2008/7/13  2:42

ルグリの真骨頂@La dame aux camelias  Ballet(観るほう)♪
クリックすると元のサイズで表示します
↑初日、モローの怪我により、三幕からの急な代役ながら素晴らしく情熱的なPDDを踊ったシアラヴォラとビュイヨン(とても難しい踊りなので相手役ごと代役へ。踊ったことない人とは無理なのですネ。)。この日はマノンにムッサン、デ・グリューにマティアス・ヘイマンと、とても豪華でございました♪

6月末より、ガルニエでは今シーズンのバレエプログラムの最後を「La dame aux camelias(椿姫)」が飾っている。ジョン・ノイマイヤーがショパンの名曲を使いバレエ化したこの作品に出会って以来私は、今まで聴きなれていた名曲を、各シーンを思い出さすにはもう聴くことができないほどにこの作品に魅了されてしまった。

いろいろと書きたいと思っていたことが、最終日12日に、デルフィーヌ・ムッサン/マニュエル・ルグリの二人が主役をつとめた回を見て、すべてがふっとんでしまった。

2006年6月にこのノイマイヤーの「椿姫」がオペラ座のレパートリーに入って以来、様々な組み合わせの主役を見てきた。とりわけクレルマリー・オスタ/マチュー・ガニオ、そしてアニエス・ルテスチュ/エルヴェ・モローの組み合わせなどが印象的だったが、実はルグリ(オレリー・デュポンと)は印象があまりよくなかった。役にとって彼が年を取りすぎていると感じたのだ。
舞台とは魔法のようなもので、相手役によりダンサーの印象、そして相手役との間で起こる化学反応のような感情は違うし、同じ組み合わせでも日によって違う。
デュポンとルグリはオペラ座の生んだ歴史に残る名パートナーシップのうちの一組だと思うが、デュポンが若くあまりに美しいために、ルグリが恋するアルマンというよりも、若い女性を誘惑する熟年男性のように私には見えてしまっていた。

しかし、今回ムッサンと踊った彼は、マルグリットに恋をし、愛に苦しむ、まさに青年アルマンだったのだ。彼の(年齢的な)ヴィジュアル云々を言っていた自分が恥ずかしくなるほど、舞台に立つアルマン青年の激動の恋の話は感動的だった。

ふと、なぜか彼の踊りを見ながら、歌舞伎の女形について考えた。彼らは年を取り、ヴィ
ジュアルは「娘」とは言いがたいが「娘」であることの本質を型にして表現していく。
今日の席が舞台からいつもより遠かったせいもあるのだろう、今日は私がルグリが踊りで表現しているものの本質だけを見ることが出来た気がする。

とりわけ、三幕。再会した二人がショパンのバラードに合わせて踊る激情に溢れる愛のパ・ドゥ・ドゥ。それに続く舞踏会での彼のやるせない気持ちからくる荒れ様。この二つの重要な場面では過去にモローが相当な演劇的才能を見せて観客に大きな感動をもたらしたが、ルグリの演技は、その傍らで大人の色気を醸し出しつつこの悲劇を生きるムッサンとの演技と呼応し、言葉にならないほどの感動を生み出した。「愛」「激情」とは普段目には見えない「感情」であるはずなのに、自分の目の前には、伝わってくる感情とともに、「視覚化された愛」があった。

ノイマイヤーを最初に見たのは、「ロミオとジュリエット」のパ・ドゥ・ドゥであったが、何て男女の愛を描くのが下手なんだろう、と思ってしまっていた。何だかロミオとジュリエットの溢れる恋の喜びというようなものがその振付からはまったく伝わってこなかったのである。もちろん、私の頭の中で名作であるマクミラン版の「ロミオとジュリエット」のパ・ドゥ・ドゥの印象が強すぎるからだったのだとは思うが。
その後、「ヨンダリング」を見たときには、あぁ、この人はゲイなのだ。だから男女を描くのは苦手なのだ。こういった若い男性ダンサーの瑞々しさを引き出すのには類稀な才能を持っているのだ、と思ったものだ。しかし、「シルヴィア」を経て「椿姫」との出会いにより、私は彼の演劇的バレエにすっかり魅了されることとなった。(ちなみに最近ではシャトレ座でのハンブルグバレエ団の公演(「ヴェニスに死す」)を観たが、これは好きになれなかった。)

ちなみに今回、初日を踊ったルテスチュとモローは、DVD撮りをするはずだったのだが、モローの二幕での怪我(我を忘れて踊っていたらしいモロー君はどうやら袖に入るときにプロジェクターに突っ込んでしまったとのことなのである。)により、結局ステファン・ビュイヨンがルテスチュと組んだ。ビュイヨンは「椿姫」に関しては、この初日の三幕で急遽イザベル・シアラヴォラと踊ったのを見ただけだが、彼には男性的な色気がある。オペラ座の「漫画に出てきそうな王子」が多い中ではわりと珍しい「男」という感じのダンサーだと私は思う。少し上体が不器用なのがいつも気になるのだが、表現者としては素敵だ。DVDの発売が楽しみである。

「椿姫」は2006年にレパートリー入りしてからしばらく上演が続いたので、来年のプログラムにも入ってはいないし、次に見られるのは少し先かもしれない。その頃にはどんな素敵なダンサーたちが踊ってくれるのだろうと今から楽しみである。






コメントを書く

名前
メールアドレス
URL
コメント本文(1000文字まで)


RSS1.0