2007/5/20  19:33

KAZE TO TOMONI  分類なし

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ある年配のおじさんと意気投合した。
彼は。。。もう60歳は絶対に超えている。きっと70歳
に近いかもしれない。顔は典型的なおじさん顔で、頭
も禿げている。鼻の頭は団子そのもので、年と共に赤
さを増し、ヒビさえ見て取れる。
一番驚いたのは、彼のダミ声だ。嘘だろう?と誰もが
振り向くほどの彼のダミ声は、浪曲でも聴くがごとく、
潰れた濁った声だった。
渋い、実に渋い。彼の声は生まれつきなのだろうか?
彼の人生の渋さを醸し出していた。
彼は、革ジャン、革ズボンに身をかため、真黄色に塗
ったハーレーというバイクにまたがり、爆音を響かせて
走ってきた。
その日私もバイクで走っていた。自然と息が合い、顔
が合えば、お互いニマーっと笑顔になる。きっと波長が
合うのだろう。
バイクを停めて、話をして再び驚いた。彼の職業は。。
政治家だという。国会議員。もう格好良過ぎて、声が
出なくなった。そういえばこのおじさん、身なりは日本
でいう成金タイプでもあり、どこかの村の村長さんのよ
うで、おかしくて笑いが止まらなくなった。そっかぁ、そ
ういう世界の人だったんだー。
彼の豪快な話しぶりは、話が進むにつれて、私には
大きな魅力として心に焼きついた。思い切り自由に生
きる、人のためになれと政治家の仕事をする、そして
一人になれば真黄色のハーレーにまたがり、自由に
走り回る。そんな彼の生き様を見て、私は心に大きな
ショックと爽やかさを感じた。凄い男が居たもんだ!
一緒に入ったガソリンスタンドで、彼は2台のバイクの
ガソリンを入れて、纏めて支払う。私の分は自分で支
払うと言う私に、<若造よ、ワシ等おじさんの気持ちを
理解したまえ!>と跳ね除け、爆音とともに走り去っ
て行った。格好良い〜っ!
そう言えば、彼の名前を聞き忘れてしまった。ただただ
圧倒されて、人間の大きさの違いを見せ付けられた想
いだ。男として、自分はまだまだ若造なんだと思い知ら
された。彼は大きい、そして私は小さい。
彼の残してくれた豪快な余韻は、私に大きな力を与え
てくれた気がする。そして、彼はこのセーヌの風のよう
に爽やかに吹いて、走り去っていった。
どうやら今夜は、興奮して眠れぬ夜をむかえそうだ。

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2007/5/15  21:30

MUKOU NO KESIKI  分類なし

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週末の午後。

何も考えないようにして、ただぼーっと遠くを見つめている。
何なんだろう、この空虚な気持ちは。全身の力が抜けたよ
うな、そんなむなしさに包まれている。
張り詰めた緊張の糸がぱっと切れたような、そんな切なさ
に包まれている。
天気が良いのに、空を見上げる気になれない。風が気持
ち良いのに、吹かれたいとは思わない。
こんな時間は、ただ遠くを見つめて動かない、動けない。
何も考えない、何も感じない。
時間が過ぎ去っていくのを、ただじっと待つだけにする。

この歴史溢れる街に、多くの人が住んでいる。そんな人た
ちの中に埋もれて、ふと肩の力を抜いてみる。でも何も変
わらない。どっと力が抜けていく。

こんな日もある。無力で何も出来ないときがある。そんな
時は、向こうに見える景色をじっと眺めて、ただ深呼吸。

この街の景色に抱かれて、今日はこのまま流されていたい。

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2007/5/6  12:11

IKITE KITA KOTO  分類なし

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マルシェを更に歩いていくと、優しい香りで一杯の花屋
があった。そして、そこには花を買おうとしている年配の
夫婦の姿があった。
お墓参りだろうか。そんなことを思わせるきっちりとした
服装に、二人のしっとりとした重さを感じる。
特に、私はその紳士の顔に、素敵な魅力を感じた。生
きてきた今までの彼の日々が、決して軽くなかったこと
を漂わせる、そして、彼なりにしっかりと年を重ねてきた
のだという味を感じるのだ。そして、そういう人ほどとて
も優しい顔になっていくものなのだ。
私も、年をとっていく。彼も、そして彼女も。昔はそんな
事実に焦りさえ感じていた。でも、最近はとても穏やか
に、その事実を受け入れられるようになった。きっと、世
界で一番になる必要なんかない、自分にとって一番に
なれれば良いのだってことに、やっと気付いたからだろ
う。若すぎた日々、溢れるエネルギーが時に自分を苦し
めていた。
それが、先輩たちの顔を見ていて、どう年を重ねるべき
かという最も難題に、最近やっと自分なりの答えが見え
てきたのだ。少し慌てることはあっても、もう焦ることは
ない。
飲み屋でも仕事場でもすれ違い際にでも、色んな人の
顔に味を感じた時、私もそんな年のとり方をしたいなっ
てあこがれるようになった。そして、今の自分はどんな
ステージなのだろうか、と振り返る。
素敵な二人は、花束を買って静かにそこを去っていっ
た。特に言葉を交し合うこともなく、呼吸で会話をしてい
るようだった。優しい花の香りが、辺りをそっと包み、そ
して、雑踏の音だけが響いている。
買った花は、やはり、お墓参りに持って行くのだろうか。
こういう素敵な顔の人は、心の奥にある悲しみさえも静
かに包み込んでしまい、言葉と顔に決して表さない深さ
を持っている。私は、悲しい彼の眼が心に残り、それが
無性に気になって仕方がなかった。

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2007/5/3  0:49

KAZE OKANOUE  分類なし

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暑い日が続いている。
まだ5月になろうとしてる時期なのに、30度近い
気温が続くと、さすがに異常気象なのかなーと心
配になったりする。
でも、この時期のヨーロッパの特徴は、みんなの
服装が極端に分かれることである。
まだ厚手のジャンパーやコートを着てる人がいる
と思いきや、Tシャツ一枚の薄手で街をスイスイ
歩いてる人がいたりするから面白い。
暑いのやら涼しいのやら、一体どっちだ?なんて
悩みそうだが、日陰に入ったらまるでエアコンで
も効いてるのかと思うほどひんやりする時もある
し、まだ朝夕はひんやりするので、仕方がない。
しかし、さすがに暑かった日の夕方はTシャツ族
もジャンパー族も、パリの高台モンマルトルの丘
に集まってくる。ここには、いつもアパルトマンの
屋根の上を流れる風が、通り過ぎていく。

今日も、みんながそれぞれの想いを抱いて風に
吹かれている。自称芸人たちが何かを唄い人々
の気を引こうとしている。いつものように、時間が
流れ、夕方が来て、そして暗闇がやって来る。
そんな人々の後ろに私は立って、赤く染まって
行く街を眺めている。

涼しさが増した夕暮れ。私は、手に持っていた
ジャンパーを羽織って、暗闇が来る前に帰路に
つくことにした。冷たい風が増えると共に、何だ
か寂しさも増してきたからだ。

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