2008/9/2  23:57

サイトウ・キネン・フェスティバル松本  豊かな気持ち
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数時間前、まつもと市民芸術館で小澤征爾氏指揮のヤナーチェク歌劇「利口な女狐の物語」を楽しんできました。本当に観れてよかったなあと思ったわけです。そして、入手困難なサイトウ・キネンのチケットを譲っていただいた松本の友人ファミリーに感謝です。
何年も前から松本のサイトウ・キネンは観たいと思っていたもののなかなか来る機会と気合がなく、今日ここにたどり着けた偶然とご縁、そして自分の中に芽生えていた観たいという強い願望に不思議なめぐりあわせを感じます。予習の甲斐あってあらすじは頭に入り、行きのスーパーあずさでは携帯電話に入れた音楽ファイルを繰り返し聞いてきたので、会場に着いたときにはいまだ出会っていない旧知の友人に会う気持ちになっていて、準備は万端。フェスティバルのスタッフやおそらくボランティアの人々の対応とそこはかとなく感じる熱意に、人々の本イベントへの気持ちを勝手に斟酌し、さらに期待は深まります。
ステージは、今まで自分が見てきたオペラとはまったく違う体験という印象です。それは、今までがオペラ観劇を楽しみながらも向き合い方がそれほど楽しむための準備が十分ではなかったということもあります。いつも時差ぼけでヨーロッパで見ていた。一流の演目と有名な演者ではあったが物語の予習をさほどしていなかった。どちらかというと人に誘われて観にいっていた。なんていう気持ち不足の向き合い方ですな。そして今回はまったく自分の知らない演目であったため準備も万端にし、過去におけるもったいなかった準備不足への反省、そして本当にすばらしいステージが、来てよかったと言う気持ちになったと思います。
オペラはやはり総合芸術でありエンターテインメント。オーケストラ、歌唱、大道具小道、舞台演出、照明、会場設備、運営スタッフ、そして観客。このすべての調和の具合がオペラなので、この空間を共有できるというのは面白い体験です。
正直、今回の演目は映画でたとえればハリウッドではなく小劇場的。それゆえに、自分がもう一度この演目を見れるかはわかりません。本日は千秋楽でしたが、、カーテンコールの合間に指揮の小澤征爾氏がオーケストラピットのメンバーひとりひとりに出向き握手をしていた様子も印象的でした。
いろいろ貴重な瞬間(プレシャス・モーメント)を味わったほぼ2時間でした。十年以上ぶりのオペラ、また観劇癖が出てきそうです。

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2008/9/8  10:36

ヤナーチェク 「利口な女狐の物語」    [オペラの夜]
<フィレンツェ・マッジョ・ムジカーレ共同制作/プリミエ> 2008年8月26日(火)18:30/まつもと市民芸術館 指揮/小澤征爾 サイトウ・キネン・オーケストラ 東京オペラシンガーズ 演出・衣装/ロラン・ペリー 美術/バーバラ・デリンバーグ 照明/ペーター・ヴァン・プラント 振付/リオネル・オッシュ 女狐ビストロウシュカ/イザベル・ベイラクダリアン 雄狐ズラトフシュビテーク/ローレン・カーナウ 森番/クィン・ケルシー 森番の妻&梟/ジュディス・クリスティン 校長&蚊/デニス・ピーターソン 神父&穴熊/ケヴィン・ランガン 密猟者ハラシュタ/デール・トラヴィス バーセク亭主人/松原友 バーセク亭女将/増田弥生 飼い犬ラパーク/マリー・レノーマン きつつき/牧野真由美 雄鶏&かけす/黒木真弓 雌鶏/高島敦子/柴田由香/中園陽江/ 北村典子/三宮美穂/橋本啓香 <SKF松本児童合唱団> 子狐ビストロウシカ/伊藤ゆきな 蛙/前田正志郎 こおろぎ&子狐/杉田円夏 きりぎりす&子狐/細谷枝里佳 森番の息子ペピーク/伊藤駿 その友達フランチーク/幅谷穣 子狐/大島美波/沢野仁美/松本知紗  初めて聴くオペラだったが、透明で哀切な歌の続く、美しい音楽に大変感銘を受けた。「利口な女狐」には、ヴェルディやプッチーニにあるような、これみよがしな要素は全く無い。ひたすら音楽が浄らかに響くと云う意味で、僕の中では「魔笛」に比肩するオペラとなった。純粋な音楽が象徴の域にまで高められたオペラと云う意味では、「パルシファル」にも匹敵すると思う。  客電の落ちた真っ暗なホールに、「どっこいしょ」と云う声が聞こえ、小澤がオケピットに入って来る。例によってタクトを持たずに指揮をする、小澤の前にある照明を内蔵した譜面台に、楽譜は置かれていない。「利口な女狐」を、小澤の十八番の一つとする評価が有るのかどうかは良く知らないが、今日の上演を聴き終え、チャイコフスキーやプーランクのオペラと同様に、小澤が彼なりに自家薬籠中のものとした演奏と感じた。つまり、音楽を慈しむような姿勢は魅力的なのだが、遅い部分では更にテンポを落とし、抒情的な面を強調して欲しい所もある。個々の場面ではアゴーギグの動かし方が柔軟で、リズムの扱いに弾力はあるのだが、全体を通すと同じようなテンポに終始していて、単調になってしまう。  
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