2008/3/16 14:31
Mother Night DVD
Mother Night
マザー・ナイト
2007年、惜しくも故人となってしまったカート・ヴォネガット作『母なる夜』の映画化。 主人公、ナチ宣伝員ハワード・W・キャンベル・ジュニアには、前回の『ブレックファースト・オブ・チャンピオンズ』にも出演していたニック・ノルティ。公開は本作の方が先ですが、いずれにせよヴォネガット作品には縁が有る様ですね。 監督は、キース・ゴードン。かつて、ブライアン・デ・パルマ監督の『殺しのドレス』に、アンジー・ディッキンソンの息子役で出演していた事でも知られる、俳優兼業(?)の方です。他には、『歌う大捜査線』という奇怪なミュージカル・コメディーを監督しています(日本では劇場未公開、DVDは売ってます)。SF的要素が無くても、読み進めて行けば、それが紛れもなくヴォネガット作品である事が判る原作。 飛田茂雄(訳)の早川書房版が絶版になっている模様なので、今や池澤夏樹(訳)の白水社版がデファクト・スタンダード。 (『ライ麦畑でつかまえて』も将来、同じ運命を辿るのでしょうかね。)
「寓話に似た体裁」とは、その池澤夏樹が、原作の『訳者のあとがき』に書いていたヴォネガット作品の見立て。何処と無く、ジョン・アーヴィングの様な雰囲気を感じたりもします。 でも、それもそのはず、60年代後半、ジョン・アーヴィングがアイオワ大学創作科に在籍していた時、教鞭を執っていたのが、誰あろうカート・ヴォネガット本人なのであります。
映画は、基本的に原作に忠実に作られているのですが、論文を会話調に割り付けて小説化した様な(理屈をコネ廻す)クライマックスをバッサリと整理。さらには、小説ならではの、文章の余韻を味わう結末を、見事、映画的に翻案しています。ラストシーンに賭ける映画人の気概を感じます。
残念ながら、日本では劇場未公開。日本語字幕付きのVHSが東宝から発売されていましたが、現在では廃盤のようです。ひと頃はレンタル屋で見掛ける事も有りましたが、ヤフオクで手頃な価格の「(所謂)レンタル落ち品」が数多く出回っております。 そんな情況ですので、言うまでも無く日本ではDVD未発売。米盤のDVDは、ワーナー系のニューライン・ホームビデオから発売されています。特典が以下の通り、たいへん充実しております。
脚本家+監督のコメンタリー/主演のコメンタリー/削除されたシーン/原作者+主演の2ショット・インタビュー/アイヒマン裁判(エルサレム・1961年)のニュース映像/主なナチ戦犯のバイオグラフィー/キャスト+スタッフのプロフィール/劇場版予告編/英仏音声・英仏字幕
本作にも、原作者カート・ヴォネガットが登場いたします。 クライマックス、茫然自失で舗道を歩く主人公ニック・ノルティと擦れ違う口髭オヤジこそ、その人であります。それとなく、判り易い様にカットを割って観せてます。(サービス、サービス)

2007/9/23 16:08
ブレックファースト・オブ・チャンピオンズ DVD
ブレックファースト・オブ・チャンピオンズ
Breakfast of Chanpions
カート・ヴォネガット・ジュニアの同名小説を映画化、 脚本・監督はアラン・ルドルフ、『ロング・グッドバイ』などのロバート・アルトマン作品で助監督を務めていた人物です。主演は『ダイ・ハード』のブルース・ウィリス、共演は『48時間』のニック・ノルティ。何ともゴッツイ配役です。(一見するとね)短いパラグラフとヘタウマ・イラストが、折り重ななる様に展開してゆく原作『チャンピオンたちの朝食』。登場人物は、カート・ヴォネガット小説オヤクソクの「罪の意識に怯える人、被害妄想に血迷う人、悔い改められない人」たち。 SEXと暴力には呆れる程寛容だけど、人権問題には事の外敏感(でも無いかぁ?)な米国で、この原作を如何にして映画化するのか興味津々でありました。 反語法とは、著述における修辞法ですから、映像製作にソノママ流用すると誤解を招く恐れが大きい(シャレにならない)ワケで…。
オープニング・タイトル。 カート・ヴォネガット・ジュニアのヘタウマ・イラストが、アニメーションとなって展開。そこへ流れるのがマーティン・デニーのエキゾチック・サウンド『コロネーション』。以降、全編に渡ってマーティン・デニーの音楽がフィーチャーされており、ユルイ世界観の醸成に大きく貢献しております。「一発録り音楽」ならではの「オキラク・ゴクラク」な空気感が、映像に不気味にマッチしております。
原作では、著者(カート・ヴォネガット・ジュニア)自身が登場人物の生殺与奪の権を振りかざしながら作品世界に介入して来るクライマックス。(ワタシの)乏しい想像力では、どう考えても映像化不能に思えたのですが、流石アラン・ルドルフ、バッサリやってくれました。何事も割り切りが肝腎なのですね。見事に映画として成立させています、…ヌルイけどね。
その他いろいろ。(And so on.)
ちなみに、オーウェン・ウイルソンが、ヘンテコなテレビ番組の司会者役で唐突に登場。カート・ヴォネガット自身も、インチキ臭いCMディレクター役でチラッと登場しています。
以前、日本盤が発売されているとは知らずに、ウッカリ米盤を買ってしまいました。特典映像が付いておらず落胆していたところ、追い打ちを掛けたのが、程無くショップで目にした日本盤。 まあ、日本盤ですから日本語字幕が付いているのは当然ですし、(実は、この手の作品では珍しい事なのですが、)吹き替え音声が付いている事も有るでしょう。(ブルース・ウィリス=野沢那智という吹き替えには、かなり違和感有るんだけど…。)
でも、ド〜しても許せなかったのが、(本家)米盤には無いのに、何故か日本盤には付いている特典映像。 …だから、悔しいから買い直しましたよ、涙を呑んで、日本盤(苦笑)。 …早速再生した日本盤のメニュー画面を観て、唖然としました。特典映像とは、配給会社が作品のプロモーション用にメディアに提供するEPK(Electronic Press Kit)の事だったのです。(メニュー表示も、そのまんま「EPK」だった。)
撮影風景と監督・出演者・原作者(!)のインタビューが収録されているのですが、媒体社の使い勝手を考えた作りですので、全てが素材状態。大まかなカット編集が成されているだけですし、テロップも一切乗ってません。(つまり、インタビュー等も日本語字幕無し) ナレーションも、付いてる筈が有りません。 …何ともアバウトな感じです。EPKを、こんな風に転用して権利関係の問題が発生しないのでしょうか? 大きな御世話だけと、心配になっちゃいました(笑)。

2007/9/19 1:13
3 Women DVD
3 Women
三人の女
前回に続き、今回もロバート・アルトマン。 『M★A★S★H』や『ショート・カッツ』もイイけど、やはり、『三人の女』について触れずには置かれません。 この作品、何度観てもブキミでキモイです。血液とか肉片が飛び散るホラー映画じゃ無いんですけどね。 例えるなら、黒板に爪を立てて「キーッ」って引っ掻く、あの虫酸が走る感覚とでも言いましょうか…。主演は、アルトマンの秘蔵っ子、シェリー・デュヴァル。ウディ・アレンの『アニー・ホール』やスタンリー・キューブリックの『シャイニング』にも出てましたね。女優の市川実和子にクリソツです(笑)。(ちなみに、TVシリーズ『すいか』に出ていたのは、妹の市川実日子。) 共演は、シシー・スペイセク。この作品の前年、ブライアン・デ・パルマの『キャリー』でブレイク(笑)した無敵のキモキャラです。
日本で今、この作品をリメイクするとしたら、(不毛な仮定ですが…)シェリー・デュヴァルが演じたミリー役は(当然)市川実和子、シシー・スペイセクが演じたピンキー役は、若手実力派筆頭の蒼井優にお願いしたいです。 誤解の無いように申し添えますが、蒼井優は、断じてキモキャラではありません。紙一重かも知れませんが…(苦笑)。
米国公開から8年を経た1985年、ようやく日本でも劇場公開されたのですが、国内でビデオ化された形跡が有りません。現在この作品を観るには、米盤のDVDを手に入れる以外方法が無いようです。発売元は、クライテリオン・コレクション。品質の良さには定評が有ります。 ちなみに本作、今年のPFFのアルトマン特集で上映されていました。珍事です(笑)。ひょっとして、国内盤が発売されたりして…。 『ショート・カッツ』も11月22日、遂に国内盤が発売されるみたいですしね。(『ザ・プレイヤー』も、併せて再発売されるそうです。)
とにかく難解(と言うか、意味不明)な作品なので、DVDにアルトマン監督のオーディオ・コメンタリが収録されていた事は、とても有難かったのですが、当の御本人、ヤル気が無いのか、何だか要領を得ない曖昧なコメントに終始するんですよ。 「アメリカ人は、いちいち(表現しているところの)意味を聞きたがる」と、愚痴ってみたり、「『何だか良く解からないけど、この映画好きだ』って事で、イイんじゃないの?」と、居直り気味になってみたり…。ケッコウ呆れました。 でも、まあ、一方では親近感も湧きましたけどね。弁舌爽やかな映画監督なんて、かえって胡散臭い。
御冥福を祈ります。

2007/9/17 10:53
The Long Goodbye DVD
The Long Goodbye
ロング・グッドバイ
レイモンド・チャンドラー作品の映画化と言えば、『さらば愛しき女よ』と共に忘れちゃイケナイのが、『ロング・グッドバイ』。 まあ、原作者が存命だったら、怒りそうな映画化ですけど…。 呆気にとられる程の換骨奪胎、見事にロバート・アルトマンの作品となっています。主演のエリオット・グールドが後年インタビューの中で、この映画を「カルト・クラッシック」と称していたけど、確かに今もなお、時として、この映画を熱烈に支持する同志に遭遇する事が有ります。殊に深夜の酒場などで…(苦笑)。 ちなみに、「かつて松田優作は、TVシリーズ『探偵物語』を作る際、この映画を大いに参考にした」というのが、好事家の間では<定説>となっております。
この映画も、DVD化を散々待たされました。諦めかけていた2002年、唐突に米盤が出たので入手。日本盤がようやく出たのは、それから3年後、2005年の事でありました。それも、初めから廉価盤で…。
まあ、翻訳モノの冒険小説、探偵小説と言えば初めから文庫版で出たりしますし、安いに越した事はないのですが、悲しむべきは、米盤には付いていた特典映像が、日本盤では一切外されているという事。監督と主演、さらには、撮影監督ヴィルモス・ジグモンドのインタビューまで付いていたのになぁ…。(ロバート・アルトマンは、昨年惜しくも亡くなってしまったので、インタビュー映像なんて益々貴重なんだゾ) ジャケットのデザインも、米版のポスターを<コピ・ペ>しただけの、激しく所有欲を削ぐシロモノだったしね。
でも、そんな事より、ド〜しても許せないのが、日本語字幕。 その昔、ワーナー・ホーム・ビデオから出ていたVHS/LD版の字幕が、あろう事か、そのまま付けられています。記憶する限り、過去最悪の翻訳です。作品の世界観ブチ壊しです。 TVの吹き替え版の方は、清水俊二の素晴らしい翻訳と森川公也の名調子で、何度観てもシビレるんだけどなぁ…。Web版ニューヨーク・タイムズに掲載された、ロバート・アルトマンについての記事でも、この作品の超有名なキメ台詞 "It's O.K. with me" が引用されていました。 ("dopey mantra" と称されていた(笑)。) 清水俊二はコレを、「どうでもいいけど」って、統一して訳してました。 DVDの訳が如何に酷いか、お持ちの(おヒマな)方は、原語を聴きながら字幕に御注目ください(苦笑)。 …ゼンゼン理解して無いよな、この翻訳家。
兎に角、「安かろう悪かろう」じゃ、客としてはナメられてるみたいで気分悪いよな。そもそもが、この手の作品は物好きなヲトナしか買わないんだから、特典アリアリでキッチリ作れば、多少高額でも売れると思うんだけどなぁ。
ところで前回、『さらば愛しき女よ』にシルベスター・スタローンが出てると書きました。例によって、好事家の皆様なら既に御存知の事かと思いますが(笑)、『ロング・グッドバイ』には、彼の宿命のライバルが出演しております。そうです、アーノルド・シュワルツェネッガー、その人であります。スタローンより遙かに扱いの悪い、単なるマッチョな用心棒役。勿論、台詞は有りません。デビッド・アーキン(マヌケなチンピラ、ハリー役で出演の俳優)の紹介で出演した模様。当時は、アーノルド・ストロング(爆)という芸名を名乗っていたそうです。 こういうオモシロ豆知識が仕入れられるのも、特典映像のオカゲなんですけどねぇ…。

2007/9/17 1:20
Farewell, My Lovely DVD
Farewell, My Lovely
さらば愛しき女よ
懐古趣味と言われようが、映画としての完成度云々を指摘されようが、兎に角この作品が好きだ。ロバート・ミッチャムが演じるフィリップ・マーロウの眠そうなタレ眼に、男の哀愁が漂ってる。ユーツなフィフティーズなのだ。かつて東北新社から出ていたVHSは、廃盤になる前に辛うじて手に入れた。それでも、ひたすらDVD発売を待ち続けていたのだが、2002年、業を煮やしネットで米盤を手に入れた。既に廃盤になっていた様で、送料込みで60ドル弱のプレミア価格。でも、まあ、現在では、安くても、その倍以上の価格が付いている様なので…。
現在の基準からすれば、画質や音声なんて評価に値しないし、チャプター・メニューこそ奇跡的に付いているものの、予告編等の特典映像は一切無し、英字幕はおろかクローズド・キャプションすら付いていない。 ちなみに、英盤は未だ廃盤になっていない様だし、仕様によると英字幕付きらしい。さらに、未確認だが、豪盤と怪シゲな中華盤(笑)が存在する模様。
…好事家の皆様なら既に御存知の事かと思いますが、この作品、今、ハリウッドで最も尊敬されていないビッグ・ショット、ジェリー・ブラッカイマーの初プロデュース作。台詞の無い哀れな端役(チンピラ)で、ロッキー以前のシルベスター・スタローンも出ています。

2007/9/16 15:09
Au Pair Girls DVD
Au Pair Girls
痴情の舌
『謎の円盤UFO』と言えば、絶対忘れちゃイケナイのが、エリス中尉役のガブリエル・ドレイク。未だに、あの、エロエロ・ミニスカ・コスチュームが眼に焼き付いてます。でも、当時ヲトナだったら、スッポンポンのエリス中尉も拝めたワケです。 ヲトナってズルイ(苦笑)。
徹頭徹尾無内容な、いわゆるソフト・ポルノですが、エリス中尉のナイス・バディ(ヘア有)は、充分堪能出来ます。 邦題が付いている事からも判る様に、73年に日本でも劇場公開された模様。当時は、「洋ピン専門館」という商売も成り立っていた時代ですから…。
そう言えば70年代、日本でも特撮モノ、戦隊モノ(そして、何故かNHKの朝ドラ)のヒロインと言えば、放送終了後には週間プレイボーイ(!)でヌードを披露するのがオヤクソクでしたね。
ネット通販でフツーに入手したDVD、依然としてフツーに入手出来るみたいです。 『謎の円盤UFO』ボックス・セット「1」と「2」の間に挟んで、大切に保管しております(苦笑+汗)。

2007/9/16 14:28
Journey to the Far Side of the Sun DVD
Journey to the Far Side of the Sun
決死圏SOS宇宙船
劇場未公開作品だけど、深夜のテレビで何度も観た。 何を隠そう、円谷英二とジェリー・アンダーソンで育った世代。でも、どちらかと言えば、着ぐるみ やマリオネットより、実写モノの方が好きだった。 …なので、『怪奇大作戦』、『謎の円盤UFO』。 …だから、ストライク・ゾーン、ド真ん中。 ストーリーもビター・テイストでヲトナ向きだったしね。主演は『インベーダー』のロイ・シネスだったけど、エド・ビショップ始め、後に『謎の円盤UFO』に出演する皆様もゾロっと御出演。 そもそも『謎の円盤UFO』自体、ジェリー・アンダーソンが、この作品で味を占めたからコソの賜物だそうな。
日本版の中古VHSを、希にヤフオクで見掛けます。DVDは、アメリカでも既に廃盤。 新たに当時のまま、露口茂(=ロイ・シネス)の吹き替え付きDVDが日本で発売されるなんて、当にソレ自体がSF級のユメだよなぁ。
2008年6月、米盤が再販される模様です。
ボッタクリ価格の中古品に手を出さぬ様、
御注意下さい!


