2007/4/22  0:33

OMOIDE NO AJI  分類なし

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チーズは苦手だった。
子供の頃から、苦手だった。あの、給食に出された三角
形の、銀の紙に包まれたチーズ。出てくるたびに敵に遭
遇するような思いだった。それでも残すと怒られるので、
赤い糸を恐る恐る引っ張りながら、銀の紙を引き裂く。そ
して、目を閉じて思い切って噛み切ると、口の中にとろ〜
とした、何ともいえない腐ったような何かが、べっとりと入
ってくる。歯にからみつく。吐きそう。。。
世の中、何故こんなに過酷な食べものが存在するのだ!
と、子供心に銀の三角形を恨んだものだ。
しかし、パリに来て、色んな種類のチーズを出されている
うちに、知らぬ間に好物の一つになったのだから不思議
だ。レストランで、背後からカビくさい何ともいえない匂い
が近づいてくると、チーズの登場だとすぐ分かる。今日は
何をつまもうか。赤ワインと一緒に口に入れれば、フロマ
ージュは絶妙な味を醸し出す。あの給食で味わった、べ
っとりと歯に纏わり付く嫌な思いは、遠い記憶の彼方へ。
大人になったのかなー。いや、きっとお酒の味を覚えた
からだろう。
朝のマーケットで、チーズが売られている。フランスなら
ではの光景だ。そこで、こんなに愛想良く迎えられたら、
買うしかない。今夜はどのチーズを食べようか。。。しか
し、その段階で、私の頭には赤ワインが浮かんでいた。
やはり、お酒が先?チーズが先?悩ましいところだが、
ま、この際、そんなことはどっちでも、かまんべーる。
うっ、たまには苦しい。。。時もある。
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2007/4/15  9:17

NATSU NO KEHAI  分類なし

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急に、夏っぽくになってきた。
時には、気温は25度を上回り、空は雲ひとつ無い
快晴だ。しかし、やったぁ!と喜んでいるのはつか
の間で、そのうちに、暑い!暑い!とみんなが言い
出す。だってエアコンがある家なんて本当に限られ
ていて、太陽で温められたアパルトマンは、むんむ
ん蒸し風呂状態。屋根裏の家なんて、とても寝てら
れない。外に飛び出して、風を求めてさまようのが
一番だ。
そんな時は、サクレクール寺院だ。他のパリより標
高が100メートル位高いせいか、気温がわずかに
低い。それに、パリの上を流れる風に逢えるから、
それはもう爽やか。みんなは、ワインやビール瓶を
片手に集まってくる。芝生に寝転んだり、階段に腰
掛けて、パリをぼーっと一望したり、誰かの弾くギタ
ーに合わせて合唱したり、思いのままに暑い夕暮
れを過ごしている。
私も、久しぶりに汗をかきながら、下から上へと歩
いて、サクレクールにやってきた。誰かが立ち去っ
たばかりのベンチに腰掛け、思わず深呼吸。爽や
かな風が、私の汗を消し去ってくれる。何とも気持
ち良い瞬間だ。
今夜は、夕暮れまで此処に居よう。もう動けない。
しかし、ワインを持ってくることを忘れていた。反省
しきり。こうなったら、誰かの歌う唄を聴きながら、
一緒に口ずさむのも良い。そのうちに、きっと寝む
ってしまえるからー。

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2007/4/8  15:59

EGAO  分類なし

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爽やかに晴れ渡り、空気が澄んでいた昨日、久しぶりに観光客に
混じって、シャンゼリゼを歩いた。
人が溢れ、各国からやってっきた数え切れない数の人びとが、い
や人種が、それぞれの想いを抱いて、このパリの目抜き通りを歩
いていた。私は、歩道に設けられたカフェテリアに席を見つけ腰掛
けた。そして当然でしょう!と言わんばかりにビールを注文した。
もう、のどが渇いて仕方が無かったのだ。それほど、天気は夏へ
向かって動き出した気配なのだ。
そのとき、群集が騒ぎ出した。振り返ると、綺麗に着飾った可愛い
感じのおばあさんが、警察官に両手を抱えられ連れられていた。
この暑さで、気分でも悪くなったのかなと思ったのだが、目に入っ
てきたのは、おばあさんの両手をしっかりと後ろで繋ぐ手錠だった。
どう見ても、フランス人女性だ。メガネをかけていた。
警察官は、自分の親、いや祖母ぐらいの年のその女性を、実に乱
暴に引っ張り、パトカーに押し込んだ。その女性の頭が激しく揺さ
ぶられる。彼女は、決して抵抗しないし出来るような年齢でもない。
されるままに車に押し込まれて行った。
こういったケースでは、大概スリを犯したのだと思われる。多くの
群集の中で、彼女はきっとスリを犯し現行犯で取り抑えられたの
だろう。何故、こんなに綺麗に着飾った可愛いおばあさんが。。。
と何だか悲しくなる。私も、人の子だ。母がいる。そしてきっと、こ
の女性も、誰かの娘だったのだろうし、誰かの妻であり、母である
に違いない。
人は、愛されて生まれてくる。大事に腕に抱かれ、そして育ってく
る。誰かが必ず命よりも大事だと思って育ててくれた。街を行く黒
人も、アラブ人も、そして我らアジア人も、例えどんなあらくれ者で
も、生まれたときは、大事に誰かに抱かれていた。
なのに、その顛末が、戦争で死んだり、事故や病気で死んだり、
苦しんで自殺したり、人を傷つけたり、罪を犯したり。。。なんて
悲しい事なのだろう。普通に幸せに人生を終えられない。それは
本人も当然だが、その人を大切に思って育てた親にとっては、言
葉に出来ない深い悲しみに違いない。このおばあちゃんも、きっと
子供の頃は、人形のように可愛くて、大切にされてきたんだろう。

誰かが言った言葉。。。人は、傷つくために生まれてくる。。。そ
の意味が分かってくる。生まれた頃は、純で綺麗で。そして時間
と共に、老いていく、病気になっていく、傷ついていく、というもの
だ。自分は、どこまで傷んでしまってるのかな?気になってきた。
いつまでも、純粋な笑顔を浮かべていたい。あの子供の頃のよ
うに。守りたい、心の中の何かを。
そして、誰かの浮かべる笑顔が、やけに気になってきた。

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