2007/3/12  11:14

OUT  書物たち

今年に入ってから、やけに日本では「バラバラ殺人」が多かった様子だが、
街の本屋さんは、これに便乗して

 「殺す前に読まなくちゃ! バラバラ殺人事件フェア!」

なんてポップを作っちゃって、ミステリや犯罪実録モノを中心に

 江戸川乱歩 「盲獣」
 宮部みゆき 「模倣犯」
 黒川博行 「左手首」


とかを平積みにしたんじゃないか・・・とは思わないが
もし本当にそんな特別コーナーを作るなら、

 桐 野 夏 生 「 O U T 」

は確実にラインナップに加えて欲しい。


この作品で直木賞にノミネートされたらしいが、
受賞を逃した理由は充分に理解できる。

著者はストーリーの鍵を握る快楽殺人者に
 「文学少女じみた甘ったれたこと」
を言わせていると、選考委員で、今は亡き黒岩重吾が評している。

確かにその通りなんだよなあ。
物語上での彼の比重が大きくなればなるほど
主婦が殺した旦那を仲間の3人が共謀してバラバラにする、
という話の本筋からどんどん離れていく。

しかし、やっぱり前半はかなりいい。

深夜の弁当工場で働く主婦4人が背負っているのは、
バブル崩壊後の明々白々な「格差社会」の中の下層階級の悲愴そのものだと思う。
フリーターの友達も、パートに出てた別な友達の母親も、
確か似たような仕事をしていたと記憶している。
コンビニで製造日時がその日の午前3時とかになっていると
眉間の皺を深くしつつ深夜の工場で働いている人を思う。

犯罪小説としての性格が色濃いながら、社会派な作品として、
桐野夏生の「OUT」は私の中でかなり評価が高いのだ。

田中美佐子主演のドラマも、原田美枝子主演の映画も
かなり観たいなあ。舞台化作品もあるらしい。



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