2008/7/8  15:50

Junior ballet  Ballet(観るほう)♪
クリックすると元のサイズで表示します
「Gnossiennes」(Thierry Malandain振付)。写真はプログラムより。

Cite Internationale Universitaire(国際大学村)は主に学生や研究者用の住居として知られているのだろうが、ここには立派なテアトルがある。ちなみに各国の館にはグランドピアノが設置されたサロンがあるところもいくつかあり、コンサートなどの会場としても利用できる非常に文化的なところである。

5月末、La villetteにあるCNSMDP、国立コンセルバトワールのダンス部門の最終学年から構成されるLe Junior Balletというカンパニーの公演がこのテアトルで行われた。
このコンセルバトワールのダンス部門にはクラシックとコンテンポラリーとの2コースがあり、それぞれが2作品づつ踊った。

レベルのこともあり、ついついクラシックコースの2作品に集中してしまう。
1つはフォーサイス。(4 variations de "The Vile Parody of Address")。
プロのダンサーでも踊りきることが難しいであろうフォーサイスの作品について、テクニック的なものを言うのは酷であろう。実際、踊った3人中、男性2人については振付を追うのがやっとという感じであったが、驚いたことに女性ダンサーについては非常に高いレベルでフォーサイスに挑んでいた。

CNSMDPの舞台は、毎年というわけではないが、友人や知り合いがいたりなどで、以前より何度も見る機会がある。ここのクラシックコースの教育の特徴は、個性を学校側が消さないことだと思われる。オペラ座のように徹底したある種の”規格化”をしないだけに、テクニック的に粗は目立つし、生徒のレベルもてんでばらばらである。しかし、とりわけネオクラシック、あるいはコンテンポラリーにおいて突出した個性が現れたときには、そのまま自由に才能を伸ばすことができる環境のようである。フォーサイスを踊った女性ダンサーも伸び伸びと踊っていたのが印象的だった。

クラシックコースの2作品目はThierry Malandain の「Gnossiennes」。舞台真ん中に置かれたバーはHarald Landerの「Etudes」をおもわせるが、Malandainのバーの使い方はもっとアクロバティックである。確か8人ほどが出演し、クラシックコースの中核を担う生徒さんをこれでほとんど見たことになったのだろうが、フォーサイスで真ん中を踊った彼女以外は、踊りがクラシックすぎて硬く、あまり作品を踊りきれていなかった感じである。

フランスのバレエの先生がプロのダンサーについて批評をするのに"scolaire"だ、という言い方を使っているのをよく耳にする。直訳すると”学校的”。上手には踊っているのだろうけど、学校の生徒さんが踊っている感じで、芸術として、アーティストとしての踊りではない、まぁ、言ってしまえば、つまらない、といった感じの意味合いである。こうして学校の生徒さんたちが、テクニック上はソツなく踊るのを見ると、ここから一歩上に、プロとして観客に訴える「何か」を習得していくことは、一部の才能のあるダンサーにしか成し遂げられない本当に大変なことなんだろうとしみじみ思う。

ちなみに、このブログを前から読んでくださっている人はご存知だろうが、私はこのコンセルバトワールのコンテンポラリーコースに関してちょっと辛口であることをご容赦願いたい。”地方”ではなく、”国立”コンセルバトワール・・・つまりお金も相当かかっているであろう舞踊教育の一つのコースとして、このレベルでいいのか・・・・?とどうしても思ってしまうのである。舞踊は多様化しているとはいえ、ここの学校に限った話ではなく、コンテンポラリー、と名がつけば何でもいいわけではないだろう。最低限のクラシックバレエのレッスンから養われる「舞台的身体」くらいにはなっていてほしいと思ってしまう。
このコースにも、クラシックコースで進級できず、コンテンポラリーをやっている生徒さんもいて、数人はきちんと「稽古をした」「表現者としての」身体つきであった。その生徒さんたちだけがダンサーとして素晴らしいなどとは言わない。また、では「表現する身体」とは何か、などど突っ込まれると、コンテンポラリーダンスとは、という議論になっていき、到底私の知識でお答えするようなレベルの話ではないが、”国立”のバレエ学校で最低限の身体つくりくらいはしてもいいのではと思うのはいけないだろうか。

いずれにせよ、こうした学校公演というのはそれぞれの教育の特色が見られてとても楽しいものである。なかなかあちこちのを見に行かれないのが残念。




コメントを書く

名前
メールアドレス
URL
コメント本文(1000文字まで)


RSS1.0