2008/5/24 22:41
さすらいの男(25) さすらいの男
世話になったのに、俺は何も返せない。
そういうとサラは笑っていった。
「十分に色んなものをもらったわ」
車を呼んで、サラは帰っていった。
「大丈夫。
アトマーレが何をしたか、
この事を話せばお父様達も分かってくれると思うわ」
ただ、お叱りはしっかりあるだろうけどね。
いたずらっ子のように笑った。
別れ際、俺の手に何かを押し付けて、
「入用でしょ?
ボディガード代とでも思って」
金だった。
「サラ…」
「いいから…」
「しかし、俺は…」
「いいのったら!ね?」
「うん。…ありがとう」
「レイ…」
突然だったので何も反応できなかった。
ただ、柔らかな唇の感触だけはよく分かった。
「さようなら」
そういうと車の待っている通りに駆け出していった。
それが最後になった。
俺は一体何者なんだろう?
どうしてこんな所にいるのだろう?
答えはまだ出ていない。
だけど一つ、大切なことを思い出した。
俺には命よりも大切な何かがあったんだ。
それとこの記憶喪失は関連があるのかもしれない。
探しにいこう。
その大切な何か。
それが今の俺のやらなければならないこと。
少し思い出したせいか少しすっきりした。
「おし、俺もガンバロ!」
そして俺は、建物の間の闇へと身を沈めていった…。
そういうとサラは笑っていった。
「十分に色んなものをもらったわ」
車を呼んで、サラは帰っていった。
「大丈夫。
アトマーレが何をしたか、
この事を話せばお父様達も分かってくれると思うわ」
ただ、お叱りはしっかりあるだろうけどね。
いたずらっ子のように笑った。
別れ際、俺の手に何かを押し付けて、
「入用でしょ?
ボディガード代とでも思って」
金だった。
「サラ…」
「いいから…」
「しかし、俺は…」
「いいのったら!ね?」
「うん。…ありがとう」
「レイ…」
突然だったので何も反応できなかった。
ただ、柔らかな唇の感触だけはよく分かった。
「さようなら」
そういうと車の待っている通りに駆け出していった。
それが最後になった。
俺は一体何者なんだろう?
どうしてこんな所にいるのだろう?
答えはまだ出ていない。
だけど一つ、大切なことを思い出した。
俺には命よりも大切な何かがあったんだ。
それとこの記憶喪失は関連があるのかもしれない。
探しにいこう。
その大切な何か。
それが今の俺のやらなければならないこと。
少し思い出したせいか少しすっきりした。
「おし、俺もガンバロ!」
そして俺は、建物の間の闇へと身を沈めていった…。
2008/5/24 22:40
さすらいの男(24)【サラ】 さすらいの男
「レイ?」
どこか遠くを見つめているようだ…。
記憶が戻りかけてるのかしら?
もしそうなら…。
「サラ…」
哀しげな光を湛えたままレイが私の名前を呼んだ。
「分からない…分からないんだけど…
何か大切なものがあった…
それを守りたかったんだ…俺は…
俺は…俺は……」
「レイ…」
「俺は…行かなくちゃならない…
ここに…留まってるわけにはいかない…
ごめん、サラ…」
とうとうその時が来たのだ。
覚悟はしてたけど、いつかは来ると思ってたけど…。
「でも!
でも、まだ完全に記憶が戻ったわけではないんでしょ?
だったら、…だったらせめて記憶が戻るまで、
私のところにいたら?
お金もないんでしょ?
食べるものにも困るんでしょ?
それなら私のところにいた方が…。
私が面倒見てあげるから!
だから…」
私はいつからこんな聞き分けのない女になったんだろう…。
分かってる。
分かってるんだ。
行かなきゃならないこと。
もうここにいちゃいけないって事…。
でも、でも…!
「ごめん…、サラ」
レイの瞳はもう私を見てはいない。
分かっていた結末。
確定されていた未来。
「あなたがそういうなら…」
言葉が出てこない…。
私の初恋は、
…終わった。
どこか遠くを見つめているようだ…。
記憶が戻りかけてるのかしら?
もしそうなら…。
「サラ…」
哀しげな光を湛えたままレイが私の名前を呼んだ。
「分からない…分からないんだけど…
何か大切なものがあった…
それを守りたかったんだ…俺は…
俺は…俺は……」
「レイ…」
「俺は…行かなくちゃならない…
ここに…留まってるわけにはいかない…
ごめん、サラ…」
とうとうその時が来たのだ。
覚悟はしてたけど、いつかは来ると思ってたけど…。
「でも!
でも、まだ完全に記憶が戻ったわけではないんでしょ?
だったら、…だったらせめて記憶が戻るまで、
私のところにいたら?
お金もないんでしょ?
食べるものにも困るんでしょ?
それなら私のところにいた方が…。
私が面倒見てあげるから!
だから…」
私はいつからこんな聞き分けのない女になったんだろう…。
分かってる。
分かってるんだ。
行かなきゃならないこと。
もうここにいちゃいけないって事…。
でも、でも…!
「ごめん…、サラ」
レイの瞳はもう私を見てはいない。
分かっていた結末。
確定されていた未来。
「あなたがそういうなら…」
言葉が出てこない…。
私の初恋は、
…終わった。
2008/5/24 22:38
さすらいの男(23) さすらいの男
頭が割れる
そう思った。
内側から徐々に割れていくような痛み。
「あなたって、どこまで卑怯なの?
何かに頼ってばかりで。
たまには自分の力でやり遂げてみなさいよ!」
「だ、だまれ!女の分際で!」
誰かの声がした。
銃口がこちらを向いている。
避けなければ。
あいつに当たってしまう。
憎しみを込めた目で見つめてくるあいつに…。
あの視線が心地良い。
いつまでも俺を見続けるあの瞳。
あれを失くすわけにはいかない。
体が動く。
ボキ
骨の砕ける音がした。
「ぎゃあああああああああああ!」
目の前でちんけな男が叫び声をあげた。
無理やり銃口を横に向けたので指の骨でもいったのだろう。
かまいやしない。
あの瞳を失くすわけにはいかないのだから。
それさえあれば…。
「レイ!」
サラが俺を呼んでいた。
今のはなんだ?
俺は何を思っていたんだ?
記憶の断片。
何か、肝心な何かを思い出していたはずなのに…。
名前を呼ばれた途端に消えてしまった。
一体なんだったんだ…?
「レイ?」
サラが不思議そうな顔で俺を見ている。
俺は今…何をしたんだ?
当たり前の様に男の指を折った。
俺は一体…何者なんだ?
そう思った。
内側から徐々に割れていくような痛み。
「あなたって、どこまで卑怯なの?
何かに頼ってばかりで。
たまには自分の力でやり遂げてみなさいよ!」
「だ、だまれ!女の分際で!」
誰かの声がした。
銃口がこちらを向いている。
避けなければ。
あいつに当たってしまう。
憎しみを込めた目で見つめてくるあいつに…。
あの視線が心地良い。
いつまでも俺を見続けるあの瞳。
あれを失くすわけにはいかない。
体が動く。
ボキ
骨の砕ける音がした。
「ぎゃあああああああああああ!」
目の前でちんけな男が叫び声をあげた。
無理やり銃口を横に向けたので指の骨でもいったのだろう。
かまいやしない。
あの瞳を失くすわけにはいかないのだから。
それさえあれば…。
「レイ!」
サラが俺を呼んでいた。
今のはなんだ?
俺は何を思っていたんだ?
記憶の断片。
何か、肝心な何かを思い出していたはずなのに…。
名前を呼ばれた途端に消えてしまった。
一体なんだったんだ…?
「レイ?」
サラが不思議そうな顔で俺を見ている。
俺は今…何をしたんだ?
当たり前の様に男の指を折った。
俺は一体…何者なんだ?
2008/5/21 22:40
さすらいの男(22)【サラ】 さすらいの男
一瞬のことだった。
周りにいた男達が吹き飛んだ。
速すぎて何をしたのか分からない。
何かの衝撃を受けて、男達は倒れた。
あっという間に一人きりになってしまったアトマーレ。
未だ状況が飲み込めず目をぱちくりしている。
気のせいか、レイの顔が微かに笑っているような…。
「ぐああ!」
突然レイが頭を抑えて倒れこんだ。
「レイ?!」
慌てて駆け寄る。
「頭が…頭が…割れそうだ…!」
何がおきているのか分からない。
「レイ?!しっかりして!」
レイの顔が真っ青になっている。
相当苦しそうだ!
「ははは、よく分からないが、勝負あったね。
今僕がこの引き金を引けば、君たちは消える」
いつの間にかその手には拳銃が握られて、
真っ直ぐこちらを見ている。
「あなたって、どこまで卑怯なの?
何かに頼ってばかりで。
たまには自分の力でやり遂げてみなさいよ!」
「だ、だまれ!女の分際で!」
銃口がふらつきながらも私達を捉える。
もう、だめだ!
その時だった。
周りにいた男達が吹き飛んだ。
速すぎて何をしたのか分からない。
何かの衝撃を受けて、男達は倒れた。
あっという間に一人きりになってしまったアトマーレ。
未だ状況が飲み込めず目をぱちくりしている。
気のせいか、レイの顔が微かに笑っているような…。
「ぐああ!」
突然レイが頭を抑えて倒れこんだ。
「レイ?!」
慌てて駆け寄る。
「頭が…頭が…割れそうだ…!」
何がおきているのか分からない。
「レイ?!しっかりして!」
レイの顔が真っ青になっている。
相当苦しそうだ!
「ははは、よく分からないが、勝負あったね。
今僕がこの引き金を引けば、君たちは消える」
いつの間にかその手には拳銃が握られて、
真っ直ぐこちらを見ている。
「あなたって、どこまで卑怯なの?
何かに頼ってばかりで。
たまには自分の力でやり遂げてみなさいよ!」
「だ、だまれ!女の分際で!」
銃口がふらつきながらも私達を捉える。
もう、だめだ!
その時だった。
2008/5/21 22:39
さすらいの男(21) さすらいの男
体中が熱い。
この感覚を俺は知っている…。
こうやって興奮して、誰かと戦っていた…。
記憶が、本を開くようにゆっくりと覚醒していく。
周りの男達が動き始めた。
サラを後ろに庇い、身構える。
囲まれて、ピンチに陥る。
それは日常茶飯事だった。
そして、…
そして、…
何かが足りない…
後ろには…
後ろには…
男達が一斉に襲い掛かってきた。
「きゃあ!」
サラの悲鳴を聞きながら俺の体は当たり前のように軽やかに動く。
覚えている。
戦い方を。
拳が、足が、決められているかの様に弧を描く。
いつしか密やかに笑みを浮かべていた。
この興奮の中で俺は生きてきたのだ。
生きるか死ぬか。
それが俺の世界!
瞬間、勝敗は決まっていた。
確実に急所を決めた男達が転がっている。
死んではいないはずだ。
殺すことはやめたから。
あのときから。
あのとき?
あのとき…
あ・の・と・き…
大切な何かが足りない…
それは…
それは…
「ぐああ!」
頭に激痛が走った。
この感覚を俺は知っている…。
こうやって興奮して、誰かと戦っていた…。
記憶が、本を開くようにゆっくりと覚醒していく。
周りの男達が動き始めた。
サラを後ろに庇い、身構える。
囲まれて、ピンチに陥る。
それは日常茶飯事だった。
そして、…
そして、…
何かが足りない…
後ろには…
後ろには…
男達が一斉に襲い掛かってきた。
「きゃあ!」
サラの悲鳴を聞きながら俺の体は当たり前のように軽やかに動く。
覚えている。
戦い方を。
拳が、足が、決められているかの様に弧を描く。
いつしか密やかに笑みを浮かべていた。
この興奮の中で俺は生きてきたのだ。
生きるか死ぬか。
それが俺の世界!
瞬間、勝敗は決まっていた。
確実に急所を決めた男達が転がっている。
死んではいないはずだ。
殺すことはやめたから。
あのときから。
あのとき?
あのとき…
あ・の・と・き…
大切な何かが足りない…
それは…
それは…
「ぐああ!」
頭に激痛が走った。
2008/5/19 10:57
さすらいの男(20)【サラ】 さすらいの男
いいところだったのに…
本当にあと数センチだったのに。
そうすれば私のファーストキス達成だったのに。
どうしてこうタイミングよくこの男は出てくるのかしら?
恨めしそうに見上げてもこのニブチンには分からないようだ。
「どうせすでに傷物になっているし、
それなら僕としても心が痛まないな。
というわけで、君にはさらに汚れてもらうよ」
気付けば数人の男達が周りを囲っていた。
まさか、このあほんだらは
自分の手で落とし前をつけようとは思っていないみたい。
「彼氏は目の前で殺されて、
君自身は複数の男に汚されて、
もう帰ることもできなくなる。
というか帰ってこられても困るがね。
折角だから、みなさんに差し上げてしまおうかな?
君一人いなくなっても大丈夫だし」
今なんと言ったの?
あまりのことに思考がついていけない。
そんな卑怯な手を使うなんて…。
人間じゃないわ。
多勢に無勢。
レイを巻き込んでしまった…。
こんな事になるはずじゃなかった!
こんな風になるとは思わなかった!
どうしよう…
私の責任だ
私はどうなってもいい。
でも、でもレイは!
レイは関係ない!
私が勝手に巻き込んでしまったのだもの!
「レイは、この人は関係ないわ!
私はどうなってもいいから!
だから逃がしてあげて!」
気付くと大声で訴えていた。
「サラ…」
「はははっははははは!
甘いよ。甘すぎるよ。
君はまだ世の中を知らなすぎる。
だから僕が教えてやるよ。
世の中はそんなに甘くないってね!」
嬉々としてアトマーレは手を軽く掲げた。
すると周りの男達が動き始めた。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう…。
「サラ、そんなに心配するな。
大丈夫だ」
レイがぼそりと私に言った。
そして私を庇うように前に立った。
本当にあと数センチだったのに。
そうすれば私のファーストキス達成だったのに。
どうしてこうタイミングよくこの男は出てくるのかしら?
恨めしそうに見上げてもこのニブチンには分からないようだ。
「どうせすでに傷物になっているし、
それなら僕としても心が痛まないな。
というわけで、君にはさらに汚れてもらうよ」
気付けば数人の男達が周りを囲っていた。
まさか、このあほんだらは
自分の手で落とし前をつけようとは思っていないみたい。
「彼氏は目の前で殺されて、
君自身は複数の男に汚されて、
もう帰ることもできなくなる。
というか帰ってこられても困るがね。
折角だから、みなさんに差し上げてしまおうかな?
君一人いなくなっても大丈夫だし」
今なんと言ったの?
あまりのことに思考がついていけない。
そんな卑怯な手を使うなんて…。
人間じゃないわ。
多勢に無勢。
レイを巻き込んでしまった…。
こんな事になるはずじゃなかった!
こんな風になるとは思わなかった!
どうしよう…
私の責任だ
私はどうなってもいい。
でも、でもレイは!
レイは関係ない!
私が勝手に巻き込んでしまったのだもの!
「レイは、この人は関係ないわ!
私はどうなってもいいから!
だから逃がしてあげて!」
気付くと大声で訴えていた。
「サラ…」
「はははっははははは!
甘いよ。甘すぎるよ。
君はまだ世の中を知らなすぎる。
だから僕が教えてやるよ。
世の中はそんなに甘くないってね!」
嬉々としてアトマーレは手を軽く掲げた。
すると周りの男達が動き始めた。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう…。
「サラ、そんなに心配するな。
大丈夫だ」
レイがぼそりと私に言った。
そして私を庇うように前に立った。
2008/5/19 10:54
さすらいの男(19) さすらいの男
サラが目を閉じた。
顔が近づいていく。
そうすることが自然なように。
そして…
「! 誰だ?!」
暗闇から誰か近づいてくる。
サラがはっとして身を固くする。
「やあ、お楽しみのところを邪魔しちゃったかな?」
嫌に派手な格好をした男が近づいてきた。
「アトマーレ!」
こいつがアトマーレか。
軟弱そうな男だ。
「やあ、サラ君。君にはしてやられたね。
まさかあんなことをするなんて。
そんな野蛮な女性だとは思わなかったよ」
「いかに私を見ていないか分かる言葉ね。
そんなんで私に結婚なんか申し込むからいけないのよ」
「君という人は…。
レディーとしての教育が足りていないようだね」
「人間としては十分よ」
「分かっているだろう?
君に求められているのはそんなものじゃないよ。
僕のパートナーにふさわしいと思ったのだが、
本当に、とんだ見当違いだね。
おまけにあんな恥までかかされてしまって、
どうやって償ってもらおうか」
良くペラペラ喋る男だ。
「どうせすでに傷物になっているし、
それなら僕としても心が痛まないな。
というわけで、君にはさらに汚れてもらうよ」
気付けば数人の男達が周りを囲っていた。
このおしゃべりは気を逸らすための罠か?!
単なるおしゃべりにしか見えんが…。
「彼氏は目の前で殺されて、
君自身は複数の男に汚されて、
もう帰ることもできなくなる。
というか帰ってこられても困るがね。
折角だから、みなさんに差し上げてしまおうかな?
君一人いなくなっても大丈夫だし」
サラの顔が青ざめた。
ここまでは予想してなかったようだ。
サラもまだまだ甘い。
このくらいは予想範囲内だ…。
…なんの?
俺は何か予想していたっけ?
その時、頭の奥がズキッと痛んだ。
顔が近づいていく。
そうすることが自然なように。
そして…
「! 誰だ?!」
暗闇から誰か近づいてくる。
サラがはっとして身を固くする。
「やあ、お楽しみのところを邪魔しちゃったかな?」
嫌に派手な格好をした男が近づいてきた。
「アトマーレ!」
こいつがアトマーレか。
軟弱そうな男だ。
「やあ、サラ君。君にはしてやられたね。
まさかあんなことをするなんて。
そんな野蛮な女性だとは思わなかったよ」
「いかに私を見ていないか分かる言葉ね。
そんなんで私に結婚なんか申し込むからいけないのよ」
「君という人は…。
レディーとしての教育が足りていないようだね」
「人間としては十分よ」
「分かっているだろう?
君に求められているのはそんなものじゃないよ。
僕のパートナーにふさわしいと思ったのだが、
本当に、とんだ見当違いだね。
おまけにあんな恥までかかされてしまって、
どうやって償ってもらおうか」
良くペラペラ喋る男だ。
「どうせすでに傷物になっているし、
それなら僕としても心が痛まないな。
というわけで、君にはさらに汚れてもらうよ」
気付けば数人の男達が周りを囲っていた。
このおしゃべりは気を逸らすための罠か?!
単なるおしゃべりにしか見えんが…。
「彼氏は目の前で殺されて、
君自身は複数の男に汚されて、
もう帰ることもできなくなる。
というか帰ってこられても困るがね。
折角だから、みなさんに差し上げてしまおうかな?
君一人いなくなっても大丈夫だし」
サラの顔が青ざめた。
ここまでは予想してなかったようだ。
サラもまだまだ甘い。
このくらいは予想範囲内だ…。
…なんの?
俺は何か予想していたっけ?
その時、頭の奥がズキッと痛んだ。
2008/5/16 20:40
さすらいの男(18)【サラ】 さすらいの男
胸がドキドキしている。
足がもつれてしまう。
後ろからは追っ手がついてくる。
私達は走った。
どれくらい走ったのだろう。
「と、とりあえずは大丈夫だろう」
レイが言った。
私は苦しくて何も言えない。
ただ呼吸を繰り返すだけ。
「つ、疲れた…」
そういって座り込んでしまった。
こんなに走ったのは初めて!
本当に体力の限界を感じた。
「大丈夫か?」
レイはそんなこともないみたいで、
少し息は切れているものの、私みたいにへたり込まない。
「レイ、は、平気、なの?」
切れ切れに言った。
レイが私の隣に腰を下ろす。
「ああ、俺はなんとかな。しっかし驚いたぜ!
何を言い出すのかと思った」
はははとレイが笑った。
「ああ、言って、おけば、下手な相手が、近寄らなく、なるでしょ」
まだ呼吸が苦しい。
でも気分は爽快!
「レイ、ごめんなさい。あなたを、こんな形に巻き込んで。
でも心配しないで。お父様にはきちんと説明するから」
「そうしてくれ。殺されかねないからな」
ふふふと私も笑った。
あんなことを宣言してしまえば、余程の物好きでなければ、
私を娶ろうなんて思わないはず。
たとえ「私は潔白です」
なんて宣言しても、後ろ暗いうわさは残る。
きっとサルツブグル家も手を引いてくるだろう。
お父様とお母様は嘆くだろうけど。
「うちに帰ったらどうなるかしら。
勘当されたりして」
「そうなるかもしれないぜ。
そうしたらどうする?」
「家を出るしかないわね。そして私は自由に暮らすわ。
何にも縛られない、私になるの」
「そりゃあいいな」
一緒に私達は笑った。
その時ふと、レイと目が合った。
何となくはずすこともできずに、何となく見つめあう。
何となく自然に、顔が近づいていく。
そうすることが自然なように。
そして…
足がもつれてしまう。
後ろからは追っ手がついてくる。
私達は走った。
どれくらい走ったのだろう。
「と、とりあえずは大丈夫だろう」
レイが言った。
私は苦しくて何も言えない。
ただ呼吸を繰り返すだけ。
「つ、疲れた…」
そういって座り込んでしまった。
こんなに走ったのは初めて!
本当に体力の限界を感じた。
「大丈夫か?」
レイはそんなこともないみたいで、
少し息は切れているものの、私みたいにへたり込まない。
「レイ、は、平気、なの?」
切れ切れに言った。
レイが私の隣に腰を下ろす。
「ああ、俺はなんとかな。しっかし驚いたぜ!
何を言い出すのかと思った」
はははとレイが笑った。
「ああ、言って、おけば、下手な相手が、近寄らなく、なるでしょ」
まだ呼吸が苦しい。
でも気分は爽快!
「レイ、ごめんなさい。あなたを、こんな形に巻き込んで。
でも心配しないで。お父様にはきちんと説明するから」
「そうしてくれ。殺されかねないからな」
ふふふと私も笑った。
あんなことを宣言してしまえば、余程の物好きでなければ、
私を娶ろうなんて思わないはず。
たとえ「私は潔白です」
なんて宣言しても、後ろ暗いうわさは残る。
きっとサルツブグル家も手を引いてくるだろう。
お父様とお母様は嘆くだろうけど。
「うちに帰ったらどうなるかしら。
勘当されたりして」
「そうなるかもしれないぜ。
そうしたらどうする?」
「家を出るしかないわね。そして私は自由に暮らすわ。
何にも縛られない、私になるの」
「そりゃあいいな」
一緒に私達は笑った。
その時ふと、レイと目が合った。
何となくはずすこともできずに、何となく見つめあう。
何となく自然に、顔が近づいていく。
そうすることが自然なように。
そして…
2008/5/16 11:08
さすらいの男(17) さすらいの男
サラの父親が壇上に上がっていく。
それをサラと俺が追いかける。
サラは一体何をするつもりなんだろう?
壇上に上がって何か言おうとしたその時、
「まって、私から言わせて」
サラが父親を止めた。
サラが壇上に上がっていく。
俺はそれを下から眺めていた。
父親と代わり、サラがマイクの前に立った。
会場がサァッと静かになる。
すっと眼下を見回して息をつく。
何を言うのか?
いや、婚約のことに決まってはいるのだろうが。
「皆様、本日は私達のために集まって頂き、
誠に有難うございます」
背筋をしゃんと伸ばして真っ直ぐ前を見ている。
その瞳に迷いはない。
「私、サラ・リージス・トラバースは、
ここにいます、レイと婚姻の契りを結びました」
会場がざわつく。
というか俺がびっくりだ!
「故に、私はレイと結婚します!」
そういうとサラが壇上から俺めがけて飛び降りてきた!
「レイ!」
落ちてくるサラを受け止める。
もう少しで倒れるところだった!
無茶をする!
「レイ!逃げましょ!」
そういうと俺の手を引っ張ってサラが駆け出した。
すると突然のことにボーっとなっていたサラの父親達が
ハッとなって、
「まてー!捕まえろー!」
突然の事にボーっとなっていたのだからみんな動きが鈍い。
そんな奴等の合間をすり抜けて、
俺達は会場から逃げ出した!
それをサラと俺が追いかける。
サラは一体何をするつもりなんだろう?
壇上に上がって何か言おうとしたその時、
「まって、私から言わせて」
サラが父親を止めた。
サラが壇上に上がっていく。
俺はそれを下から眺めていた。
父親と代わり、サラがマイクの前に立った。
会場がサァッと静かになる。
すっと眼下を見回して息をつく。
何を言うのか?
いや、婚約のことに決まってはいるのだろうが。
「皆様、本日は私達のために集まって頂き、
誠に有難うございます」
背筋をしゃんと伸ばして真っ直ぐ前を見ている。
その瞳に迷いはない。
「私、サラ・リージス・トラバースは、
ここにいます、レイと婚姻の契りを結びました」
会場がざわつく。
というか俺がびっくりだ!
「故に、私はレイと結婚します!」
そういうとサラが壇上から俺めがけて飛び降りてきた!
「レイ!」
落ちてくるサラを受け止める。
もう少しで倒れるところだった!
無茶をする!
「レイ!逃げましょ!」
そういうと俺の手を引っ張ってサラが駆け出した。
すると突然のことにボーっとなっていたサラの父親達が
ハッとなって、
「まてー!捕まえろー!」
突然の事にボーっとなっていたのだからみんな動きが鈍い。
そんな奴等の合間をすり抜けて、
俺達は会場から逃げ出した!
2008/5/8 13:48
さすらいの男(16)【サラ】 さすらいの男
ドアが開き、ゆっくりと車から降りる。
主役が遅れて到着。
父と母は内心冷や汗ものだろう。
大きな扉をくぐるとパーティ会場だ。
事前に事を知っているのだろう。
みんな私を見てひそひそ話している。
にこやかに愛想良く挨拶してくる人もいるが、
隣に連れているレイを見て訝しげな顔になる。
それはそうだろう。
なんたって今日は婚約発表パーティなんだもの。
しかもわ・た・し・の
「サラ、遅かったじゃないか。
何をしてたんだ?」
「ごめんなさいお父様。支度に手間取ってしまって。
なんせ今日はとても大事な日ですし」
父は駆け寄ってくるとちらをレイを見た。
如何にも邪魔そうに。
「とにかくあちら様も大分待たせてしまったのだ。
早々に始めてしまおう」
そういってステージへ走っていってしまった…。
「行きましょう」
レイの手をとってお父様の背中を追いかけた。
父が何か、余計なことをする前に、
私がやってしまわないと!
この時に、私の運命がかかってるのだから!
主役が遅れて到着。
父と母は内心冷や汗ものだろう。
大きな扉をくぐるとパーティ会場だ。
事前に事を知っているのだろう。
みんな私を見てひそひそ話している。
にこやかに愛想良く挨拶してくる人もいるが、
隣に連れているレイを見て訝しげな顔になる。
それはそうだろう。
なんたって今日は婚約発表パーティなんだもの。
しかもわ・た・し・の
「サラ、遅かったじゃないか。
何をしてたんだ?」
「ごめんなさいお父様。支度に手間取ってしまって。
なんせ今日はとても大事な日ですし」
父は駆け寄ってくるとちらをレイを見た。
如何にも邪魔そうに。
「とにかくあちら様も大分待たせてしまったのだ。
早々に始めてしまおう」
そういってステージへ走っていってしまった…。
「行きましょう」
レイの手をとってお父様の背中を追いかけた。
父が何か、余計なことをする前に、
私がやってしまわないと!
この時に、私の運命がかかってるのだから!
