2007/10/22  7:22

派遣社員の責任は誰が取るのか?  派遣・請負・雇用

「派遣社員の失敗で大損害してしまった。派遣社員本人にどういう責任を問えるのか?」
という質問を受けます。

実は派遣先と派遣社員の間には雇用契約がないので契約不履行の損害賠償は成り立ちません。もちろん本人に対して不法行為に関する損害賠償は成り立ちますが、非常に限定的になってしまいます。それはそうです。「約束を守らなかったから」という範囲と「法律を守らなかったから」という範囲は当然違ってくるからです。

数字の入力ミスなどの程度では過失責任は全く問えません。
業務マニュアルがある場合、それを周知しており、しかも命令を無視したような重大な過失があるような場合では、被害額の2〜3割といった程度。
もちろん、故意の犯罪行為、詐欺・横領などは100%の請求ができることは無論です。

派遣契約の当事者は派遣先と派遣元企業です。ですから本来は派遣元が使用者として派遣社員の不祥事についての責任を負う形になります。
派遣契約には「派遣基本契約書」という細かい事項が取り決められた約款のようなものを取り交わします。
これは派遣元が作成し派遣先と契約を取り交わすことになりますが、通常「損害賠償の範囲はすでに受け取った派遣料の総額を上限とする」というような免責事項を設けています。
ですから、派遣契約をする際は面倒でも基本契約書に目を通しておくことが大切なわけです。

派遣先企業は派遣社員の不祥事によって自社の顧客に損害が発生してしまった場合、派遣先企業自体が「使用者」としての責任を問われることはいうまでもありません。
派遣社員本人や派遣元に損害賠償請求をすることになりますが、被害額が大きくなってくれば、相手方も開き直ってきますので、回収は困難になってくるのが現実です。
「派遣先さんの指導が悪い!」などです。
裁判をしたとしても、派遣先には業務上の指揮監督下にあるという理由で監督責任があり、損害賠償額の半分を過失相殺とした判例もあるわけです。

そもそも、派遣社員は派遣元との雇用契約であり、派遣元の就業規則に服することになっています。ですから、派遣先では自社の社員用とは別途に「派遣社員用の服務規程」を作成し、派遣社員に周知させておくことが必要です。

いずれにしても、派遣社員が問題を起こした場合は派遣先である企業に監督責任を問われる立場となります。
ですから、結局自社の社員同様に派遣社員に対する日常の業務指導をしっかり行うこと、やっていいことと悪いことのルールを派遣社員に明確に認識してもらうことが、問題の予防としてとても大切です。


→社会保険労務士濱事務所HP



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