2008/6/20  23:40

もう一つの日本文化(贋作マキリ・その2)  文化・芸術

 6月16日の私のブログ「もう一つの日本文化(贋作マキリ)」は、私の想像以上に反響が大きくなってしまった。(もちろん文責は私にある。)

 その反響というのは、ブログのコメント欄と、取引ナビの2つにおいてだ。
*取引ナビ:ヤフー・オークションの終了後、出品者と落札者との取引連絡が行える、非公開の掲示板

 昨夜までは、「ブログにいただいたコメントの公表だけで終了させよう」と考えていたが、今日、『・・・あなたの見解で一方的に『贋作』と判断するのはおかしいと思います。・・・』というコメントをいただいた。

 私としては、『何をもって[贋作]と判断したか』を明確に示す必要があると考えた。
 1つは、私個人の名誉のため。
 もう1つは、6月6日の国会の「アイヌ先住民族決議」を受けて、今後、アイヌ関係が商売になるという動きが活発になるかもしれない、その際、「何が許されて、何が許されないのかという問題提起をしたい」と考えたからである。

 あらかじめ、宣言しておくが、私は、特定の個人を攻撃する意図は全くない。
 ただ、今後、似たような事柄が起きないように、情報提供したいと考えているだけである。

 [贋作]とは、どういうものを指すのか?
 「ウィキペディア(Wikipedia)」では、次のように定義している。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B4%8B%E4%BD%9C

『贋作(がんさく)とは、他者を偽る意図をもって絵画、彫刻、書などの芸術品や工芸品に似せて模倣品を作成すること、またその作品のこと。書物の場合は偽書とも言う。 模写、複製、レプリカなどは「贋作」とは言わないが、後日、本物と偽って扱われれば「贋作」と見なされることになる。

 贋作の目的には金銭的目的・宗教的目的・権威付け目的・名誉目的・愉快犯などが上げられる。また、広義では、名声を貶めるためのものも贋作に含められる。
 贋作の歴史は古く、ストックホルム博物館にはエジプト時代のパピルスにガラスから宝石を作り出す方法が書かれたものがある。

 贋作を作成する人物は贋作家と呼ばれるが、これらの人物は裁判などでは「模写をしただけ」などの主張をする事が多く、単純な模写と専門技術を使った贋作との差が裁判の際には問題となる。』

 私は、次の2点の証拠から『このマキリは、金銭目的のため、他者を偽る意図をもって彫刻などの工芸品(この場合、古いマキリ)に似せて作成された模倣品、作品』であると考えており、これは[贋作]に該当すると判断した。

 根拠の1点目は、マキリの「錆び」である。

 昨日、このマキリの制作者の方からもコメントをいただいたが、このマキリは現代作家の作品である。

 出品者により提供された「オークション画面のマキリ」を見ていただきたい。

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 刃は、全面にわたって錆びた状態に見える。

 16日のブログを転載する。
 『(6月11日)商品が到着し、刀身を見てみると、確かに錆びているように見えるのだが、濡れたような感じで薬品の臭いもする。とりあえず、自分でも錆びを落としてみようと、スポンジ鑢をかけてみると・・・、錆がズルズルと取れるのだ。取れるというより、塗ってあったとか、上に乗っかっていただけ、という感じなのだ。』

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 どういう仕掛けかは不明だが、結論でいうと錆びていないのだ。
 この「錆び」については、マキリ制作者のコメントにも説明がない。

 私は、現代作家の作品に「一見錆びと見える加工を行う」合理的な理由はないと考える。
 結論として、「一見錆びと見える加工は、このマキリを古いものと見せるための偽りの意図がある」と判断した。

 根拠の2点目は、出品者が偽る意図をもって、私に真実の情報を提供しなかったことだ。
 簡単にいえば、このマキリの制作者が現代作家で、当然のことながら制作も現代であることを隠したということだ。
 これについては、数回にわたる取引ナビのやり取りがあるのだが、昨夜、私が出品者等へ連絡した「取引ナビ」部分を転載する。(*名前等は隠している。)

『(出品者)様
(制作者)様

(私の名前)です。

 私のブログへの「コメント」ありがとうございました。

 あとは、ブログ(コメント)を読んだ方が判断されることです。
 私も、ご意見をいただいて安心しました。
 本当にありがとうございました。

 ただ、ここでいいにくいことですが2つのことを申し上げます。

 1つは、「私のヤフーオークションの評価は変わらない」ということです。
 (制作者)様のご意見は拝見しましたが、私がブログに書いた意見は、現在も全く変わりありません。

 もう1つは、(出品者)様に対してですが、商品情報については、誠意ある情報提供をしていただきたいということです。

 6月11日、私は(出品者)様あて、マキリ到着を知らせるメールで、問合せをしました。
 『オークションの商品説明で[資料によりますとアイヌのナイフで【マキリ】と掲載されておりました。]とありましたが、その資料には、どのようなことが書かれているのでしょうか?
 制作者とか、年代とか、入手経緯とか、差し支えない範囲で教えてください。』

 6月12日、(出品者)様からメール回答がありました。

 『ご質問の資料の件ですが、図書館の資料に今回の商品と同じような彫刻が施された【マキリ】と称されるナイフ、小刀が掲載されていた為、題名、説明文に【マキリ】させていただきました。手元にある資料で言いますと【北海道立北方民族博物館】総合案内の中でも女性用のナイフ、小刀と掲載されておりました。

 今回落札していただいた商品は収集家の方からのお預かり品で製作者、年代等は分かりかねますのでご了承ください。』

 この回答と、今回の(制作者)様のコメントは、一致しません。
 ((制作者)様のコメント)『私は、パソコンが苦手で知り合いの方のネットをお借りして出品した訳で出品者様には申し訳なく思います。』

 なぜ、(制作者)様という現代作家の制作ということを回答しないのでしょうか?
 こういったあたりが、私にとって、あのマキリに対する不信感にもつながっていったと思います。

 私は、(制作者)様のコメント『アイヌ文化を大切にして、若い人達に伝えていきた
い。私の願いであります。』には全く同感です。

 正確な商品情報を提供しないことは、『アイヌ文化を大切に』していないことです。』

 出品者は、私を偽る意図をもって、「このマキリの制作者が現代作家で、当然、制作年代も現代であることを隠した」ということである。

 以上の2点の証拠から『このマキリは、他者を偽る意図をもって古いマキリ(彫刻などの工芸品)に似せて作成された模倣品、作品』であると判断し、[贋作]と公表するものである。

 話は変わる。
 16日のブログの文章には、反省すべき点がある。
 「もう一つの日本文化(贋作マキリ)」というタイトルで、一気に書き上げて公表してしまったため、あそこに書いてあることが、全て「贋作」を示すように読めてしまうことだ。
 若干、釈明させていただきたい。

 よく読んでいただくと、後半、「ニセモノ・マキリ」という言葉が何度か出てくる。
 この「ニセモノ・マキリ」という言葉は、「贋作」ではなく、「伝統的なアイヌ・マキリの作り方をしていない」「本物のマキリの作り方をしていない」という意味で使った。

 この「ニセモノ」という言葉には、「贋作」のような明確な定義はない。
 人それぞれ考えがあるのかもしれないが、例えば、私は、こう考えている。

 「マキリ」とは、小刀、ナイフの意味であり、実用品である。
 刃物でないマキリは、ニセモノ・マキリである。
 *刃物であっても、「安全のため、販売時には、刃を落としているもの」はある。
 しかしながら、軟鉄で作られたものは、刃物ではなく、マキリでもない。

 アイヌ文化の伝統を大切にしない(アイヌ文化に敬意を払わない)ニセモノである。

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2008/6/21  21:22

投稿者:神様55

こんばんは。注意深く拝見させていただきました。私は北海道にすんでいる者です。ざっくばらんに申しあげますが・・・今現在民芸品店で売られている粗末な鮭、熊、ニポポなどなどアイヌ彫りと証して売っていますよね?アイヌの有名な方が作った物でないと偽物、贋物でしょうか?私は、よく温泉など北海道の観光地に行きますが粗末なキーホルダー、置物など機械で彫ったような物が売られていますよ。ネットオークションで売られていた物を買って出品者を贋作だとか個人攻撃的な、それも公開して
とても違和感を感じました。無名でも、へたくそでも、まきりは、まきりではないでしょうか?その、あなたが個人攻撃する製作者の人だって一生懸命作ったのではないでしょうか?誰かが贋作、偽物と判断できるものでしょうか?例えば札幌ラーメンに偽物、本物がないのと一緒だと思います。札幌で作ったら不味くても旨くても札幌ラーメンは札幌ラーメンなのではないでしょうか?そんな事を言ってたら世の中、この社会たくさんそのような事がありますよ。まきりの特許のような物が、あるのですか?売り買いは個人の自由だと思います。あなた様が、売ってはだめだとか、有名ながアイヌの人が、本物と言わないと偽物、贋作なのですか?鮭のアイヌ彫りは鮭ですよ。私の考える偽物、贋作は、サインの入ってない、普通の木彫りに有名な人のサインを入れて、売ったりすることだと思います。古く見せかけた物、古い素材で作ったもの等カントリーショップ、民芸品店など行けばたくさんありますよ。あなた様も、ネットオークションで買う前に、よく調べたのですか?勉強されたのですか?あなた様も収集家なのであれば、買ってからあーだこーだは良くないとおもいます。

2008/6/21  1:44

投稿者:大口のま
http://norabu-blog.okutano.net

こんばんは。
今回の件、注意深く、また興味深く読ませていただいています。

このブログを通してもっとも大切にしていることが、アイヌ文化への敬意、そしてアイヌのひとびとへの敬意だということは一連の記事を読むだけでもはっきりわかると思います。「アイヌのマキリ」「本物の作り方をしているマキリ」「アイヌのマキリの作り方」という言葉からも、それは読み違えることは無いと思います。
このナイフをマキリと称している以上、アイヌ文化の観点から見てマキリでなければそれは偽り・にせものだと考えます。
kiboriさんからのコメント文では、くだんのナイフが「マキリであるか、マキリでないか」という説明は無いものと思います。

過去、アイヌやアメリカインディアン等多くの先住民や“少数民族”が、“多数民族”の利益のために被害をこうむってきました。そして現在でも彼らの文化をネタにして敬意の無い商売が絶えません。それら敬意の無いおこないは、彼らの文化と存在を貶めることになるのですが、加害者にはその認識が欠如していることがままあるようです。
それは「偽物」でないものをあつかう時さえも、気をつけなければならないことなのですが。

このブログは、アイヌのひとびとと文化を大切に想うこころで製作されていると思います。それゆえに今回のにせものマキリのことについて、無言ではいられなかったのだと思います。
「まことに気分の悪い話になって」はしまうものの、この記事を公開することはアイヌ文化を想ううえで大切なことだと思っています。

これからも拝読を楽しみにしています。

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