2008/1/31  21:59

介護老人保健施設にて 44.彷徨う  両親のこと

夜の売り場を、
彷徨い、彷徨い、彷徨い・・

何のために、
彷徨い、彷徨い、彷徨うのか。

彷徨ったところで、何も見付かりゃしないだろ。

それでもやっぱり、彷徨い、彷徨う。

あと何回彷徨いますか?
あと何回彷徨うことができますか?

あと10回は、到底無理ですよ。
あと5回も、相当難しいと思いますよ。

3回ですか?2回ですか?
それともこれが最後ですか?

それは誰にも分かりませんよ。
余命宣告は出ていませんから。

あと何回あるんですか、誕生日。
私の母の誕生日。

・・・・・・・・

夜の売り場を、
彷徨い、彷徨い、彷徨い・・

靴もバックも要りませんよ。
もう何処にも出掛けないのですから。

お洒落な洋服も要りません。
出掛ける予定はないですからね。

下着は山ほど持っていますよ。
パジャマはクリスマスに贈ったばかりです。
靴下は履きません。かがめないんですよ。

帽子も要らない、コートも手袋も、傘も、
指輪もネックレスもイヤリングも。
ましてやお金は所持さえ禁止。

・・・・・・・・

明日は母の誕生日。
あと何回、めぐり来るかは分からない。
誰にも誰にも分からない。

それでも明日は誕生日。
確実に誕生日。
あと何回残されているのか、
それともこれでオシマイなのか。

誰の命も、
終わりが来る日は分からないのだけれど、
余命宣告は出ていないのだけれど、
それでもやっぱり、上限に近いでしょう。

施設で迎える初めての誕生日。

あと何回?
あと何回、こんな風に彷徨わせてくれますか?

・・・・・・・・・

何も見付からない夜の売り場を、
彷徨い彷徨い彷徨い続けながら、
母を想った。

2008/1/30  22:00

餃子で殺す気か!  記事・ニュースから思うこと

ニュース画面に映し出された袋を見て、

「おお、これは美味そうかも」

と思った。

しかも販売していたのが、安全基準の高いコープ(日本生活協同組合)なら、おそらく何の疑いもしないだろう。

商品名は、それぞれ「手作り餃子」「手包みひとくち餃子」

パッケージには、『肉と野菜がバランスよく入ったジューシーな餃子です』の文字。

まさに、手作り感・安心感・ヘルシー感いっぱいである。

この中に、殺虫剤として農薬にも使われる有機リン系薬物「メタミドホス」が含まれいるなどと、一体誰が予想しようか。

原産国名 中華人民共和国

輸入者 ジェイティフーズ株式会社


千葉県・兵庫県の3家族計10人が中国製冷凍ギョーザを食べた後、腹痛・吐き気・下痢などの中毒症状を訴え、9人が入院、うち女児1人が一時意識不明にまでなっている。

現在自主回収となっている商品(市販用)は、

中華deごちそう ひとくち餃子▽お弁当大人気! 
ミニロールキャベツ▽お弁当大人気! 
豚肉のごぼう巻き▽お弁当大人気! 
2種のソースのロールキャベツ▽お弁当大人気! 
豚肉3色野菜巻き CO・OP本場中国肉餃子30個540g
CO・OP手作り餃子40個560g 
CO・OPとろ〜り煮込んだロールキャベツ2個×2袋入

だそうだ。

輸入元のジェイティフーズは勿論のこと、コープの受けた打撃は大きい。

今回の中毒事件により、コープの安心安全のイメージが、根底から崩れ落ちた。

もはや、絶対的な食の安全などあり得ない。

中国産だから危険なのか?国産ならば安全なのか?

誰も答えることは出来ない。

2008/1/29  21:24

エコの勧め  好きに語る

「本日は、エコ・コンサルティング株式会社 代表取締役 江口様をお迎えし、今後の日本企業の益々の発展を目指し、賢いエコの有り方に観点を置き、語って頂きます。
それでは、江口様、どうぞ宜しくお願い致します」

え〜、皆様、今晩は。
わたくし、只今ご紹介に与りました、江口と申します。

あ、『エグチ』 ではありません。
『エコウ』 でございます。

では、早速ですが・・・

今や、『エコ』 は、日本のみならず、世界共通のキーワードとして認知されております。

ですが、私は、敢えて『日本』 という視点から、エコを考えていきたいと思っております。

と言いますのも、日本には、『もったいない』 に代表されますような伝統的エコ理念が存在しているからであります。

『もったいない』・・
昔の人々は、お米一粒でさえ、『もったいない』『作った人に感謝しなさい』 と大切にしてきたものです。

そうです、食べ物に感謝しましょう。
食べ物を捨てるなど、もってのほかです。

そこで、弊社では、食品を取り扱うメーカーに対しては、『捨てない』 を最重要指導ポイントに置き、次のようなアドヴァイスを欠かしません。

1、消費・賞味期限切れ商品は、包装の日付刻印を変更して、再度店頭に並べましょう。

2、和菓子の売れ残りは、つぶして新たな商品を生み出す工夫をしましょう。(例:皮と餡を分解してのリメイクなど)

3、洋菓子などを陳列する際、床に落としたからといって捨てるのは厳禁。表面の汚れを落とせば大丈夫。(三秒ルールを大いに活用しましょう)

4、ひき肉などを取り扱う商品の場合、なるべく肉以外のものを加えて増量しましょう。もちろん、肉種にこだわる必要は一切ありません。一般的に、パンくずなどが最適ですが、紛れ込んだビニールなども、粉砕してしまえば大丈夫です。

5、腐敗した肉も決して捨てるべからず。漂白剤を使用すれば、臭い消しにもなり一石二鳥です。

6、普段から雨水は貯蔵しておきましょう。肉の解凍などにお薦めです。

残念ながら時間の都合上、今回のご紹介はこの辺にしておきますが、以上のような工夫を参考にして、本日お集まりの皆さんもいろいろと考えてみて下さい。

そして、皆で大切な食べ物の廃棄を減らしましょう!

『捨てるなんてもったいない!』 と叫びましょう!

社長が叫び続ければ、きっと返ってくることでしょう、従業員からのエコーが。

・・あ、これは、気付かない人のために一応説明しておきますが、『エコー』とは、『こだま』という意味と、文字通り『エコ』と、私の名前の『エコウ』を掛けておりましてね、えっへっへ。

ま、つまり、ダジャレのトリプル技というわけでして〜。(と、したたかにウケを狙う講師 江口)

さあ、皆さん!

堂々とエコしましょう!

エコを前面に打ち出しましょう!

そして、大儲けしましょう。


・・あ、それから、最後になりましたが・・

わたくし、冒頭に於きまして司会者から、『エコ・コンサルティング株式会社』とご紹介与りましたが、正しくは『エゴ・コンサルティング株式会社』でございますので、くれぐれもお間違えのないよう、宜しくお願い致します。

あ、それから記録係さん、今回の講演の『エコ』の部分、全部『エゴ』に書き換えておいてね。

そんじゃまた。

2008/1/28  21:02

介護老人保健施設にて 43.彼女の汗  両親のこと

「今日も寒いですね」
「え?外、寒いんですか?」

施設のエレベーター内、たまたま一緒に乗り込んだ女性に声を掛けたときのリアクションにハッとした。

赤く上気した彼女の顔は、汗びっしょりなのだ。

といっても、頭はすっぽり白布の帽子で覆われ、顔の半分も大きなマスクで厳重に隠されていたので、その汗びっしょりの様子は、僅かに顕わにされた肌の、ほんの一部分から予想されるものではあったが。

「早朝から晩まで、ずっと調理場に居るもんですから、外の様子が全然分からなくてねぇ」

と、彼女は、別にそれが辛いわけでもなんでもないとでも言うかのように、あっけらかんと笑ってみせた。

彼女は、施設の調理場の調理員の一人だった。

丁度、食堂に夕食を運び終えたばかりの彼女は、この後また片付けに入り、そして明日もまた、早朝から調理場に入るのだろう。

「調理場はね、暑いんですよ。蒸し蒸ししてねぇ」

何十人もの入所者に、それぞれの体の調子や入れ歯の具合に合うよう、メニューや調理法を変えて、三度三度きっちり同じ時間に作り上げる作業が、如何に困難なことか!

彼女が暑くなるのは、決して調理場の気温のせいだけではないだろう。
一食一食を、精魂込めて作るから、だから、きっと汗びっしょりになるに違いない。

「不味い、不味い」
「腐った味や」
「いっつもおんなじおかずばっかりや」

食事に毎日不平不満をこぼしている母は、彼女たちの汗を、知らない。

2008/1/27  21:17

短編小説の魅力  

本好きにとって、時間が無い時の救いの神は、短編小説である。

字数にして何文字と数えたことはないが、大体が15分以内で読めるものを、自分は、『短編』 と呼んでいる。

これらは、一日のうちのほんの僅かな隙間を、完結したひとつの確かなドラマで、心を満たしてくれるのである。

たとえ僅かな時間であっても、それは充分贅沢な時である。

以前は、出勤時の信号待ちの時間さえいと惜しく文庫本を開いたものだが、さすがにこれは危険なので、今はやめている。

短編ならば、一日一編は必ず読むことが出来る。
もっとも、気に入った同じ作品ばかりを何度も読み返すこともあるので、さほど数はこなしていないのだが・・。

短編の魅力は、一言で言えば、言葉の切れ味にある。

例えば、宮本 輝氏が目指す短編は、

「削って、削って、削って、もうこれ以上削ると読んでいる人が分からなくなるぐらい削りたい」

といっても、単純な抑制や省略ではない。

氏は、1996年以降、長編に追われ、短編を殆ど発表していないが、それについて、
「短編の恐ろしさ」
を理由のひとつに挙げ、こう語っている。

「短編はスキルとかメソッドが通用しない。発表後に、
『この一行が余分だった』
『なんでこんな一言を登場人物にしゃべらせたかな』
とか、必ず出てくる。それを見るのが嫌だという逃げもあった。あだおろそかに書けるものではない」


氏が推奨する短編小説のひとつに、井上 靖氏の『人妻』がある。

これは、二つ年上の人妻に狂おしいほど心奪われた青年が、はるばる遠く離れた彼女に、たった一目垣間見るだけでも・・との熱い思いを抱き海を渡る話なのだが、その結末に、思わず、
「ああ、そうだよね・・」
と、切ないけれど、むしろ晴れ晴れとした気分で頷いてしまった。

実は、これは400字小説である。

宮本氏は、この作品について、

「井上氏の才能をもってすれば、千枚の長編に仕立てるくらいはいとも簡単であろう。けれども氏は二枚で書いた。抑制と省略といった次元の問題ではない。厖大な心と人生の断面を、果実の一滴におさめたのである」

と評している。

まさに、削って、削って、削って・・何一つ無駄の無い、切れのある言葉の積み重ねである。

優れた短編小説が、単に慌しいだけで終わってしまう恐れのある日々を、豊かに演出してくれる所以が、ここにある。

2008/1/26  21:53

介護老人保健施設にて 42.空回り  両親のこと

凍て付いた帰り道、考えた。

どうしたら高齢者は幸せになれるのだろうか、と。

80年、90年と動き続けた体の機能が、
パーフェクトな働きを見せてくれるはずも無く。

誰もがきっと、心や体の痛みを抱えている。

電波に乗って、何処かの識者のお告げが聴こえてきた。

「老人はね、ただニコニコしているだけでいいんですよ」

口をへの字に曲げた年寄りは嫌われる。
でも、ニコニコしていれば、子も孫も寄ってくれる。

そういうことだ。

ニコニコした老人は仏さま。

心や体の痛みを、自分の中だけで消化して。

・・・・・・・・・・・・

ここのところ、また母が、吐き気を訴えている。

「ここの食事が不味いんや」

「ここの食事が体に合わんのや」

「いっつもおんなじおかずばっかりや」

「腐った味しかせん」

「スタッフの人に、吐き気するから夕食は要らん言うといて」

けれども、おやつは欲しがる。

・・・・・・・・・・・・・

何だか疲れた帰り道。

凍て付いた道路に空回るタイヤ。

何を考えても無駄でしょう。

脳みそも、カラカラカラカラ、空回り。

2008/1/25  21:22

介護老人保健施設にて 41.みいちゃん  両親のこと

日・・月・・火・・水・・・

とうとう連続4日間も、母の施設へ行くことが出来なかった。

両親が入退院を繰り返していた昨年、最も恐れていたのは、自分自身が体調を崩してしまうことだった。

自分が体調を崩せば、何の役にも立てないばかりか、逆に心配や迷惑を掛けてしまう。

思い返せば、その想いだけで体がもったような、昨年一年だった。

それなのに・・・
思いも掛けない激しいめまいに起き上がることも出来ず、それでも何とか翌日には回復するだろうとの考えも甘く・・・

・・きっと母が心配しているに違いない・・・

一日も欠かさず通った母の元へ、何の連絡も無く姿を見せなくなったら・・・

ただでさえ神経質で心配性の母が、尋常で居れるわけが無い。

心配する母の様子が、頭に浮かんでは消えた。

月曜の夕刻。
いつもなら、母の部屋で談笑しているはずの時間・・・

起き上がれないもどかしさ。

思わず、枕元の携帯を手探りで取り上げ、施設に電話を掛けた。
事情を話すと、母を電話口に出して下さった。

「昨日も今日も来んから、なんかあったんかと思うて、ずっと心配しとったんや」

やはり・・

「でも、わしよりあんたの体の方が大事なんやから、無理せんと大事にしとらなあかんよ」

電話口の母は、優しかった。
禁止されているおやつをきつい口調でねだって困らせるいつもの母とは違っていた。

その声は、紛れも無く、やっぱり私の、『お母さん』 だった。

・・・・・・・

ようやく母の元へと、車を走らせた昨日。

私の顔を見て、嬉しそうに母が歌ってくれた。

・・春よ来い 早く来い
歩きはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている・・・

「今日なぁ、リハビリの時間にみんなで歌うたんや」
「へえ〜」

「そしたらなぁ、お父さんのこと思い出して、なんや急に愛しいなってきた。お父さんがよう言うとったんや、『わし、この歌一番好きや』 いうてな」
「へえ〜、知らなかったなぁ」

「あんたの名前、『みいちゃん』 やからなぁ、お父さん、いっつもこれ歌うとったわ。・・癌やなかったら、きっと今頃まだ元気に生きとったはずや・・」

そう言うと、母はもう一度歌ってくれた。

・・春よ来い 早く来い
歩きはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている・・・

2008/1/24  21:29

病弱なんだけれど仕事をしなくちゃいけない人のための教訓  好きに語る

「今日はイヤやったなぁ」
「そやろなぁ。病み上がりの出社はキツイですからなぁ」

「まだ、頭クラクラよ」
「そりゃ大変だ」

「そやけど、午前は中3次女恐怖の三者面談やったしなぁ」
「そら無理しても行かなアカンわねぇ」

「あんた、外は吹雪よ。吹雪ん中、歩いて行きましたがな。頭クラクラよ」
「そらまた難儀なこって」

「クラクラで学校着いて、席着いて、成績開いてクラクラ増強〜」
「クラクラにパワーがみなぎっちゃったわけね」

「クラクラ全開でまた吹雪の中自宅に戻ってそれから出社。席着いて、引き出し開けたらクラクラ大増強〜」
「仕事がおっそろしく溜まってたわけね」

「茫然自失とはこのことよ。書類の山見て完全に意識失くしましたわ〜」
「まあ、月例決算やら年度決算やらの締め切りも目前やしな」

「どないしたらええねん・・」
「まあ、やるっきゃないなぁ」

「あんたね、他人事だと思って簡単に言わんといてぇな」
「そらしゃあないわ。この時期三日も休めばそうなるわな」

「今回はとことん参りましたぜ。そやから、今後二度とこういった失態に陥らないよう、決意したんや」
「なるほど、あんたなりに、今回の失敗から学んだわけね」

「そうや。とにかく体は大事にせなアカン!睡眠不足なんぞはもっての他や!日付が変わる前に寝んとアカンのや!」
「そやなぁ、睡眠不足はアカンなぁ」

「そや。病弱で、か弱い女子は、特にそうせなアカン」
「あんた、病弱で、か弱い女子かいな」

「まあ、そうやないかと思うとる」
「そりゃま、思ったもん勝ちやな」

「そんなわけで、今日は真面目に締めるで」
「そやな、たまには真面目にせななぁ」

「教訓!今日出来る事は、今日やっておけ!」
「『今日できることは今日やっておけ!』基本やな」

「明日でいい事も、今日やっておけ!」
「『明日でいい事も、今日やっておけ!』先手必勝の理りやな」

「俺たちに、明日は無い!」
「『俺たちに、明日は無い!』そやな、明日があると思うから、ついつい時を無駄に過ごすんやなぁ」

「そうや、今日からこれら三つを肝に銘じ、且つ、早く寝るんや」
「あんた、そやったら、今一番無駄な時を過ごしとるで!」

「そ、そうか・・む、無駄な・・一番無駄なのは、このブログやったんや〜〜〜」

2008/1/23  18:42

一発逆転満塁ホームラン!・・ みたいな  恐怖・悲哀体験

「アカンな・・一向に良うならへん!もうこのまま寝とってもアカンのや!」
「やっぱり、アレ、いきますかい?」

「そや、アレ、いこう。今、わしに残された唯一の道は、アレしかないんや!」
「ほなら、持ってきますで」

「おう、すぐに持ってきておくんなはれ」

・・・・・・・・・

「ほれ、持って来やしたゼ!一気にいっておくんなはれ!」
「よし!これや!『パンシロン トラベル NOW』」

「・・って、これ車酔いの薬でっせ?大丈夫ですのん?要因が全くちゃうやろ」
「全くちゃうなぁ」

「ええんですかい?こんなん飲んで」
「ええんや!もうダメでもともとや!ほれ、ここに書いてあるやろ、『めまいに吐き気』、一緒や」

「そやけどその前に、『乗り物酔いによる』って書いてありまっせ?今なんか乗り物に乗ってはりますか?」
「ベッドに乗っとるわ!」

「ベッドは乗り物なんですかい」
「そうや、今となったらそんなことはどうでも宜しいのや!」

「そうでっか・・。おっこれ、水無しで飲めますで、こんな時には便利ですなぁ」
「そやろ?よし!一気にいったるでぇ〜〜、狙うは一発逆転や〜〜!!」

・・・・・・・・

「効きましたな」
「効きましたなぁ」

「頭はクラクラでも、吐き気がありませんなぁ」
「そうや、最悪のぐるぐるやのぅて、クラクラにまで一気に症状改善や」

「最初からこれいっときゃ良かったですなぁ」
「そうですなぁ」

「どの成分が効きましたんかいなぁ」
「ここに書いてある塩酸メクリジンっちゅーのが効いたっぽいですなぁ」

「お、なんやこの本に書いてあるで」
「どらどら、ほう、『内耳への刺激によっておこるめまいを抑えたり、中枢神経や自立神経へ作用して嘔吐を抑える効果がある』やて」

「ほんまや、説明書にも書いてあるで。塩酸メクリジンはな、『内耳器官と嘔吐中枢の興奮を抑え、めまい・吐き気・頭痛を和らげます』や」
「他の成分も入っとるで。臭化水素酸スコポラミンっちゅーのは『自律神経の興奮を鎮め、めまい・吐き気を抑えます』や。それに、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)っちゅーのは、吐き気に効果的なんやて」

「なんか、効きそうやな」
「そうやな、言いにくい成分やけど、なんや効きそうやな」

「どや?いい感じか?」
「まあ、まだだいぶクラクラフラフラしとるけど、吐き気は無くなってきたさかい、三日ぶりに起き上がれそうや」

「そら良かったなぁ〜。早速やけど、明日は午前中に中三次女はんの三者面談でっせ」
「そ、そやったなぁ。そしたら仕事は午後からやなぁ」

「ま、しゃあないやん。寝込んどった分、集中して仕事片付けなはれや」
「そやな、しゃあないな。なんとか頑張って仕上げるわ〜。わしは、病んでもただでは起きへんでぇ〜」

「おお、今回のことで、なんか得るもんもあったんかいな」
「ありましたがな。三日間、ぐるぐる回りながらようやく気が付きましたがな」

「ほう、なんや?」
「それはな、わしがとことんフィギュアスケート向きやないっちゅーことや」





「今さらかいっ!!」

2008/1/22  12:15

回転開店回転書いてん  携帯

「どや?調子は」
「タイトル見りゃ分かるやろ?三日目突入や」

「三日もぐるぐるやったら壊れるなぁ」
「壊れとりますで」

「もうこのまま寝たきりちゃうか思いますなぁ」
「ほんまや。腰も痛なってくるしな」

「特にトイレなんかは決死の思いやな」
「そうや。ぐるぐる回って目も開けられへんから、手探り探険隊や」

「吐きそうでんな」
「吐きそうや

「そやけどあんた、たくさん励ましのメッセージ貰っとるで〜」
「ありがたいなぁ。ほんま、贅沢な話やー」

「ほんまやで。はよ元気にならなあかんで」
「そやなぁ〜」

「で、旦那さんはなんかしてくれはったん?」
「ゆうべ、お寿司買うて来てくれましたで」

「そりゃ良かったなぁ」
「それがなぁ・・それ食べたら余計めまいがひどなりましてん」

「なんでや。お寿司、美味いで〜」

・・・・・・・・

「回転寿司やったさかい・・」
「痛いオチや〜〜」

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