2008/5/14  18:34

砂時計  映画

Sands' Chronicle (2008)
Directed by Shinsuke Sato
Country: Japan
Rating: 45/100


『砂時計』 45点
ポルノやホラー同様、本作もジャンル映画の一種。作品以前にジャンルの存在自体から全否定されたり、出演者の容姿が単に観客個人の好みでは無いからという理由だけで毛嫌いされる事も、作り手側にとっては織り込み済みのコト。一方では、「原作では…」「連ドラでは…」と軽薄短小な衒学で虚栄心を満たす、製作委員会に名を連ねる媒体各社にとっては理想の“消費者”も存在するワケで…。 ふたりのヒロイン同様、骨太で(商魂)逞しい「儚く、せつない」映画。



2008/5/8  19:34

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS  映画

The Last Princess (2008)
Directed by Shinji Higuchi
Country: Japan
Rating: 43/100


『隠し砦の三悪人
THE LAST PRINCESS』 43点

C-3POとレイア姫の淡いロマンス、建造中のデス・スター内部で繰り広げられるハン・ソロとダース・ベイダーの死闘、音楽も何となくジョン・ウィリアムズ調。結末は一転、『ローマの休日』を彷彿させるビタースウィートなテイスト。…黒澤明のオリジナルは、冒険活劇の“テンプレート”だと割り切って観ましょう。何しろ作り手は、中高生が観に来るアイドル映画である事を念頭に置いた、“ユトリ”のある映画作りに努めなくてはならないのですから…。 【試写会】



2008/5/5  18:55

今夜、列車は走る  映画

Próxima salida (2004)
Directed by Nicolás Tuozzo
Country: Argentina
Rating: 50/100


『今夜、列車は走る』 50点
アルゼンチン映画を観るのは昨年の『ボンボン』以来だけど、本作のモチーフも同じく「グローバリゼーション」。…数多の作家が語ろうとも、語り尽くせぬビッグイシューなり。 金融工学という名の錬金術によって労働の対価が実体の無いゲームの賞金と化したのは、ニッポン國でも同じコト。なのに、邦画は「そんなのカンケーねェ」と言わんばかりのラインアップ。…ああ、歯が痒い。 “ブレイクスルー列車”を駆るのは若者、オヤジは置き去り。…無意味な結末。



2008/4/30  17:55

フィクサー  映画

Michael Clayton (2007)
Directed by Tony Gilroy
Country: USA
Rating: 70/100


『フィクサー』 70点
ジェリー・ブラッカイマー作品とは違う種類の映像読解力が求められるエンターテインメント。映像の“行間”は、勿論観客が読まなくてはなりません。名作『コンドル』のシドニー・ポラック監督が、出演のみならずプロデューサーとしてもクレジットされている辺りで、本作の素性について察しを付けていただきたいワケです。 高額な入場料を払っているのだから、それなりに歯応えの有る映画が観たいと思うのは当然のこと。流動食みたいな映画は、御免蒙るナリ。



2008/4/25  18:05

タクシデルミア ある剥製師の遺言  映画

Taxidermia (2006)
Directed by György Pálfi
Country: Hungary / Austria / France
Rating: 85/100


『タクシデルミア
ある剥製師の遺言』 85点

前作『ハックル』を観た翌日から、この作家の新作を待ち焦がれておりました。なので、実は辛抱堪らず、既にUK盤のDVDで観ちゃってたワケなのですが…。シャープさと色の冴えではDVDに敵わぬものの、やはり銀幕で観てこそ映画ありました。「サスガにコレはマズイだろ」という2カットには、案の定、豪快な「消し」が入ってましたが、珍子(単品)には寛容な御様子デス。 エログロの万華鏡。「乗り物」に遺伝子を封じ込め、無間を現すという皮肉。



2008/4/21  18:00

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)  映画

The Red Army (2007)
Directed by Kôji Wakamatsu
Country: Japan
Rating: 45/100


『実録・連合赤軍
あさま山荘への道程(みち)』 45点

敵前逃亡の過去を持つ“ヘタレ”のコンプレックスと、嫉妬に歪む“キモブス”のヒステリーによって内部崩壊した連合赤軍が、あさま山荘に追い詰められて逆ギレ。清く正しく美しいマドンナとしてサラッと描かれる重信房子。…それでイイのか? …兎に角、堂々190分。若松孝二による“勇気”ある「総括」。 「こういう映画にシンパシーを覚える自分が好き!」というスノッブな空気が充満する劇場。…エンドロールと同時に拍手する団塊ヲヤヂ、ギザキモス。



2008/4/15  21:48

ノーカントリー  映画

No Country for Old Men (2007)
Directed by Ethan Coen & Joel Coen
Country: USA
Rating: 74/100


『ノーカントリー』 74点
作品の源流にあるのは『ミラーズ・クロッシング』であって、『バートン・フィンク』や『オー・ブラザー!』では無い。 作品全体を支配する虚無感。作家に代わって「滅びの美学」を衒うのは、トミー・リー・ジョーンズ(テキサス州出身・ハーバード大卒)。ポエトリーリーディングと言うより、むしろ琵琶法師の如く台詞を吟ずる。…因果応報、諸行無常。 ひと言ひと言噛み締めれば滋味深く染み渡るのだろうが、そこまでの英語力も無く、単なるボヤキに聴こゆ。



2008/4/8  20:20

マイ・ブルーベリー・ナイツ  映画

My Blueberry Nights (2007)
Directed by Kar Wai Wong
Country: Hong Kong / China / France
Rating: 68/100


『マイ・ブルーベリー・ナイツ』 68点
返還目前の英国領香港だからこそ、火事場の馬鹿力で傑作が撮れたんだと思う。…『花様年華』は、残り火。結局、ウォン・カーウァイ映画の主役は、「人」では無く「街」なんだよな。 選曲が、いちいちアザトイ。デヴィッド・ストラザーンが飲んだくれている酒場で執拗に流れるオーティス・レディングは、未練がましい男の心情を現しているつもりなのかも知れないが、ココゾとばかりに扇情的に流れるカサンドラ・ウイルソンには、サスガに苦笑する外無かった。



2008/4/1  21:34

スルース  映画

Sleuth (2007)
Directed by Kenneth Branagh
Country: USA
Rating: 22/100


『スルース』 22点
NHK的に分類すると、「スタジオ演劇」と言う事になるのかも知れない。物語が繰り広げられる屋敷のセットは、舞台装置と呼んだ方が相応しい作りだし、過度に劇的なライティングは、舞台照明そのもの。…すべては、マイケル・ケインとジュード・ロウの濃厚なパフォーマンスを引き立てる為の御膳立て。 嫉妬に駆られた男達、剥き出しの憎悪の相剋。だが次第に、相手の自尊心を踏み付けにして屈服させ、支配する行為自体が快感になって来る。…つまり、SM。



2008/3/26  17:32

ダージリン急行  映画

The Darjeeling Limited (2007)
Directed by Wes Anderson
Country: USA
Rating: 86/100


『ダージリン急行』 86点
ファースト・カットから紛れも無くウエス・アンダーソン。飛び出す絵本の様なギミック満載の映像(勿論2Dだけど)がチャーミング。得意技、スローが掛かった移動撮影に加え、さらに今作では、マサラ映画式ズーミングが何ともグルービー。 その後の『ロイヤル・テネンバウムス』が、『ライフ・アクアティック』の“ベラフォンテ号”ならぬ『ダージリン急行』に乗って往く、自意識過剰で傲慢不遜で神仏混淆な「心の旅」。…家族の再生、喪の仕事。



RSS1.0