2007/2/28 20:45
ロイヤルバナナスペシャル 青熊パラダイス
サローヤンのことを雑誌「飛ぶ教室」に書こうとぼんやり考えていて、そういえば、と以前、彼についてタウン誌「浜松百撰」にも掲載したのを思い出した。調べてみたらちょうど一年前のことである。
考えてみれば、やっていることも子どものころからちっとも変わっていない。進歩していないというか、まあこれからもずっとこのままなのかも。やれやれ…。
青熊のイベント お知らせ
浜松ゆかりの芸術家顕彰記念
「那須田淳の物語世界―音楽と朗読のひととき―」
2007年3月21日(水・祝日)午後2時より
アクトシティ浜松 中ホール
入場無料 全席自由席(定員1000人)

イベントで朗読する「一億百万光年先に住むウサギ」(理論社)より ©sowa
☆二次募集はメールか電話で☆
入場は申し込み制です。電話とメールによる二次募集が始まりました。詳しくは下記、二次募集のお知らせか、イベント情報のサイト『那須田淳の物語世界・イベント情報』をご参照ください。締め切りは3月15日とさせていただきます。なお今のところまだいくらか余裕があるようですが、定員になりしだい締め切りになりますのでご了承ください。

「ロイヤル・バナナスペシャル」
最近、読者から「子どもの頃はどんな風だったのですか?」みたいな質問をよく受ける。少年時代をテーマにもっぱら小説を描いているせいかもしれないが、じっさいのところどうだったのか気になるらしい。そのたびに首をひねり「うーん……」と、答えをひねり出しているのだけれど、正直なところ僕自身よくわからない。成績だってまあ並だったし、スポーツもさほど得意ではなかった。少し前に当時の同級生の女の子に会ったとき、「まじめそうな顔をして、よいことも悪いこともやっていたよね」と言われた。たぶんきっとそんなふうな、さして目立ったところのない子どもだったのだろうと思う。
ただ、なにかにつけ影響されやすく、そのあたりは今日まで続いているので僕の性癖なのかもしれない。『巨人の星』をテレビで見れば日がな一日、家の壁にむかって大リーグボール何号かを研究していたし、マンガもしかり。本からも多大な影響を受けた。
僕の好きな小説のひとつに、ウイリアム・サローヤンの短編集『わが名はアラム』があるが、その中に『機関車三十八号という名のオジブウェイ族のインディアン』という作品が含まれている。ある日のこと、アラムが図書館からの帰り道、ドラッグストアの喫茶室でアイスクリームの「つぶした胡桃をかけたロイヤル・バナナスペシャル」を食べていると、むこうからロバに乗ってやってきたインディアンに「よおっ」と声をかけられる。物語は、貧相に見えるがじつは石油王で大金持ちのインディアンと貧しいアルメニア系移民のアラム少年の日々を描いたものだが、少しセンチメンタルでこれからの季節、昼下がりに読むのによいだろう。僕は、十二歳のときにこの短編に出会ってしっかりはまってしまったのである。
その頃、鎌倉の新興住宅地に住んでいたのだけれど、もちろんまだドラッグストアなんてものはまわりになかった。二つ上の兄に「ドラッグストアってなに?」ときいて「薬局だよ、ばあか」とぶっきらぼうな口調で教えてもらったのだが、薬局に喫茶室があるというのがどうにも思い浮かばなくて、悩んだものである。しょうがないので近所のスーパーマーケットにいき、そこのカフェテラスでソフトクリーム(残念ながら「つぶした胡桃をかけたロイヤル・バナナスペシャル」なんてものもなかったから)を食べながら、何日も過ごしていた。もちろんそんなことをしてもインディアンなんて通りかかるはずもないのはわかっていたけれど、もしかしたら……とかすかに期待しながら。
もっとも、たいていはスーパーに買い物にきた近所の知り合いのおばさんに「ひとりで買い食いなんていけませんよ」と叱られるか、同級生に「そんなところでぼんやりしてないで、野球でもしようぜ」と誘われるのがせいぜいであった。
でも、あんなふうに、なにをするでもなく、なにかを待っているっていうのはよかったなあ。
追記 ドイツはアイスクリーム天国でいろんなアイスが食べられるが、まだロイヤル・バナナスペシャルには出会っていない。
写真は、ベルリン紋章熊の住む「熊砦」。せっかく会いに行ったのに、撮影したときは、熊は昼寝中だった…
(青熊が連載中の浜松百撰2006年4月号より・浜松百撰のご好意により転載させてもらいました。一部加筆改変しました)
©Jun NASUDA・2006
考えてみれば、やっていることも子どものころからちっとも変わっていない。進歩していないというか、まあこれからもずっとこのままなのかも。やれやれ…。
青熊のイベント お知らせ
浜松ゆかりの芸術家顕彰記念
「那須田淳の物語世界―音楽と朗読のひととき―」
2007年3月21日(水・祝日)午後2時より
アクトシティ浜松 中ホール
入場無料 全席自由席(定員1000人)
イベントで朗読する「一億百万光年先に住むウサギ」(理論社)より ©sowa
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入場は申し込み制です。電話とメールによる二次募集が始まりました。詳しくは下記、二次募集のお知らせか、イベント情報のサイト『那須田淳の物語世界・イベント情報』をご参照ください。締め切りは3月15日とさせていただきます。なお今のところまだいくらか余裕があるようですが、定員になりしだい締め切りになりますのでご了承ください。
「ロイヤル・バナナスペシャル」
最近、読者から「子どもの頃はどんな風だったのですか?」みたいな質問をよく受ける。少年時代をテーマにもっぱら小説を描いているせいかもしれないが、じっさいのところどうだったのか気になるらしい。そのたびに首をひねり「うーん……」と、答えをひねり出しているのだけれど、正直なところ僕自身よくわからない。成績だってまあ並だったし、スポーツもさほど得意ではなかった。少し前に当時の同級生の女の子に会ったとき、「まじめそうな顔をして、よいことも悪いこともやっていたよね」と言われた。たぶんきっとそんなふうな、さして目立ったところのない子どもだったのだろうと思う。
ただ、なにかにつけ影響されやすく、そのあたりは今日まで続いているので僕の性癖なのかもしれない。『巨人の星』をテレビで見れば日がな一日、家の壁にむかって大リーグボール何号かを研究していたし、マンガもしかり。本からも多大な影響を受けた。
僕の好きな小説のひとつに、ウイリアム・サローヤンの短編集『わが名はアラム』があるが、その中に『機関車三十八号という名のオジブウェイ族のインディアン』という作品が含まれている。ある日のこと、アラムが図書館からの帰り道、ドラッグストアの喫茶室でアイスクリームの「つぶした胡桃をかけたロイヤル・バナナスペシャル」を食べていると、むこうからロバに乗ってやってきたインディアンに「よおっ」と声をかけられる。物語は、貧相に見えるがじつは石油王で大金持ちのインディアンと貧しいアルメニア系移民のアラム少年の日々を描いたものだが、少しセンチメンタルでこれからの季節、昼下がりに読むのによいだろう。僕は、十二歳のときにこの短編に出会ってしっかりはまってしまったのである。
その頃、鎌倉の新興住宅地に住んでいたのだけれど、もちろんまだドラッグストアなんてものはまわりになかった。二つ上の兄に「ドラッグストアってなに?」ときいて「薬局だよ、ばあか」とぶっきらぼうな口調で教えてもらったのだが、薬局に喫茶室があるというのがどうにも思い浮かばなくて、悩んだものである。しょうがないので近所のスーパーマーケットにいき、そこのカフェテラスでソフトクリーム(残念ながら「つぶした胡桃をかけたロイヤル・バナナスペシャル」なんてものもなかったから)を食べながら、何日も過ごしていた。もちろんそんなことをしてもインディアンなんて通りかかるはずもないのはわかっていたけれど、もしかしたら……とかすかに期待しながら。
もっとも、たいていはスーパーに買い物にきた近所の知り合いのおばさんに「ひとりで買い食いなんていけませんよ」と叱られるか、同級生に「そんなところでぼんやりしてないで、野球でもしようぜ」と誘われるのがせいぜいであった。
でも、あんなふうに、なにをするでもなく、なにかを待っているっていうのはよかったなあ。
追記 ドイツはアイスクリーム天国でいろんなアイスが食べられるが、まだロイヤル・バナナスペシャルには出会っていない。
写真は、ベルリン紋章熊の住む「熊砦」。せっかく会いに行ったのに、撮影したときは、熊は昼寝中だった…
(青熊が連載中の浜松百撰2006年4月号より・浜松百撰のご好意により転載させてもらいました。一部加筆改変しました)
©Jun NASUDA・2006
