ならお会いして説明したいところですが、何か勘違いされている様なので私の気持ちを伝えます。
 私は、パソコンが苦手で知り合いの方のネットをお借りして出品した訳で出品者様には申し訳なく思います。本物、偽物・・・本物とはどういう意味でしょうか。古いから本物、新しいから偽物、無名だから偽物、有名だから本物ですか?
彫刻をされている全国の皆様がそれぞれ自分の個性を活かしプライドを持って彫刻されていると思います。貴方は彫刻なさいますか?
 私の作品が偽物と書かれ大変ショックを受けましたが、私の力不足と思い初心に帰って頑張る所存です。
このブログを見て今まで購入された方、販売されている方、現在彫刻されている方、これから始めようとしている若者達、皆不安ではないでしょうか。
私の製作したマキリですが、古くみせる為ではありません。刃先は危ないので使用できない様に致しました。事故でもあれば私の責任になります。
紐を長くしたのは、編み方、結び方を見ていただきたくその様に致しました。
マキリの色ですが、かき汁を使用しています。
ご理解いただけましたか?
 彫刻家は北海道だけでも数百人居ると言われております。色々な人、色々な作品をたくさん見て楽しんで頂きたい。そしてアイヌ文化を大切にして、若い人達に伝えていきたい。私の願いであります。

2008/6/18  16:38

投稿者:katatumuri

はじめまして、先日同じ出品者の方からマキリを購入したのですが、届いたものをみて、微妙に違和感を覚えていました(薬くさい、根付の紐が異常に長いなど)。ここでご説明されているのを見て、多少の違いはあるものの、私が購入したマキリも贋物だと確信しました。おそらく同じ人間が作ったものでしょう。とても悲しいと同時に、贋物マキリの扱いに困ってしまいます。正しい知識もなくオークションでこういったものを買うのは怖いですね。

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