2006/5/16  23:23

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↑ガルニエでは現在Anne Deniau という写真家による、「Double jeu」 と題したダンサーの写真展が開催中。これはソワレ服をまとったエトワールダンサーたちをオペラ座内の”知られざる”各所で撮影したもので、公式サイトによると、これからエトワール以外のダンサー、Maitre de Ballet、Repetiteur (つまり、イレールやドラノエもということですね!?)なども登場し”カンパニーのアルバム”なるものになるとか。何とも素敵な企画。


先日、ガルニエ宮にて招待カンパニーとして、NDT(ネーデルランド・ダンス・シアター)が公演を行った。
NDTはTがメイン、Uがジュニア、Vがシニアであるが、今回はUとVが同日に行ったプログラムを鑑賞した。(別日程で行われたNDTTの公演は本業で、とある締切りに迫られ、泣く泣く断念。)

NDTはシャイヨ宮で行った前回のパリ公演、そして前回のガルニエ公演とを見ているが、クルベリバレエの記事でも書いたように、最近のキリアンの作品はある意味熟成を超えて老成していて、後継者にあたるのであろう振付家二人(Paul Lightfoot,Sol Leon)の作品のほうが勢いがあるという印象を持っている。

今回のプログラムは、まず「Sleepless」というキリアンによる作品(NDTUにより上演)から始まった。舞台後方には横長の、薄いリノリウムできているような張りのある素材でできた布が広がっている。等間隔で割れ目が入っており、カーテンのような状態である。
振付けはこの布をスクリーンのように使ったり、その割れ目を利用したりと面白い趣向のものであった。ダンサーが布に倒れ掛かったと思ったら、裏には他のダンサーがいて、人の支えなしではできない面白いポジションでポーズをとったり、である。

趣向は面白かったのだが、キリアンの大ファンとしては、繰り返しになるが、老成を感じるばかりである。キリアン的ランガージュがそこにはちりばめられているのだが、侘び寂びの境地のように、より以前の作品よりもシンプル化されたものを感じる。

2作品目もNDTUによる上演。これが上記の後継者(?)の二人の作品である。
見ていてほっとする。シャイヨ宮でこの二人がNDTUに振付けた作品(名前は失念したが、絨毯の真ん中で女性が一人踊り、これを数人の男性が絨毯ごとまわしたりする美しい作品)に出会って以来、私はすっかり惚れこんでしまった振付家たちである。
その美的センス、まさに「今の本人」ではなく「ブランドと化した(?)」”キリアン”なのだ。
この二人自身がキリアンファンなのだろうと、キリアンファンから見て思う。キリアンのエスプリが本人の作品からでなく後継者からより芳しく漂ってくる。

この作品、湯浅永麻・小尻健太というNDT所属の日本人ダンサーのデュオの見せ場もあった。アジア人特有の手の先に魂を感じる踊りで素晴らしかった。

3作品目はNDTVによるキリアン振り付けの、「バースデー」。
これは、あまりに楽しい作品なので、見たことない方のためには種あかしはしないほうがいいだろう。
キリアンはどうも、昔の貴族の宮殿でのやりとりに想像力をかきたてられるらしい。
2004年にオペラ座に振付けた「Il faut qu'une porte...」は確か、ルーブルにある貴族を描いた絵にインスピレーションを受けたとか読んだ記憶があるが、美しい衣装をつけた貴族の男女が扉をめぐって繰り広げる踊りは目に麗しく、美しかったと同時に、ユーモアのある作品だった。
この「バースデー」は、それより前の作品(2001)だが、”貴族なんて今では絵画の中で美しい姿で残っていることが多いけど、綺麗な格好して結構馬鹿な話とかして、人間くさくて、こんな感じだったんでしょう・・・”と彼がイマジネーションを働かせて楽しんでいるようである。悪ふざけの粋でもあり・・・。私は映像のアイデアに感嘆し、ひたすらに声をたてて笑いながら鑑賞し、それ以上の深読みなんぞはしなかった。これ、何か他に読み方でもあるのだろうか。

上演後、この日は一部から激しいブーイングもあった。
例えばその方が、キリアンの作品を多く見ているキリアンファンというよりは、オペラ座でのキリアンを見ているだけの方であれば、例えば「優しい嘘」「ベラ・フィギューラ」あたりを見て、見に来られたのであろう。そんな方にはまぁブーイングをするほどある意味ショッキングな作品だったのかもしれない。私はキリアンのこういうユーモアセンス、好きなのだが。

それにしても踊る側には相当人気が高いと思われるキリアン。
ルフェーブル監督はもちろんのこと、美男美女揃いのオペラ座のダンサーを舞台外でこれだけ一度に見られることは他になかろうというほど結構大勢見にきていた。目の保養。


招待カンパニーといえば、来年は市川団十郎と海老蔵がガルニエで公演を行うそうで驚きである。オペラ座のプログラムには「オペラ」「バレエ」「フロンティエール(境界)」とあるが、これが「境界」でなく「バレエ」のカテゴリーで、というのも面白い。
ルフェーブル監督はパリで行われる他カンパニーの公演を実によくチェックしていて(よく他劇場で見かける。)、昨年シャイヨ宮で海老蔵の襲名披露公演を見たときにも来ていたから、前衛的プログラムを組みたいというやり方の彼女、あれを見て決めたに違いない。

ちなみにこの件、「KABUKI」と来年のプログラムにあったのを頭の固いバレエファンの私は、よく読まずにちらっと見たきり、てっきりベジャールの「KABUKI」が上演されるのかと思い込んでいて、ユリから聞いたときには実に驚いたものだ。







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