2008/5/29  1:47

三愛石油の国際油化買収  分類なし

国際油化が三愛石油に買収された。7月からキグナス石油と同じく三愛石油のグループ企業として存続する。
かつてはエッソの需給調整機能として業転市場を席巻し、同時にエッソブランドを主体に直営ネットワークも拡充してきた。想像だが、エッソは国際油化で数量(余剰処理)を確定することによって、代理店政策を合理的に推進できたのではないだろうか。その結果、東燃に対してバイイングパワーを発揮して、仕切りも配当も厚遇させる物言う株主として君臨した。
しかし、この1年間で、国際油化の収益状況は激変している。もともと2000億円を越す売上高に比して利益は低かったのだが、今年3月期の売上高営業利益率はなんと0.025%。主力取引先であるエクソンモービルとの関係変化があったと想像される。
株主資本比率は09年度に7.5%。相当額の有利子負債を抱えているのであろう。

平成18年3月期     平成19年3月期
売上高   230,620百万円   239,100百万円
営業利益    1,305百万円        58百万円
経常利益    1,983百万円       755百万円
当期純利益     428百万円       269百万円
総資産    24,607百万円    26,657百万円
株主資本    1,720百万円     1,988百万円

同社を丸抱えしてきた三井物産も、連結子会社として維持できない内実があったと考えられる。
今後、50%の極東石油や100%の三井石油に関しても、資本の形が変化する可能性が高まってきた。
                   ◆
国際油化売却の噂は前からあって、昨年中には伊藤忠エネクスで決まりという情報がささやかれていた。
情報通によると、伊藤忠にとってネックとなったのは、売却価格とジェット燃料だった。伊藤忠は、ジェット燃料は他社それこそ三愛に売却して、油化の石油流通機能を買収する方針だったようだ。
一方、三愛石油は旧運輸官僚を創業社長に戴いて、航空燃料を原動力として石油、ガスに業容を拡大してきた。
同社の08年3月期決算を見ると、航空燃料部門は売上げ構成では25%。石油が過半数を占めるのだが、一方、売上高営業利益率で見ると、@石油0.7%、ALPG2.5%、B航空燃料16.2%と一目瞭然、航空分野の利益貢献度は高い。
現状においては、「羽田空港においては、昨年10月からの発着枠拡大により航空機の発着回数は増加したものの、航空機の小型化や低燃費化が進んだことにより、燃料搭載数量は前年を下回りました。」とあるように、航空燃料市場に懸念も明らかにしている。
しかし、羽田空港拡張で需要の増加も見込めることもあり、成熟する国内市場を相手とする石油、LPGに比べれば、空から来客する分、中期的には非常に優位な事業と言える。
国際油化は、国際航空給油による航空燃料事業で40年近い実績を持つ。おそらく、ここに三愛が魅力を感じたのであろう。
                   ◆
ところで、この買収話に先立って、三愛石油は自社に対する「買収防衛策」を明らかにしている。簡単に言えば、議決権20%超を狙う大規模買収に際して、買い手は社外有識者による独立委員会に趣旨を説明するルール。いきなりTOBをかけられたり、ファンドに利益だけ流出させられるのを回避する企業防衛策は05年に経済産業省が指針を出して以来、上場企業が熱心に導入を進めている。
ひょっとすると買収提案があったのかも知れない。(同社は否定しているが)
株価低迷の中で、日本企業の割安感が出ており、原油に向かうマネーがちょっと方向を変えれば簡単に買収できる企業が少なくない。
三愛も、株価が1株あたり純利益の何倍かを見る「株価収益率(PER)」が10倍で、これは利益の割りに現状の株価が低く見積もられている。つまり、買い得感が出る水準だ。逆に、出光興産は87倍、東燃も80倍とこれらは期待が大きすぎて、
一方、1株あたり純資産に対する株価を示す「株価純資産倍率(PBR)」は、0.65。つまり、投資した資本が0.65倍にしかなっていない=投資した金が目減りしているという状態。投資家の金を経営陣が生かせていない、と見られかねない。
さらに株主資本でどれだけ当期利益を稼ぎ出すかを見る「自己資本利益率(ROE)」は、配当原資を判断できるだけに投資家が注目する指標だが、これが6.5。この数字自体は、同業態の伊藤忠エネクス、ミツウロコ、シナネンなどに比べれば高いレベルにある。しかし、業態が全く異なるとはいえ、元売の新日石11.8、昭和シェル13.5には及ばない。また欧米では17-18%が当たり前。
欧米が非常識なのか日本がそうなのか分からないが、明らかなことは世界の金は日本企業に向かわないことだ。三愛石油は、着実に利益を上げて、有利子負債も適度でかつ漸減させており、キャッシュフローも08年3月期は特殊要因でマイナスになったが投資しながら返済を継続しており、手堅く安定したイメージを与える。航空燃料によって石油、ガス、化成品等との事業構成も堅実に見える。
                   ◆
しかし、投資家目線で見た場合は別の光景が見えるかもしれない。
三愛には虎の子の「空港利権」が存在する。国内石油製品が急速に減販する中で、航空需要はここ何年かは微増と考えられる。悪しき国交省官僚の天下り利権を無視して離発着料が国際標準以下になれば、世界でもっとも平和ボケもとい安全で善良なる日本への便数は拡大する。
また、三菱重工にトヨタがそれこそ便乗したYS11以来の純国産機が開発されれば、小型機ならではの気軽な空路市場が誕生する。
その給油利権をほぼ独占する三愛石油の将来像は、現状の株価、財務指標からすれば「良い会社を安く買う」という投資家最高のターゲットであるかもしれない。

国際航空給油を含む国際油化の買収は、三愛石油にとって「始まりの始まり」となるかもしれない。

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久しぶりの「懐かしエッソシリーズ・昭和38年東京世田谷真中GSオープニングイベントト」。GS店頭でツイスト大会。これって今やったら当たるんじゃないかな。NHK朝ドラのヒップホップやったりして

2008/5/12  12:10

需給引締めの中で伊藤忠は希望の星たりうるのか  分類なし

想像以上に国内需給がタイトになり、GSの淘汰が加速されそうな状況だ。
先行き厳しい噂から。

新日石は、秋の九石経営統合を機に、九州地区での他社とのバーターを縮小するという情報。
九石大分製油所は、原油タンカーが直接着桟できるうえに、新日石麻里布に比べて高度化されている。これを輸出に傾斜させるという。
そうなれば、麻里布の稼働率が上がり、中四国・九州の需給が締まる上に、他社とのバーターも切り捨てという状況が予想される。
もう1つは、これに関連しているのかどうか分からないがエクソンモービルの噂。
年内に東燃ゼネラル、極東から150km圏外へは供給しないことになるらしい。その先鋒として長野松本基地への供給を止めるという。
代理店を遠心分離機にかけてきたEMだが、儲かる地域、儲かる代理店に特化した戦略を加速する。内航船による横持ちもせず、どころかローリー持ち届けすら止めてしまうかもしれない。製油所だけの商売に集約するということか。
真偽はともかく、日本で改質装置にかけて20KLずつ陸送するよりも、外航タンカーで半製品(ナフサ)をアジアにぶちまけた方が手間がかからず、しかもマージンを高く取れるのだから、もはや元売は国内への安定供給を第二義に置き始めている。
暫定税率問題を機に、国内販売は一層減退が加速しそうな状況が追い討ちをかける。
供給量に合わせてGSの数を適正化すると公言しているようである。
            ◆
さて、このような市場の中で、今もっともきついのが商社系販社、フリート、大手卸の流通大手だろう。
住商石油の出光への売却、コーナンの(石油事業)伊藤忠エネクスへの売却、伊藤忠グループ石油事業の伊藤忠エネクスへの集約(エネクスを伊藤忠商事の子会社化)など流通大手の事業再編が始まっている。
フリートは金城湯池だった軽油の激しい減販と元売との力学の転換によってGS小売へ傾斜しているが、何分巨体だけに軽油のキャッシュフロー減退は厳しい。長距離トラックの中継地点という立地戦略は、各社とも共通している結果、同一地点にフリートが集中する傾向もあった。軽油減販の中で、立地が逆目に出ている。ガソリンの比重を高める戦略を強めているが、既存店との差別化は容易ではない。
卸は、余剰玉が輸出に出されるため量による特価引出しが困難になり、大手商社や上場企業の名前が通用しなくなっている。さらに収益源であったLPGの収益が悪化している。
したがって、LPG分野が先行しているように、流通大手の再編が活発なものとなる。どこかの元売との関係が強いという以外は、やっている業務は同様であり、扱っている商品にもちろん差別性がない。
一度、会社というベールをはずして、出荷基地、充填所、GS拠点だけを洗い出して、重複するものを統合し、システムも統合し、人員を整理し、その上に新会社を乗せるというぐらいの激しい再編を求められるだろう。

            ◆
ところで伊藤忠は製油所を持たないのだろうか。
今回のエネクスへの事業統合によって、国内販売特化から石油貿易も含んだ体制となっている。商事は原油を購入する力を持っているし、アジア地域への販売は元売よりも得意であろう(商社だから、あらねばならない)。国内は石油・LPGともに元売並みの販売網を築き上げてきた。
旧共石・昭石・大協といった民族系元売の精販ギャップを最大活用して成長したエネクスは、特石法撤廃以前の商社系成功モデルであった。しかし2000年に100億円近かった営業利益は漸減し08年3月期はなんとか50億円に。売上高営業利益率は1.7%前後だったが、ここ3年は1%を割り08年3月期は0.7%に低迷。また、株価低迷の影響もあろうが、純資産比率は2000年頃は36-37%あったものが32%台となり、競争への投資が思うようにリターンしない状況がうかがえる。
ただし、同社は商社系でもっともアグレッシブに販売網を拡大してきた迫力を持ち(カーケア関連のFC斡旋はいかがなものかと思うが)、実際、これだけのGS・LPG拠点と直売顧客を抱えているのだから、後戻りはないと信じたい。
            ◆
伊藤忠商事がエネクスを子会社化したのだが、今後どういう動きになるのだろうか。
商事が(第三者割当等)投資家を組織化するか外資を持ち込むかして、エネクスに新たな機能を強化する戦略なのか。あるいは元売や同業他社と統合する布石なのか。
エネクスの原価を下げて利益を高め、元売に左右されない供給体制のためには製油所を持ってほしいのだが。元売が横一線で国内をタイト化させるなら、国内供給強化という逆張りニッチ戦略もある。系列が流動化しているだけに、小売業者は大いに支持すると確信する。(ただし元売間でのバーターなど難しいかも)
もっとも、伊藤忠はかつて東亜石油で大ヤケドをしたトラウマがある。期待に反して、商事はエネクス売却なんてことを考えているかもしれないのだが。

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伊藤忠商事グループ石油事業統合の戦略イメージ(同社資料)

2008/5/9  13:35

08年は特約店制度が終わる起点となる  分類なし

しばらく書かないでいたら、「いつになったら発行するのか」と何人かから文句を言われた。これは定期刊行物でもなく、まして有償でもない、思いつきで書く便所の落書きのようなものだ。「便所にもっと書け」と言われても困るのだが。
ただ、ウェブの扉が開かれたことで、玉石混交ながら様々な意見がリアルタイムに飛び交うようになった。GS業界には高い見識、経験を持っている人が少なくない。どこのプロバイダーも無償で提供してくれるので、ブログという手立てを使って、資源エネ庁、石油連盟、全石連の「談合三兄弟」から垂直に降りてくる(加工された)情報は情報として、実務者による横糸の情報を高めていって欲しい。
もはや垂直情報をありがたく聞いている時代ではない。情報は検証しなければならない。ウェブを使えば、小さなサブ店経営者でも「戦略広報」が可能となる。
                ◆
暫定税率の狂騒が落ち着いたというか、GS店頭は平穏を通りこして閑古鳥が鳴きわめいている。
閑古鳥どころか、“月給取り”が騒ぎ始めた。火曜日のテレビ東京・ガイアの夜明けで、昭和シェル特約店の労務問題が20分にわたって放映された (見ていないが)。「アルバイトスタッフが組合を結成したらGSセルフ化を機に全員解雇された」ということから、外部の「フリーター労働組合」と連携して不当解雇の抗議活動を行っているようだ。特約店本社への抗議行動、GS周辺のビラまき、元売の株主総会へ押しかけてシュプレヒコールを上げるなど、けっこう激しい。
マックの店長問題で「店長は管理職か」が問われ小売業全体に大きな波紋を投げかけたが、今度はアルバイト。法令順守流行りの世情ゆえに、労働基準法を突きつけられるとGS業界は辛いところ。とりわけ、“親”がCSRとかコンプライアンスを明文化してしまっている連結関係の元売直営子会社の「火種」は大きいことだろう。

                ◆
さて、今年はいよいよ国内販売が変質を遂げる1年となる。今年になっての気になる出来事をざっと羅列してみる。

1、新日石が韓国SKと提携
2、新日石が九石を吸収合併
3、新日石の販売子会社エネオスフロンティア巨大化
4、新日石が日本海石油富山製油所を停止。オイルターミナル化
5、新日石が大阪製油所を中国石油と合弁化
6、伊藤忠商事が石油関連事業を伊藤忠エネクスに集約し、同時にエネクスを子会社化
7、伊藤忠エネクスがコーナングループGS事業を買収
8、コスモ石油が韓国現代と業務提携
9、出光興産が住商石油を吸収合併
10、LPG分野で伊藤忠・JOMO・大阪ガスの統合、三井物産と丸紅の統合、昭シェル(昭石ガス)と住商液化ガスの統合
11、JOMO販売子会社群を統合新会社化
12、エクソンモービルグループと東燃ゼネラルとの関係が希薄に
―等々。

新日石の動きが活発だ。元売は資本を石油開発、石油精製高度化・効率化、アジア地域での販売に重点投入する。国内に関しては、非効率製油所の廃止や売却、そして特約店制度の見直しを行う(行っている)。
利は元にありとはよく言ったもので、原油はぼろ儲けする。国際石油開発帝石HDSは、原油が1ドル上がると純利益が30億円上がるというのだから、井戸を持つ会社はここのところ濡れ手に粟で連日連夜の踊り三昧であろう。石油貿易も外航タンカーで放り込むだけだから、国内の業転商売より遥かに割が良い。
一方、国内販売。新日石は07年度決算で2757億円の経常利益を出している。
内訳は、@石油精製販売1539億円、A石油開発1113億円、B建設他105億円。石油精製販売は数字こそ立派だが、うち石油製品で1313億円稼いでいるものの備蓄原油で発生する在庫評価益が1679億円もあってこれを差し引くと▲366億円の赤字となる。石油化学品の226億円を足しても、部門として実質赤字。
また、08年度見通しは、石油化学の利益が140億円大幅減少するうえに、石油製品では在庫評価益を含んでも▲260億円と厳しい数字を見込んでいる。
これが昨日今日始まったことではなく、ここ数年、各社に共通するトレンドとなっている。そろそろ投資家も厳しい目を向けつつあるだろう。
新日石は08−10年度の第4次中期経営計画で、国内販売に関して、
@ 九石との統合
A 日海石原油処理停止
B 輸出拡大
C 透明性の高い価格体系構築
D TOCOMの利用拡大
を掲げている。
製油所は国内で統合と廃止、そして規模の大きい大阪には中国資本を呼び込んだ。西日本の販売が比較的弱い上に、水島でJOMOとタイアップして高度化を図っているので、ちょうど胡錦涛訪日の宣伝花火に日中合弁を発表したのだろう。そして中国、アジアへの輸出製油所化する。(合弁社名で提案。京都の南にあるから「南京石油」ってのは?”南京大業転事件“が起こったりして)
CとDは密接にリンクしている。RIMに代わって、TOCOMを系列仕切り価格の指標に使うことになるだろう。経産省が胴元の賭博場もとい公設市場だから、同じ賭場でも地下カジノのRIMに比べれば「公共性」は高い。これに物流費とブランド料を乗せて、あとはボリュームインセンティブでも加えて価格決定をするんじゃないだろうか。公共性を盾に取れば、「事後調整」は不要となる。
もう1つは、業転玉をTOCOMで売ってしまうこと。価格の変動リスクはあるが、来月分の販売実績を確定できることは生産計画に大きく寄与するし、TOCOMが注文を取ってくれるから商社や特約店にマージンをやる必要がない。しかも買う人が物流費や保管費を負担してくれる。合理的効率的な業転基地利用というのが本当の狙いかもしれない。
新日石は中期計画に「変革へのチャレンジ」という表現を使っているが、第3次計画のときにこのようなスローガンはなかった。これは、「変えてしまうぞ」という意思表示であり、その矛先は投資額が大きく儲からない分野、すなわち国内販売に向けられている。
                ◆
新日石に限らず、元売の経営計画にもはや「特約店との共存」という言葉はない。
何度も書いてきたが、今まで対岸の火事のように眺めていたEM系代理店の惨禍がいよいよ民族系特約店に降りかかってくる。

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