2008/2/24  8:57

二つのオントロジー研究会  オントロジー

お知らせです.
 2月25日(月)13:00より,国立情報学研究所にて第17回セマンティックウェブとオントロジー研究会が開かれます.12階会議室です.
 私もちょっとだけ発表しますが,特別講演として上位オントロジーのDOLCEで有名な(私がこのブログでケチをつけたものですね)Nicola Guarino氏がいらっしゃいます.参加無料,事前申し込みなし,という誰でも参加できる研究会ですので,オントロジーに関心のある方はぜひどうぞ.
 もう一つ,2月26,27日に,この度JCOR(Japanese Center for Ontological Research)の設立記念で第1回学際オントロジー国際会議なるものが,慶応三田キャンパスで開かれます.Guarinoさん以外にもオントロジー関係で著名な方々が集まります.これも参加無料,事前申し込みなし,しかも26日の夕方は無料懇親会で参加自由ということですので,この際オントロジー(特に上位)について知りたいという方には絶好の機会だと思います.
 私も合計三日間とられるのは非常に痛いのですが,この際と思って三日とも参加することにしました.(25日はあたりまえか)

2008/2/3  19:58

開世界仮説追加  分類なし

昨日の話では,開世界仮説や閉世界仮説に関して,「自分が知りうる範囲では」とか,「自分の獲得した知識」とか,自己の存在が見えてきていますね.本当は,こうした物言いはすでに通常の論理を大きくはみだしているのです.開世界仮説でも閉世界仮説でも,知識は何か絶対的なものであり,人によって知識が異なるとか,文脈によって知識のカバーする範囲がことなるというのは,考慮外のことです.ですから,私の知識とかあなたの知識という物言いは,通常の論理の枠組みではありません.強いて言えば,開世界仮説も閉世界仮説も神のような絶対的存在からの話であって,有限の存在では開世界も閉世界もない,言ってみれば最初から知りうる知識には限りがあり,非単調推論しかあり得ないのです.
 世界の知識ではなく世界に関してエージェントが持つ知識を前提とした論理が自己認識論理(autoepitemic logic)というもので,セマンティックウェブにもこの考え方を持ち込もうとする動きがあります.ウェブの開世界仮説だけだとどうしても不都合なことが色々あって,エージェントの推論において局所的な閉世界仮説を持ち込みたいと思うのですが,そういう思いとこの自己認識論理がうまくマッチする気がするのですね.でもこれもどんどん深みにはまると,私の信じる世界とあなたの信じる世界とどうするのとか,私が信じるあたなの世界とか,やばい話がいっぱい出てきそうで,深みに嵌らないように気をつけないといけないのです.
 いずれにせよ,研究成果は学会などでまた発表予定ですので,興味のあるかたはよろしくお願いします.

2008/2/2  6:43

真,偽,そして未知  SWCLOS

通常の論理ではある言明の値は真か偽のどちらかです.真であることが証明できなければ偽というわけです.これとは異なり真でなければ偽でもないという立場を認める論理もあります.Prologでは推論に失敗したらそれは偽とします.
 ところで,セマンティックウェブではRDF(S)でもOWLでも開世界仮説の立場に立っています.すなわち今自分が知りうる範囲ではこれは真とは言えないが,世界のどこかでは真かも知れない.だから原理的にPrologの論理をそのままセマンティックウェブに適応することはできません.それでは今自分が知りうる範囲ではこれは真であるが,世界のどこかでは偽かもしれないというのは開世界仮説では在りなのでしょうか無しなのでしょうか.これが非単調論理であることは確かですね.自分の獲得した知識があとから否定されてしまう.セマンティックウェブでは単調論理の立場に立っていますから,開世界仮説と言えども単調論理にしなければならない.論理が真としたことはあとから決して否定されない,としたら,先の問題は無しですね.セマンティックウェブでは真としたことは世界が増えても否定されてはならない.
 こうしてみると,セマンティックウェブでは消極的におずおずと真と言って,いったん真と言ったら,もう意見を変えないという感じですね.では真とは言えないものは何でしょうか.ある言明の否定を投げてやって,それが真ならば投げた言明は偽としてよさそうですね.開世界仮説かつ単調推論でもその否定が証明されたわけですから.
 真とも偽とも証明できないもの,それがUNKNOWNですね.セマンティックウェブの世界では言明は真か偽か未知であると.開世界仮説かつ単調推論でですね.
 そこでCommon Lispのsubtypepです.一般にLispの関数は1個の値を返しますが,必要であれば多値を返すこともできます.そしてsubtypepは2値を返します.Common Lispの記述ではsubtypepについて次のような表が出てきます.
-------------------------------------------------------------------------
Value1   Value2   Meaning
-------------------------------------------------------------------------
true    true    type-1 is definitely a subtype of type-2.
false    true    type-1 is definitely not a subtype of type-2.
false    false    subtypep could not determine the relationship,
            so type-1 might or might not be a subtype of type-2.
-------------------------------------------------------------------------
true falseという組み合わせはありません.
三番目のfalse falseはUNKNOWNと言ってもよさそうですね.
SWCLOSではこのcl:subtypepと同様にgx:subtypepやgx:subsumed-pを概念(クラス)の包含関係(包摂関係)の判定に使っていますが,これにUNKNOWNをきちんと定義して,きちんと返したい.ところがこれがなかなか悩ましい.ちなみにCommon Lisp仕様書第1版では簡単に「知らせるのが困難な場合がある」とか書かれていて,第2版では長い長いコメントが入っています.Allegro Common Lispの実装を見ても相当がんばっていますが,揺れているし,完璧にはいっていないことがわかります.trueと返すことができるのはいいのですよ.返せないときにどうするか.私が見た感じでは特にNOTが入ってくると難しいみたい.Common Lispにおける論理の意味論ははっきりしないところがありますが,OWL(DL)はもうはっきりしていますから,subsumed-pではこれをきっちりとした2値を返したいということで今更ながら勉強しています.もともとSWCLOSではsomeValuesFromの論理をちゃんとは実装できていなかったので,この際これもついでにと思っていますが,そういうわけでDLのタブロー法も今勉強中で実装中?です.タブロー法のアルゴリズムのどれが開世界仮説と関係なくて,どれが開世界仮説に立っているのかを識別しながらですね.今のところ関係ないみたいですが.
 本当にエンドレスですね.でもtrue false unknowの3値の真偽値表ですら,今まで見たことがないですよ.(AND unknown unknown)=>unkownでいいですよね.それでは(OR false unknown)は?

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