2006/1/28  10:49

闇夜の向こうの、パンテオン  分類なし

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凍てつく寒い夜。
そんな夜にそぞろ歩きをすると、身体だけでな
く心まで引き締まるような気がする。
それにしても寒い。久しぶりに氷点下の連夜を
迎え、街もなんだか静まりかえっている。
きっと、パリジャンたちはアパルトマンに引きこ
もっているのか、それとも暖かいBarで飲み明
かしているに違いない。こんな時は、賑やかだ
ったパリの街並みさえ、何となく暗く感じる。
ただ、目の前のパンテオンだけが、浮かび上が
るようにそびえ立っている。実に不思議な光景
だ。暗闇と輝き。その間にあるたった一本の境
界線が、明確にこの世の世界と違う異次元の
世界を示している。

そうか、パンテオンってこの世のものでなかっ
たんだ。
過去の偉人たちが眠るパンテオンは、凍てつ
く寒さの中でも輝きを失わず、闇夜の向こうで
その存在を示すように浮かび上がっていた。
ただ、寒さに流れる吐息の白さだけを、失って
いた。

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2006/1/24  2:49

冬のベンチ  分類なし

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最近、どうも落ちて行くように寝てしまう。
今まで、時間がもったいないように思えて、寝る事さえ
惜しんだのに。疲れが溜まってしまったのだろか。
勿論、仕事で神経を張る事もあれば、苛々が募って思
わず深呼吸をしてしまう日々だから、当然だろうか。
飛び回る事も増えた。真夏の南の国から、真冬の北の
国へ、一日でワープする事もあった。
そう言えば、お酒も増えた気がする。最近は、赤ワイン
が好きだ。ブルゴーニュが良い。その深い味わいに思
わずグラスの中の赤い液体を見入ってしまう。しかし、
じっと飲んでいると、一人暮しの寂しさが重たくなって、
疎ましくなる。
朝目覚めて、最上階にある私のアパルトマンのテラス
に立って、ぼーっと下に見える公園のベンチを眺めな
がら、そんな事を考えていた。また朝が来た。日が沈
んで昇って、繰り返される日々。春がきて夏が過ぎて、
秋と冬を迎える。そんな繰り返し。昨日の事は今は思
い出せない。いつの間に寝入ったのだろうか。テーブ
ルの上に、飲みかけのワインが置いてある。まばたき
ひとつで、朝がやって来た。
早く春が来ないだろうか。春が来たら、日向の中のこ
のベンチに座って、思い切り深呼吸をしたい。きっと、
緑の葉に包まれて、昨夜のことを思い出すだろう。

誰も居ない冬のベンチ。空気だけが澄み切っていた。

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2006/1/20  2:28

ノートルダムに日が暮れるころ  分類なし

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夕闇が差し迫ってきたころ、セーヌの川面に
イルミネーションが揺れ始める。
今日は、いつもと違ってノートルダム寺院の
東側より、西の空を眺めてみた。

川面のイルミネーションは、赤や黄色、そし
て緑の光で輝き始め、白く照らし出されたノ
ートルダムとコントラストを強めていく。

ただ、ノートルダム寺院の東側は、まるで要
塞のよう。街灯に輝き始めた、人々が行き交
う街の賑やかさとはまるで別の次元で、揺れ
動かない空間を作っている。

ここは神の居る空間。神の世界と現実の世
界をつなぐ接点なのだ。

少し寒さが緩んだ冬の日、人々の賑わいを
よそに、橋の袂から静かに2つの世界を眺め
てみるのも不思議な感覚だ。きっと神に一番
近い場所に居るからかもしれない。

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2006/1/14  12:54

孤独な都会の、路地裏にて  分類なし

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パリには多くの人が住んでいて、毎日すれ違って
生きている。私も確実に、そのひとりである。

パリという都会の賑やかさは、まるで表舞台。多
くの人が、そこに出向いて行く。
しかし、一度路地に回れば、そこは舞台裏。誰も
居ない空虚な世界が待ち受けている。
そこは、日陰のように暗く侘しい。そして、そこは
生ける者を寄せ付けない寂しさで溢れている。

どうして人は、ここで息を潜め暮らし、そして表へ
と行こうとするのだろうか。それとも、ここは動き
を止める、休息の空間なのだろうか。

信号機の赤と、窓の格子に反射する光だけが
静かに、何も言わずに生きてるような気がした。
ここには、そんな孤独な都会の路地裏がある。

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2006/1/11  3:31

サンジャック通りの帰り道  分類なし

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時刻は夕暮れ。人々が帰りを急ぐころ、私は
シテ島のサンジャック通りにたたずんでいた。

サンジャックは、シテ島から大学に囲まれた
坂を上り、パンテオンの前を抜けて、南へと
駆け抜ける。大きな4車線の通りは、突如と
して旧街道のように一車線となり、時にビル
の谷間を縫うようにうねりながら南へと駆け
抜ける。少し左にそれればゴブラン通り、そ
してプラス・ドゥ・イタリーだ。
この通り沿いには、JAZZハウスがあったり、
粋なレストランがあり、学生たちで賑わう事
も多い。

夕暮れ。多くの車が、郊外に向かってサン
ジャックを、南に下っていく。赤いテールラン
プが、パリの一日の終わりを告げて走り去
って行く。

不思議だが、何だか全ての終わりのような
赤い色。彼らは本当に、明日もここに帰って
来るのだろうか。後姿を見送りながら、ふと
そんな寂しさに包まれる、サンジャックの帰
り道であった。

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2006/1/7  9:47

見上げれば、エッフェル塔  分類なし

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仕事に明け暮れて、疲れが溜まったときに
そぞろ歩きをすると、少し解き放たれた気分
になる。
仕事が順調なときは、爽やかな風を楽しむ
ように歩けるのだが、その逆の場合は、知
らず知らずのうちに、視線がどうも下に向か
っていることに気付く。きっと誰もがそうであ
ろう。
いかん、いかん。こんな下向きは、ネガティ
ブなスパイルが増殖するだけだ、と思い切
って見上げるアパルトマンの谷間。

そんな時に、いつも目に入ってくるのが、エ
ッフェル塔。なんだか、パリを見守ってくれ
ているお守りのように、そびえ立っている。
もう100年以上も、じっと動じないでそこで
立っている。頼もしい存在だな、なんてさえ
思えてくる時もある。

ついつい視線が下を向いてしまう時は、エ
ッフェル塔を見上げることにしよう。きっと、
青い空か爽やかな空気が、同時に目に飛
び込んで来るに違いない。

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2006/1/4  10:22

心和むノートルダム寺院のミサ  分類なし

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シテ島のノートルダム寺院。
実はこの寺院は、私の一番大好きな寺院で
来るたびに心が和む。
特に、訪れるのなら週末の夕方18時と決ま
っている。18時には人が集まってきて、そし
てミサが静かに、そして厳かに始まる。

大きな教会内にはパイプオルガンが鳴り響
き、とても幻想的な世界が生まれる。
聖歌をうたう声が響き渡り、木霊がさらにそ
の厳かさを増す。

私はクリスチャンではない。ただここに来て
目をじっと閉じてミサを聞けば、まるで座禅
を組んでいるかのように、心が静まるのだ。

時に全く何も考えない。時に大切な人たち
の幸せを祈って、心で繰り返す。時に自分
に力を与えて欲しいと祈る。目を閉じながら。

ここは私にとって唯一の心のよりどころで
ある。今日も静かにパイプオルガンが聞こえ
て来る。

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2006/1/1  17:35

誰も居ないセーヌの上のベンチ  分類なし

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賑やかにクリスマスがやってきて、そして去って
行った。年末年始のカウントダウンでは、大騒ぎ
するパリジャンたちも、やはりクリスマスは家族
や恋人たちと、自宅で団欒の時間を過ごすのだ
ろうか、街角から突然人影が消える。

そんな夜に、芸術橋で一人佇む。昨日の賑やか
さが嘘のように、誰も居なくなった芸術橋がそこ
にある。
誰も腰掛けないセーヌの上の小さなベンチ。そし
て、夕暮れの青と赤の空。とても落ち着いた美し
さだ。

澄み切った空気の中、ただ川の流れだけが静か
に聞こえてくる。賑やかな灯りが瞬くパリを眺め、
この対照的な静けさを、一人楽しんでみる。

誰も居ないメリークリスマス。こんなパリも時には
良い。ちょっと得した気分になった。

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