2007/3/24  17:09

光と闇とテルと僕 (20)  小説

ごろごろごろごろ…

音が近づいてくる。
テルは木の上に上ったようだ。
(なにをするつもりなんだろう?)

荷車が近づいてきた。
鳥のようなものが車を引いている。
(変な鳥…)
テルの隠れている木の下まで来た。

と、テルが木から飛び降りた!

ダンッ!

荷車に降り立った!
「なんだ?!」
荷車を引いていたおじさんが驚いて振り返ろうとした時、
「ウル・ボルム」
バチチィッ!
「ぐああっ!」
テルがおじさんに魔法をかけた。
すぐさま鳥を操っていた縄を引く。
ゆっくりと鳥が歩を緩め、荷台が静かに止まった。

おじさんに何やらごそごそとやって、テルが降りてくる。
「何やってたの?」
テルの横に並びながらキーナが聞いた。
「生活必需品をあさってただけだ」
「…???」
旅をするには必要なものがある。
それを手に入れるには何かをしなければならない。
例えばお金で買うとか、力ずくで奪うとか。
お金がなければつまりは力ずくになるわけで…。
「泥棒!」
「仕方がないだろう。俺のこの体じゃまともになんて稼げない」
「…」

テルディアスは魔女によってダーディンに変えられてしまった。
故に人々から恐れられ、殺されかねない。

「でもなぁ…」
「仕方がないだろう」
「泥棒はよくない…でもそうしないと生きていけない…
 ううぅ〜ん…」
「街が見えてきたぞ」
悩むキーナを無視してテルが言った。

丘の向こうに建物の群れが見え隠れしている。
「おおっ! あれがミドル王国かぁ!」
「違うぞ。あれはサンスリーだ」
キーナはこけた。
「なんでっ!ミドル王国に向かってんじゃないの?!」
「言ってなかったか?」
テルがさらりと言った。
「ミドル王国はここから7つの都の先にあるんだ」
道のりは考えている以上に長いようだ…。

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