2006/3/25  10:46

空中を行くパリのメトロ  分類なし

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地下鉄って時々地上の光を浴びて走ってる。
こんなことは、東京の地下鉄だって大阪の地下鉄
だって、それにニューヨークの地下鉄だって見たこ
とのある光景だから、目新しいはずでないのに、パ
リのメトロが地上に顔を出した時は、なんだか感激
した。明るくなったと思ったら、下にはセーヌが流れ
ていて、その開放感がすごいのだ。
凱旋門のあるシャルルドゴールから南に向かうメト
ロ6号線は、Passyの駅を過ぎたとき、それはまる
でトンネルを抜けたかのように、突然地上の光に包
まれる。眼下にセーヌを眺めながら渡ると、そこから
はモンパルナスへ向かって高架線として建物の間
をすり抜けていく。

今日も多くのパリジャンたちが、メトロに乗って地上
へと飛び出し、そして地下へともぐっていく。外から
見ていると、なんだか都会的な光景で、虚しくも思
えてくるけど、きっとメトロの中の人たちは、その瞬
間に開放感に包まれ深呼吸をしているに違いない。

まだ、冬の曇天が続くけど、もうすぐ春の明るい光
が、飛び出したメトロを包んでくれる。

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2006/3/21  0:39

サンルイ島の、郷愁レストラン  分類なし

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ここはサンルイ島。
その目抜き通りにある小さなレストランは、なぜだか
周りの賑やかさとかけ離れた落ち着きのあるたたず
まい。とっても気になる。
でも中に入って何かを食べようとか思わない。この外
観に郷愁を感じてしまう。
なぜ気になるのだろう。黒い柱と電球だけの古めか
しい建物なのに。
じっと外に立って眺めてみる。何だろう、この懐かし
い郷愁は。
それは、きっと昔見た北の国の、誰もいない駅舎を
思い出すからだろうか。待合室には、背中の曲がっ
た老人が、じっと汽車が来るのを待っていた。
それは、駅前の小さなレストランだったかもしれない。
その前には、古びた公衆電話があって、小さな広告
が風に揺れていた。
この大都会パリで、私は昔出会った日本の北国の
小さな田舎の街を思い出すように思えた。

このレストランの中には、背中の曲がった老人が田
舎料理でも作って、お客を待っているのだろうか。

今度、思い切って中に入ってみることにしよう。

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2006/3/14  23:52

冬の夜のメリーゴーランド  分類なし

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冬のメリーゴーランドはとても寂しい。
夜の公園で、まるで要塞のように光を放ち輝いて
いるのに、そこには誰もいない。

その横のベンチに腰掛け、私はじっと誰もいない
メリーゴーランドを眺めていた。
流れて聞こえる古い音調の音楽だけが、むなしく
冬の夜空へと消えていく。

そこに二人の子供が現れた。親と軽く頷き合って
飛び乗る真冬のメリーゴーランド。
しかし、その瞬間から世界が変わった。むなしく
回っていたメリーゴーランドは、まるで生命を与え
られたかのように、元気に回りだす。無数のライト
が更に明るさをまし、まるで生き物のように輝く。
音楽さえ、マーチソングを醸しだすがごとく、リズ
ムが軽快になる。

乗っていた子供が、何かに話しかけるように右手
を差し出す。そこには何もないのに、何も見えない
のに、まるで夢をつかむように右手を差し出した。

冬の夜のメリーゴーランドは、きっと子供が来るの
を待っていたに違いない。与えられた息吹は子供
の夢となって、再び夜空へと羽ばたいていった。

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2006/3/10  7:18

微笑み、モンマルトルの丘にて  分類なし

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陽射しに春を感じたころ、久しぶりにモンマルトルの
丘へとそぞろ歩いた。
冬の長くて暗い日々の間に、忘れかけていたパリの
街が、鮮やかに眼下に広がっている。
時には、小高い丘の上に上るものだ。こんなに開放
感に包まれ、太陽が近く感じるとは。

モンマルトルの絵描きたちの広場へと行ってみる。
この心地よい小春日和のせいだろうか、多くの観光
客と絵描きたちで、賑わっている。
そんな時に目に飛び込んできた少女。彼女は絵描
きに向かって微笑み、絵を描いてもらっている。
彼女は、どこの国から来たのだろうか。黒い髪をし
ている。歳はいくつぐらいだろいうか。若々しさに落
ち着きもある。どの地域から来たのだろうか。とても
平和な顔をしている。

パリには多くの国から、あまりに多くの人がやって来
るけど、今日はモンマルトルの丘の上で、とても素敵
な微笑みに出会えた気がした。

モナリザの微笑みか、クレオパトラの微笑みか。明る
い春の日差しが、彼女を鮮やかに照らし出していた。
もう春はそこまで来ている。

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2006/3/2  13:10

ルーブルの、誰も知らない廊下  分類なし

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観光客で賑わうルーブル美術館。
とても一日で回れない広さと、古の展示物の多さで、
しばし時間の過ぎ行くことも忘れ、館内をそぞろ歩き
する。

そんなルーブル美術館は、建築物としてもとても美
しく、館内も館外も人で溢れている。
ガラスのピラミッドの前で佇むのも良いし、その横の
噴水の脇に寝そべって、終日過ごすのも良い。

ただ、そんな多くの人のほとんどが気付かない静か
な廊下がある。オペラ座からルーブルに入ってくる
通りの横に、この静かな廊下がある。

私は、ルーブルに来ると、必ずここを通ってそぞろ歩
く。賑やかな外とは対照的で、誰もいない静かな、
そして空気さえ冷え切った空間がそこにある。それ
は、まるで古の空気をそのまま残し、時代の偉人た
ちが、誰にも気付かれずに今も通っているような錯
覚さえする。

この短い廊下の端にあるわずかな階段に座って、
ぼんやりと時間を過ごす。目を閉じてそこに佇めば、
自分はどこから来て、今はどこにいるのだろう、そし
てこれからどこに向かっていくのだろう、という瞑想
に耽ることが出来る。

ルーブルの誰も知らない廊下。ここは、実に不思議
な空間だ。

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