2008/7/15 23:54
市場を見ていて(独り言) 米国社会
株式市場をはじめとして金融市場が荒れている。
止まらない株安。
この一年間、一連のサブプライムローン問題を間近で見続けてきて強く思うのは、市場の脆さ。
もっと言ってしまえば、市場を支える心理の脆さ。
先週後半から急展開したファニーメイ、フレディーマックの株価急落、米国史上2番目の規模とされるインディマック銀行の破綻。
先週末に米財務省及びFRBが異例の緊急対策案を公表し、目下、政府・議会一体となって検討を進めているようだ。
本日も、下院議会公聴会にて、バーナンキ議長が下振れリスクに言及はしたが、同議長、ポールソン財務長官、コックス証券取引委員長が市場心理の安定に資する発言を繰り返し、ブッシュ大統領までもが、午前中に臨時記者会見を開催して市場における懸念の払拭に努めた。
それでも市場は安定しない。
揺れ続ける。
何故か。
何が悪いのか。
ファニー、フレディーといったGSE(政府支援企業)の株価は確かに下落してはいるが、債券価格は「暗黙の政府保証」の存在もあり、資金調達、すなわち流動性に問題が生じているわけではない。現に昨日もFreddie Macによる30億ドルの資金調達は順調に遂行された。
(注)政府が明示的に言わなくとも、「特別法に基づき設立されているこれらの企業に何か悪い事態が生じても、最後は政府が助けるだろう」と市場が(勝手に)想定していること。
結局、よく言われることだが、マーケットは美人投票(beauty contest)だ。
その所以は、企業の経営方針、業績、財務状況といった本来投資判断の基準とされるべき実体的な指標もさることながら、他のプレイヤー(投資家)がそれらをどのように見ているのかという点に大きく左右されることにある。
報道によれば、今回のGSE株を始めとする金融株の下落は、とある著名アナリストが公表したレポートが発端と言われているし、インディマック銀行の取り付け騒ぎも、とある有力上院議員のレターの一文が原因と言われている。
前回のブログの冒頭でも少し触れたが、マーケットが自己実現的なものであることは甘受せざるを得ない事実(本質と言った方が良いかもしれない)だろうが、それでも、今回端的に見られた、移ろい易い市場心理の脆さは、今日の世相を映し出しているように思えてならない。
物事の本質を見ようとせず、周りの雰囲気にただ流されている。
不安が不安を生む負の連鎖の中で、不安は現実のものとなる。
多くの人間が疑心暗鬼の闇に引きずり込まれ、悶え苦しむ結果を招く。
国家が国民共々破滅に向かった、いつかの時代に似てはいないか。
勿論、大きな流れがいったん作り出されてしまえば、一人で流れに逆らったところで自分が傷を負うだけだ。
ただ、何故、当初の動揺がpoint of no returnを超えて大きな流れとなるのを阻止できなかったのか。
話はそれほど単純ではないが、人々の物事を見る姿勢にも大きな問題があったのではないかと僕は思う。
語弊を恐れずに言えば、実は、日頃多くの人々が、物事を見てもいないのに見ている気になり満足しているのではないか。
メディアやインターネットによって垂れ流し状態にある情報の洪水に飲み込まれ、自ら取捨選択し思考するという作業を放棄してしまっているのではないか。
今回の件も、多くの人々が市場で起こっていることを冷静に見ていれば、そしてそのことを多くの人々が認識していれば、これほどまでに事態は悪化しなかったと思う。
もっとも、僕は他人の意見に耳を傾けるなと主張しているわけではない。
自ら考える(又は考えようとする)姿勢を失ってはならないという至極当たり前のこと、ただそれだけを強調したいのである。



