2008/4/29 1:58
昨日の補足 日常
昨日の記事を書いてから(自省を含め)思ったのだが、ドイツのマスコミも日本のマスコミも、各国で行われる聖火リレーの様子に関心が向きがちだけど、そもそもの問題である、「チベットで一体何が起きたのか、そして今何が起きているのか」について、客観的な情報が未だ得られていないことを忘れてはならない。
それにしても今回は、すさまじいまでの中国の情報統制力・動員力を見せ付けられた。もはやナチのプロパガンダを凌駕したといっても過言でなかろう。もしゲッベルス(ナチ宣伝大臣)が生きていれば、目を見張って感動したに違いない。
それにしても今回は、すさまじいまでの中国の情報統制力・動員力を見せ付けられた。もはやナチのプロパガンダを凌駕したといっても過言でなかろう。もしゲッベルス(ナチ宣伝大臣)が生きていれば、目を見張って感動したに違いない。
2008/4/28 23:39
ドイツが報じた長野の聖火リレー 日常
先週土曜に行われた長野の聖火リレーの模様は、ARD(公営テレビ局)のニュース番組Tagesschauでも取り上げられた。聖火ランナーを何重にも取り囲む警備陣と妨害行動、日本在住の中国人達の行動、チベット支持派の行動、そして善光寺での集会と、事実関係が一通り簡潔かつ的確にまとめられていた。
各国での聖火リレーは、好むと好まざるとにかかわらず、その国が人権問題に対しどれだけセンシティブかを判断する一種の「踏み絵」のようになっている。だから日本でどうなるか、非常に気がかりであったのだが、中国支持派が全て留学生を中心とした中国人であること、善光寺がリレーを拒否したことがちゃんと伝えられ、まずはほっとした。これで日本に対するあらぬ誤解が生まれるようなことはないだろう。
善光寺が下した決断は、どれだけ評価してもしすぎることはない。彼らは今回、どんな政治家や外交官よりも、海外における日本のイメージを守ったと言えるだろう。
各国での聖火リレーは、好むと好まざるとにかかわらず、その国が人権問題に対しどれだけセンシティブかを判断する一種の「踏み絵」のようになっている。だから日本でどうなるか、非常に気がかりであったのだが、中国支持派が全て留学生を中心とした中国人であること、善光寺がリレーを拒否したことがちゃんと伝えられ、まずはほっとした。これで日本に対するあらぬ誤解が生まれるようなことはないだろう。
善光寺が下した決断は、どれだけ評価してもしすぎることはない。彼らは今回、どんな政治家や外交官よりも、海外における日本のイメージを守ったと言えるだろう。
2008/4/27 23:49
再訪 旅 −ドイツ国内−
シュパイヤー・マウルブロン修道院を再訪。
シュパイヤーで開催中の展示、「武士の世界」を見学。どんな展示がなされているか興味があったのだが、まあ妥当な内容。

続いて、前回見逃した聖堂の地下に入る。ガイドブックによれば「ドイツで最も美しいといわれる」地下らしいのだが、本当に?
一方マウルブロン修道院は交通の便が悪い。そもそも修道院だから、俗世を離れた場所に建てられるのが当たり前といえば当たり前なのだが。それにもかかわらず、足を運ぶ価値は十分ある。


シュパイヤーで開催中の展示、「武士の世界」を見学。どんな展示がなされているか興味があったのだが、まあ妥当な内容。
続いて、前回見逃した聖堂の地下に入る。ガイドブックによれば「ドイツで最も美しいといわれる」地下らしいのだが、本当に?
一方マウルブロン修道院は交通の便が悪い。そもそも修道院だから、俗世を離れた場所に建てられるのが当たり前といえば当たり前なのだが。それにもかかわらず、足を運ぶ価値は十分ある。
2008/4/26 23:39
ハイデルベルク近郊の街 旅 −ドイツ国内−
フランスから友人を迎え、ハイデルベルク近郊の町、エーベルバッハ、バート・ヴィンプフェン、ハイルブロンに足を踏み入れた。バート・ヴィンプフェンは当たりで、小さいながらも古い町並みがよく残されていて、おすすめ。
<Eberbach>


<Bad Wimpfen>



<Heilbronn>

<Eberbach>
<Bad Wimpfen>
<Heilbronn>
2008/4/25 2:35
RX-8 ドイツの話題
今日テレビを漫然と見てたら、マツダのRX−8のちょっとした紹介をしていた。未だに唯一ロータリーエンジンを作っているというだけで尊敬に値するとか、デザインもかっこいいとか、基本的に好意的なコメントだったのだが、最後の一言が、「唯一の欠点は、このクルマのエンブレムがポルシェじゃなくてマツダであること。」なんじゃそのオチは(怒)!
2008/4/20 3:03
この道はいつか来た道 ドイツの話題
サブプライム問題がドイツに与えた影響についての記事。
http://www.newsdigest.de/newsde/content/blogcategory/13/27/
ドイツの公的銀行がサブプライム問題で苦しむ様は、日本の長銀や日債銀の姿と重なって見える。詳しくは知らないが、きっと高度成長期のビジネスモデルがもはや通用せず、お金をどう運用すればいいか、というところでサブプライム商品に飛びついたんだろう。
公的資金注入に「戦力の逐次投入」で対処してはならないというのが日本の教訓であったように思われるが、果たしてドイツがこれを学んで果断に対処できるかは怪しい。「何でアメリカの住宅ローンに投資して焦げ付いたカネを俺達の税金で穴埋めしなければならんのだ」として大反発が起きるのは必至であろう。結局かつての日本と同じくズルズル行ってしまう気がする。かつての日本のように、金融部門の危機が実体経済にまで波及して不況に陥るかどうかまでは分からないが。
ドイツの公的金融機関はこれを機に大幅再編して、膿を出し切るしかないように思う。
http://www.newsdigest.de/newsde/content/blogcategory/13/27/
ドイツの公的銀行がサブプライム問題で苦しむ様は、日本の長銀や日債銀の姿と重なって見える。詳しくは知らないが、きっと高度成長期のビジネスモデルがもはや通用せず、お金をどう運用すればいいか、というところでサブプライム商品に飛びついたんだろう。
公的資金注入に「戦力の逐次投入」で対処してはならないというのが日本の教訓であったように思われるが、果たしてドイツがこれを学んで果断に対処できるかは怪しい。「何でアメリカの住宅ローンに投資して焦げ付いたカネを俺達の税金で穴埋めしなければならんのだ」として大反発が起きるのは必至であろう。結局かつての日本と同じくズルズル行ってしまう気がする。かつての日本のように、金融部門の危機が実体経済にまで波及して不況に陥るかどうかまでは分からないが。
ドイツの公的金融機関はこれを機に大幅再編して、膿を出し切るしかないように思う。
2008/4/16 23:19
Heirat ドイツの話題
不謹慎かつ大きなお世話ながら、相続問題で揉めやしないか心配。
_______________________________
【ベルリン15日時事】15日付のドイツ大衆紙ビルトは、コール元首相(78)が近く再婚することになったと伝えた。お相手は35歳年下のマイケ・リヒターさん(43)で、元首相は周囲に「できるだけ早く結婚したい」と話しているという。
同紙などによれば、リヒターさんは経済省に務めるエコノミストで、コール氏が妻を亡くした3年後に交際を始めた。同氏は2月末に自宅で転倒、現在リハビリに努めており、リヒターさんは半年間休職してコール氏の世話をしているという。
首相を16年間務め、東西統一を成し遂げたコール氏を40年余にわたって支えたハンネローレ夫人は、2001年に病気を苦に自殺した。
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【ベルリン15日時事】15日付のドイツ大衆紙ビルトは、コール元首相(78)が近く再婚することになったと伝えた。お相手は35歳年下のマイケ・リヒターさん(43)で、元首相は周囲に「できるだけ早く結婚したい」と話しているという。
同紙などによれば、リヒターさんは経済省に務めるエコノミストで、コール氏が妻を亡くした3年後に交際を始めた。同氏は2月末に自宅で転倒、現在リハビリに努めており、リヒターさんは半年間休職してコール氏の世話をしているという。
首相を16年間務め、東西統一を成し遂げたコール氏を40年余にわたって支えたハンネローレ夫人は、2001年に病気を苦に自殺した。
2008/4/15 1:19
ドイツ映画を見る 第9回 Der Fischer und seine Frau ドイツ映画
あらすじ:新潟を旅していたバックパッカーのドイツ人女性、錦鯉を買い付けに来ていたドイツ人男性が一瞬で恋に落ち結婚する。だが二人の性格は大きく異なっていた。男はつつましい生活に満足する一方、女性は常によりよい生活を求める…
感想:日本を舞台にした映画ということで楽しみにしていたのだが、どう見てもヘンな鯉をモチーフにしたドレスが日本で売れまくることになっているなど、非現実的な部分が多くてストーリーに入り込めなかった。監督の日本に対する愛着みたいなものは伝わってくるのだが、成功作とは言い難い。主演の女優が美人なので、途中から鑑賞の重点が作品そのものから女優に移っていった。
おすすめ度…★★☆☆☆
感想:日本を舞台にした映画ということで楽しみにしていたのだが、どう見てもヘンな鯉をモチーフにしたドレスが日本で売れまくることになっているなど、非現実的な部分が多くてストーリーに入り込めなかった。監督の日本に対する愛着みたいなものは伝わってくるのだが、成功作とは言い難い。主演の女優が美人なので、途中から鑑賞の重点が作品そのものから女優に移っていった。
おすすめ度…★★☆☆☆
2008/4/11 2:22
Bayern vs. Getafe サッカー
「インターナショナル2部リーグ」などと揶揄され、チャンピオンズリーグに比べマイナー感が否めないUEFAカップだが、昨日行われた準々決勝ヘタフェ・バイエルン戦の試合展開はドラマティックだった。後半終了間際、延長戦終了間際にゴールをねじ込んだバイエルンの執念は見事。最後まで絶対あきらめないゲルマン魂を見た。GKカーンも「こんな試合は今まで経験したことがない」と興奮していた。彼は試合終了後、相手チームのファンに自分のグローブをあげた。「彼らはフェアーだったし、120分応援し続けていたから」そうしたのだそうだ。彼はチームメイトを名指して批判するなど問題発言も多いが、男気のあるところを見た。
(試合経過)
ミュンヘンでのゲームを1対1で終え、ヘタフェのホームで行われたこの試合。
<前半>
開始早々、ヘタフェのDFがクローゼの足を後ろから引っ掛けたとして一発退場。「ちょっと厳しすぎでは?」という感じだったが、とにかくこれでバイエルンが数的優位に立つ。
バイエルンは攻勢に出るが、ゴール前を固めるヘタフェの前にチャンスを作れない。逆に前半終了前、ヘタフェがゴールを決め、1対0に。
<後半>
前半同様、バイエルンがボールを支配するが攻めきれず、逆にカウンターからヘタフェが決定機を作る。「もうダメか?」と思われた後半終了直前、仏代表リベリーが起死回生の同点弾。吠えるリベリー。沈黙するヘタフェ。試合は延長戦に突入。
<延長前半>
ヘタフェが見事なミドルシュートを決め、2対1に。更にそのすぐ後、追加点を奪って3対1にリードを広げた(それにしてもこの日のバイエルンはカウンターに脆かった)。バイエルンが勝つには残り20分で2点取ることが必要。バイエルン絶体絶命のピンチ。
<延長後半>
ヘタフェのGKが何でもないボールをファンブルし、それをすかさず伊代表トニがゴールに押し込んで1点差。後半残りわずか、最後の攻撃にGKカーンも前線に参加。そしてトニがDFに競り勝ってヘディング。ボールはゴールに吸い込まれ3対3に。直後に試合終了のホイッスル。アウェーゴールの差でバイエルンが劇的な勝利を飾った。
(参考)
http://soccer.yahoo.co.jp/world/uefa_cup/result/1188550.html
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=worldsoccer&a=20080411-00000026-spnavi-socc
(試合経過)
ミュンヘンでのゲームを1対1で終え、ヘタフェのホームで行われたこの試合。
<前半>
開始早々、ヘタフェのDFがクローゼの足を後ろから引っ掛けたとして一発退場。「ちょっと厳しすぎでは?」という感じだったが、とにかくこれでバイエルンが数的優位に立つ。
バイエルンは攻勢に出るが、ゴール前を固めるヘタフェの前にチャンスを作れない。逆に前半終了前、ヘタフェがゴールを決め、1対0に。
<後半>
前半同様、バイエルンがボールを支配するが攻めきれず、逆にカウンターからヘタフェが決定機を作る。「もうダメか?」と思われた後半終了直前、仏代表リベリーが起死回生の同点弾。吠えるリベリー。沈黙するヘタフェ。試合は延長戦に突入。
<延長前半>
ヘタフェが見事なミドルシュートを決め、2対1に。更にそのすぐ後、追加点を奪って3対1にリードを広げた(それにしてもこの日のバイエルンはカウンターに脆かった)。バイエルンが勝つには残り20分で2点取ることが必要。バイエルン絶体絶命のピンチ。
<延長後半>
ヘタフェのGKが何でもないボールをファンブルし、それをすかさず伊代表トニがゴールに押し込んで1点差。後半残りわずか、最後の攻撃にGKカーンも前線に参加。そしてトニがDFに競り勝ってヘディング。ボールはゴールに吸い込まれ3対3に。直後に試合終了のホイッスル。アウェーゴールの差でバイエルンが劇的な勝利を飾った。
(参考)
http://soccer.yahoo.co.jp/world/uefa_cup/result/1188550.html
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=worldsoccer&a=20080411-00000026-spnavi-socc
2008/4/10 1:45
脱税事件のまとめ 第3回 小論考
第1回はこちら、第2回はこちら。
IV. リヒテンシュタインという国
今回の脱税事件の舞台となった、リヒテンシュタインという国。おおかたの日本人は、その存在すら知らないか、知っていても「ヨーロッパの小国」といったレベルの知識しかない(私も最近までそうだった)だろう。首都がファドゥーツであることを知っている人は相当地理好き(マニア?)と言えると思う。
簡単にこの国の紹介を試みると、リヒテンシュタイン、正式名称リヒテンシュタイン公国(Fürstentum Liechtenstein)は、スイスとオーストリアに挟まれた国で、面積は160平方キロメートル。軽井沢町とほぼ同じ大きさ。人口はたったの35000人で、これは神奈川県葉山町と同じくらい。言語はドイツ語。そもそもはハプスブルク家の家臣がここの土地を購入して自治権を獲得したのが国のおこりで、今も立憲君主制を採っている。
私はまだ訪れたことはないが、観光地としてのリヒテンシュタインは、田園風景が広がり、切手博物館やスキー博物館がある、半日もすればまわれてしまうような小さな町のようである。しかしそれはこの国の一面でしかない。
現在この国を支えているのは、観光客の目には見えない金融サービスである。銀行は15行もあり、GDPに占める金融サービスの割合は4分の1にのぼるという。当然、自国民の金融資産だけでこれだけの実績をあげられる訳はなくて、ヨーロッパ諸国から資金を引き寄せているのであるが、その誘引として、以前触れた「銀行秘密」があるのは言うまでもない。また、法人税が安く、会社設立が容易なため、Spiegel誌の推定では、ペーパーカンパニーは約75,000社もあるという。
リヒテンシュタインの銀行制度の不透明性に着目して、今までに巨額のブラックマネーが流入してきた。Spiegel誌は連邦情報局(BND)からの情報として、コロンビアの麻薬グループがリヒテンシュタインのLGT銀行に最大1億2千万ドルを預金していた、と伝えている。
当然、国際社会はこれを問題視。OECD(経済協力開発機構)の作業グループであるFATF(Financial Action Task Force)は、2000年6月にリヒテンシュタインを、マネーロンダリングの追跡を妨げる国としてブラックリストに載せた。こうした国際社会の圧力もあって、リヒテンシュタインはマネ・ロン対策をその後強化、FATFのブラックリストからは除かれることとなった。また、以前紹介した「匿名財団」制度についても、今回の脱税事件を受けて見直しが行われるようである。
一方、脱税に関する外国当局への情報提供に関しては、リヒテンシュタインは一貫して頑なに拒み続けている。「刑事犯罪に関わる資金についての情報であれば、我々はいつでも外国当局に提供する用意がある。しかしわが国の法制上、脱税は行政犯であっても刑事犯ではない。」というのが彼らのスタンスである。脱税はいわば国家に対する詐欺であるから、この主張には無理がある。だが例え人口が葉山町と同じ小国であろうが、主権国家は主権国家であるから、こう開き直られてしまうとドイツやEUとしても対処は難しい。従って、リヒテンシュタインは今後とも、残念ながら牧歌的な観光地のイメージとは全く相容れない「脱税の温床」であり続けてしまうように思われる。もちろん、今回のように内部告発者が出てくる可能性はいつでもあるから、「安心」して脱税することはもはやできないのだろうけど。
いずれにしても、ドイツからそう遠くなく、言葉も同じ、成り行き上たまたま独立国になっているような人口たった35,000人の国が、世が世なら「けしからん!」としてお家断絶になってもおかしくないような国が、(まだ一応)世界第3位の経済大国であるドイツを振り回している姿は、いい悪いは別にしてとても興味深い。堤防を決壊させるには蟻の開けた穴で十分、というけれど、今回の事件はまさに、ドイツが張り巡らせた堤防にリヒテンシュタインが蟻穴を開け、そこから大量のお金が流れ込んでいることを浮き彫りにさせたように思う。(終わり)
IV. リヒテンシュタインという国
今回の脱税事件の舞台となった、リヒテンシュタインという国。おおかたの日本人は、その存在すら知らないか、知っていても「ヨーロッパの小国」といったレベルの知識しかない(私も最近までそうだった)だろう。首都がファドゥーツであることを知っている人は相当地理好き(マニア?)と言えると思う。
簡単にこの国の紹介を試みると、リヒテンシュタイン、正式名称リヒテンシュタイン公国(Fürstentum Liechtenstein)は、スイスとオーストリアに挟まれた国で、面積は160平方キロメートル。軽井沢町とほぼ同じ大きさ。人口はたったの35000人で、これは神奈川県葉山町と同じくらい。言語はドイツ語。そもそもはハプスブルク家の家臣がここの土地を購入して自治権を獲得したのが国のおこりで、今も立憲君主制を採っている。
私はまだ訪れたことはないが、観光地としてのリヒテンシュタインは、田園風景が広がり、切手博物館やスキー博物館がある、半日もすればまわれてしまうような小さな町のようである。しかしそれはこの国の一面でしかない。
現在この国を支えているのは、観光客の目には見えない金融サービスである。銀行は15行もあり、GDPに占める金融サービスの割合は4分の1にのぼるという。当然、自国民の金融資産だけでこれだけの実績をあげられる訳はなくて、ヨーロッパ諸国から資金を引き寄せているのであるが、その誘引として、以前触れた「銀行秘密」があるのは言うまでもない。また、法人税が安く、会社設立が容易なため、Spiegel誌の推定では、ペーパーカンパニーは約75,000社もあるという。
リヒテンシュタインの銀行制度の不透明性に着目して、今までに巨額のブラックマネーが流入してきた。Spiegel誌は連邦情報局(BND)からの情報として、コロンビアの麻薬グループがリヒテンシュタインのLGT銀行に最大1億2千万ドルを預金していた、と伝えている。
当然、国際社会はこれを問題視。OECD(経済協力開発機構)の作業グループであるFATF(Financial Action Task Force)は、2000年6月にリヒテンシュタインを、マネーロンダリングの追跡を妨げる国としてブラックリストに載せた。こうした国際社会の圧力もあって、リヒテンシュタインはマネ・ロン対策をその後強化、FATFのブラックリストからは除かれることとなった。また、以前紹介した「匿名財団」制度についても、今回の脱税事件を受けて見直しが行われるようである。
一方、脱税に関する外国当局への情報提供に関しては、リヒテンシュタインは一貫して頑なに拒み続けている。「刑事犯罪に関わる資金についての情報であれば、我々はいつでも外国当局に提供する用意がある。しかしわが国の法制上、脱税は行政犯であっても刑事犯ではない。」というのが彼らのスタンスである。脱税はいわば国家に対する詐欺であるから、この主張には無理がある。だが例え人口が葉山町と同じ小国であろうが、主権国家は主権国家であるから、こう開き直られてしまうとドイツやEUとしても対処は難しい。従って、リヒテンシュタインは今後とも、残念ながら牧歌的な観光地のイメージとは全く相容れない「脱税の温床」であり続けてしまうように思われる。もちろん、今回のように内部告発者が出てくる可能性はいつでもあるから、「安心」して脱税することはもはやできないのだろうけど。
いずれにしても、ドイツからそう遠くなく、言葉も同じ、成り行き上たまたま独立国になっているような人口たった35,000人の国が、世が世なら「けしからん!」としてお家断絶になってもおかしくないような国が、(まだ一応)世界第3位の経済大国であるドイツを振り回している姿は、いい悪いは別にしてとても興味深い。堤防を決壊させるには蟻の開けた穴で十分、というけれど、今回の事件はまさに、ドイツが張り巡らせた堤防にリヒテンシュタインが蟻穴を開け、そこから大量のお金が流れ込んでいることを浮き彫りにさせたように思う。(終わり)



