2004/11/28  23:30

カストールにてエゾ雌鹿の野趣を味わう  料理

映画「オールド ボーイ」を観た後,代々木上原のフランス料理店カストールで夕食をとった。ここは春に食べたアスパラガスが印象的だった。

今回,僕が頼んだのは,「新たな秋の記念メニュー」(10,000円)。
前菜は「玄海灘で取れたフグにトリッフの香りをのせて」。
次に出てきた「栗のポタージュ」は,微かな甘みが良い。
「名物いわしのソテープロバンス風」は,春に食した時と同じく,周囲にまぶしたパン粉(?)のカリッとした焼き加減も良い。
「知床で獲れたエゾ雌鹿のロースト」は,微かな野趣とレアに近い焼き加減ともに上出来。
★★★★・

2004/11/28  23:08

パク チャヌク「オールド ボーイ」  映画

評判の韓国映画「オールド ボーイ」を有楽町に観に行った。

酒癖が悪いが平凡な中年男のオ デス(チェ ミンシク=Min-sik Choi)は,ある日突然誘拐された。理由もわからず15年間監禁された後,突然開放される。鮨屋で知り合った若い女性ミド(カン ヘジョン=Hye-jeong Kang)と同棲しながら,オ デスは,自分を監禁した人物を探し当てる。その男イ ウジン(ユ ジテ=Ji-tae Yu)を追い詰めながら,オ デスは自分が監禁された理由と自分の娘の行く末を終に知る。衝撃的な真実を知ったオ デスは,イ ウジンの足元に泣いてひれ伏すが…

オ デスが監禁され開放されるまでの描写は割と淡々としたものだが,彼が真相を少しずつ突き止めていく過程で映画は緊迫感を増していく。驚くべき真相を少しずつ明らかにしていく巧みな筋,時には残忍な場面も交えながらスピーディに展開していく映像。惜しくも敗れたが,マイクル ムーアの「華氏911」とカンヌ映画祭のパルム ドールを争ったというのが納得できる見事なできの映画だ。★★★★★

原作は日本の漫画だというが,これも読んでみたい。

2004/11/23  21:21

妖しい煌き - 曜変天目茶碗  美術

曜変天目(ようへんてんもく)茶碗を目当てに,世田谷区の静嘉堂文庫美術館<を訪ねた。曜変天目茶碗とは,中国宋時代の陶磁器の一種で,世界に3点しか現存せず,その全てが静嘉堂文庫美術館を含めて日本にあるそうだ。「曜変」とは元来「窯変」「容変」を意味し、窯の中の偶然の変化、窯変(ようへん)により,釉面に美しく輝く斑紋が現れたものを言う。

この時期,静嘉堂文庫美術館では「三菱・岩崎家の茶道具 −父子二代蒐集の至宝−」という特別展を開催しているが,そこに並べられた茶道具のほとんどは,侘びや寂を感じさせるものである。それらのものと比べると,光沢を放つ曜変天目茶碗には,異質の存在感がある。見る位置により微妙に姿を変えるその煌きは,華美になる一歩手前で踏みとどまっているような不思議で妖しい感覚のものだ。曜変天目を現代に蘇らせることに取り付かれている人がいる,というのも納得できる魅力を備えている。

静嘉堂文庫美術館で驚いたのが,曜変天目茶碗の展示方法だ。普通美術品は日の光に当てないが,ここでは曜変天目茶碗を日の当たるところに展示している。晩秋の弱い日差しは,その煌きを引き出すのに最適だ。いろいろな角度から眺めて,魅せられてしまった。

2004/11/21  22:58

アンリ マティス展  美術

アンリ マティスは,僕が最も好きな芸術家の一人だ。大胆な色使いと,時として単純化された形態。それはしかし,情熱に任せて描いたというのとは少し違う。マティスの絵は,大胆であっても理知的な感じがする。

上野の国立西洋美術館で開催されてているマティス展は,約120点の作品を集めた見ごたえのあるものだった。ここでは,いくつかの発見があった。

例えば,「ジャネット」という彫刻は,同じジャネットという女性の頭像を数年おきに何点か制作したものだ。その表現方法は,最初は具象だったが,後の作品になるにつれて抽象的になっていく。とはいっても,マティスのことだから,完全な抽象にはならない。抽象的な表現でも,あくまでモデルの特徴を抽出することにこだわっている。

また,いくつかの作品で,制作過程を写した複数の写真を展示してあるのも,興味深い。愛らしい「ルーマニアのブラウス」や「夢」は,一見無造作に描いたように見えるが,実は大変な試行錯誤を繰り返し,完成版は当初の構想とは大幅に異なったものとなっている。芸術作品が完成するまでの過程は,とても興味深い。

マティス作品の中でも最も好きなものの一つが「ジャズ」の連作だ。写真では何度も見ているが,原画(切り絵)を見ることができたのも,大きな収穫だ。「ジャズ」の中でも一番好きな「イカロス」の原画が,想像していたよりもかなり小さいのを知って,驚いた。好きな作品だけに,いつの間にか妄想が広がっていたのだろう。でも,思ったより小さいといっても,やはり「イカロス」が素晴らしいことは変わらない。「ジャズ」の連作を制作した時にマティスが病み上がりであったことは,初めて知った。体調が優れないために,体への負担が少ない切り絵を選んだそうだ。しかし,その災いが転じて福となり,簡潔だが磨きぬかれた表現を生み出したのだ。<<今まで(病気になる前)余分な力が入りすぎていた>>という旨のマティスのコメントを読んで感動した。

2004/11/13  21:00

長瀞の川下り  分類なし

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いい天気だったので,埼玉県の長瀞(ながとろ)へ川下りに行ってきた。
水深わずか1メートルほどの美しい浅瀬を,2名の船頭が操る舟で下る。舟に乗っている時間は20分ほどだ。
景色も美しく,ところどころ若干スリルのある箇所もあり,かなり楽しめた。
しかし,この辺りは川下り以外に見るべきところがない。このためだけに碑文谷の自宅から片道3時間以上かけて行くのは,ちょっと大変だ。

2004/11/7  21:45

ウォルター サレス 「モーターサイクル ダイアリーズ」  映画

革命家チェ ゲバラの若き日を描いた映画を恵比寿で観た。

23歳のアルゼンチンの医学生エルネスト ゲバラ(Gael García Bernal)は,親友アルベルト(Rodrigo De la Serna)と共に,おんぼろのモーターサイクルで南米を縦断する旅に出る。モーターサイクルがしょっちゅう故障したり,強風や寒さや雪に見舞われたりなど,道中は平穏でない。しかしそれは,青年の貧乏旅行の典型とも言えるものだった。

国境を越えてチリに入った頃から,旅はその質を変える。共産主義者であるため土地を奪われた夫婦,先祖代々の土地を奪われた先住民… 社会の底辺で困窮する人々の実態を目の当たりにするにつれて,エルネストの心境に変化が現れてくる。この旅が,後の革命家を準備したのだった。

エルネストには,人間は皆平等であるべきだという,静かだが強い信念がある。ハンセン病患者のコロニーで,隔離されている患者と素手で握手し自由に交流する姿は,その象徴だ。しかし,この映画のエルネストには,革命家という後の称号から想像されるようなカリズマ性や強烈な個性は感じられない。この点は評価が難しい。エルネストのカリズマ性の欠如がこの映画の味わいを若干淡白なものにしているが,それは事実だったのかも知れない。このように若干もどかしさを感じてしまう部分もあるが,チェ ゲバラが革命を志すに至った理由が良く描けていて,興味深い。
★★★・・

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