2008/5/6 22:43
ザ プレイヤー 映画
Robert Altman, The Player (1992)
類型的なハリウッド映画と、それらを生み出す映画会社のお偉いさん達を皮肉った映画だ。
権力闘争、上辺だけの社交、脚本家との確執といった内輪ネタが多いが、それらだけでは、単なる自己言及的な詰まらない作品となってしまっただろう。そこに殺人事件のサスペンスを加えることによって、作品に広がりが生まれている。
主人公の映画会社役員グリフィン ミルを演じるティム ロビンスが素晴らしい。ためらいや気持ちの揺らぎを実に巧く表現している。
作中でハッピー エンディングを批判している本作の終わり方は、ひねったハッピー エンディングとでも言うべきもの。観る者が微苦笑を浮かべてしまうような作品だ。
★★★★・
(WOWOWで録画)
類型的なハリウッド映画と、それらを生み出す映画会社のお偉いさん達を皮肉った映画だ。
権力闘争、上辺だけの社交、脚本家との確執といった内輪ネタが多いが、それらだけでは、単なる自己言及的な詰まらない作品となってしまっただろう。そこに殺人事件のサスペンスを加えることによって、作品に広がりが生まれている。
主人公の映画会社役員グリフィン ミルを演じるティム ロビンスが素晴らしい。ためらいや気持ちの揺らぎを実に巧く表現している。
作中でハッピー エンディングを批判している本作の終わり方は、ひねったハッピー エンディングとでも言うべきもの。観る者が微苦笑を浮かべてしまうような作品だ。
★★★★・
(WOWOWで録画)
2008/5/4 14:00
モディリアーニ展 美術
六本木の国立新美術館でモディリアーニ展を観た。
モディリアーニといえば、瞳を描かない虚ろな表情の肖像画が有名だが、それらだけでなく初期の作品も数多く展示されている。アフリカの『プリミティヴ』アートの影響を受け、卵を細長くしたような単純な立体を組み合わせて人物を描いている、一連の作品群が興味深い。後期の作品も、妻のジャンヌを描いた代表作なども展示されており、中々充実した展覧会だった。
★★★★・
モディリアーニといえば、瞳を描かない虚ろな表情の肖像画が有名だが、それらだけでなく初期の作品も数多く展示されている。アフリカの『プリミティヴ』アートの影響を受け、卵を細長くしたような単純な立体を組み合わせて人物を描いている、一連の作品群が興味深い。後期の作品も、妻のジャンヌを描いた代表作なども展示されており、中々充実した展覧会だった。
★★★★・
2008/4/29 23:01
パフューム ある人殺しの物語 映画
Tom Tykwer, Perfume: The Story of a Murderer (2006)
18世紀のフランス。調香師として頭角を現した天才的な嗅覚を持つ青年が、やがて女性の香りにとりつかれ、猟奇的な殺人を重ねてゆく…
原作の小説は世界で1500万部も売れたそうだ。原作を読んでいないので対比はできないが、映画はつまらない。香りにとりつかれた青年の偏執狂振りに、気色悪さを感じながらも、怖いもの見たさ的な気持ちで最後まで観たが、奇想天外な終わり方の馬鹿ばかしさに白けてしまった。
★★・・・
(WOWOWで録画)
18世紀のフランス。調香師として頭角を現した天才的な嗅覚を持つ青年が、やがて女性の香りにとりつかれ、猟奇的な殺人を重ねてゆく…
原作の小説は世界で1500万部も売れたそうだ。原作を読んでいないので対比はできないが、映画はつまらない。香りにとりつかれた青年の偏執狂振りに、気色悪さを感じながらも、怖いもの見たさ的な気持ちで最後まで観たが、奇想天外な終わり方の馬鹿ばかしさに白けてしまった。
★★・・・
(WOWOWで録画)
2008/4/27 14:30
六本木ヒルズ 分類なし
開業5周年を記念して六本木ヒルズで開かれている大道芸を見に行った。
大道芸とはちょっと異なるが、一番面白かったのは『グッティー』という唇のオブジェ。僕が前に立ったら「ピンクの服のお兄さん」と呼びかけてきたのには驚いた。人間が遠隔監視しているのだと思うが、からくりが解らなかった。

『ストレンジ フルーツ』のパフォーマンスは、5メートルの棒の上で男女4人がゆらゆらと揺れるという、一風変わったもの。視覚的には面白いが、かなり危険な感じがする。棒が劣化していないかどうか頻繁に確認しているのだろうが、万一棒が折れたら演者は間違いなく重傷を負ってしまうだろう。

新たにできた屋上の「スカイデッキ」に登ってみた。さすがに視界が開けているが、曇りがちで視界が悪かったのが残念。
僕は現代美術が苦手だが、英国のターナー賞の受賞作品の展覧会を覗いてみた。ターナーと現代美術とは不思議な組み合わせだが、予想通り楽しめなかった。デミアン ハーストの『母と子、分断されて』という作品に驚く。牛の母と仔を躰の中心から真っ二つに切ってホルマリン漬けにしたものだ。「生の有り様を視覚化した」作品だそうだが、単に悪趣味としか思えない。★・・・・
大道芸とはちょっと異なるが、一番面白かったのは『グッティー』という唇のオブジェ。僕が前に立ったら「ピンクの服のお兄さん」と呼びかけてきたのには驚いた。人間が遠隔監視しているのだと思うが、からくりが解らなかった。
『ストレンジ フルーツ』のパフォーマンスは、5メートルの棒の上で男女4人がゆらゆらと揺れるという、一風変わったもの。視覚的には面白いが、かなり危険な感じがする。棒が劣化していないかどうか頻繁に確認しているのだろうが、万一棒が折れたら演者は間違いなく重傷を負ってしまうだろう。
新たにできた屋上の「スカイデッキ」に登ってみた。さすがに視界が開けているが、曇りがちで視界が悪かったのが残念。
僕は現代美術が苦手だが、英国のターナー賞の受賞作品の展覧会を覗いてみた。ターナーと現代美術とは不思議な組み合わせだが、予想通り楽しめなかった。デミアン ハーストの『母と子、分断されて』という作品に驚く。牛の母と仔を躰の中心から真っ二つに切ってホルマリン漬けにしたものだ。「生の有り様を視覚化した」作品だそうだが、単に悪趣味としか思えない。★・・・・
2008/4/26 16:39
不都合な真実 映画
Davis Guggenheim, An Inconvenient Truth (2006)
元米国副大統領アル ゴアが地球温暖化の問題に取り組む様を描いた作品。
ゴアの講演をそのまま映した部分が多いが、この講演に圧倒的な説得力が有る。膨大なデータを解りやすく視覚化するとともに、氷が少なくなった南極や干上がったアフリカの湖など、温暖化の被害を受けた地域の豊富な写真を交えて、情熱的かつ理路整然と語る様が見事だ。内容と技巧の両方が極めて高い水準にあるプレゼンテーションだ。
ゴアが大学生の頃から地球温暖化の問題に関わってきたというのも驚き。自分の立場が米国の多数派となるには至っていない中、一人でも多くの人に理解してもらおうと全国を講演行脚する情熱に感じ入る。
歴史に「もし」は禁句と知りながらも、思ってしまう。「もし、(僅差で敗れた)2000年の大統領選でゴアが勝っていれば、米国と世界はもっと良い方向に行っていたのに…」
★★★★★
(WOWOWで録画)
元米国副大統領アル ゴアが地球温暖化の問題に取り組む様を描いた作品。
ゴアの講演をそのまま映した部分が多いが、この講演に圧倒的な説得力が有る。膨大なデータを解りやすく視覚化するとともに、氷が少なくなった南極や干上がったアフリカの湖など、温暖化の被害を受けた地域の豊富な写真を交えて、情熱的かつ理路整然と語る様が見事だ。内容と技巧の両方が極めて高い水準にあるプレゼンテーションだ。
ゴアが大学生の頃から地球温暖化の問題に関わってきたというのも驚き。自分の立場が米国の多数派となるには至っていない中、一人でも多くの人に理解してもらおうと全国を講演行脚する情熱に感じ入る。
歴史に「もし」は禁句と知りながらも、思ってしまう。「もし、(僅差で敗れた)2000年の大統領選でゴアが勝っていれば、米国と世界はもっと良い方向に行っていたのに…」
★★★★★
(WOWOWで録画)
2008/4/19 13:20
かつて、ノルマンディーで 映画
Nicolas Philibert, Retour en Normandie (2007)
監督のニコラ フィリベールが、かつて助監督として関わった映画の出演者をノルマンディーに訪ねるドキュメンタリー。出演者の大部分は素人の農民で、映画への出演はこの一回切りだ。
出演者達がその後の人生を語る様子が、淡々と映し出される。動脈瘤が破裂して言語障害を煩った女性、仲違いしてしまった夫婦など、平凡な人々にも様々なドラマがあることが感動を誘うのだろうが、僕には単に退屈に感じられてしまった。
★ ・・・・
(渋谷シネマ アンジェリカ)
監督のニコラ フィリベールが、かつて助監督として関わった映画の出演者をノルマンディーに訪ねるドキュメンタリー。出演者の大部分は素人の農民で、映画への出演はこの一回切りだ。
出演者達がその後の人生を語る様子が、淡々と映し出される。動脈瘤が破裂して言語障害を煩った女性、仲違いしてしまった夫婦など、平凡な人々にも様々なドラマがあることが感動を誘うのだろうが、僕には単に退屈に感じられてしまった。
★ ・・・・
(渋谷シネマ アンジェリカ)
2008/4/19 12:30
夢吟坊 渋谷マークシティ 料理
午後から映画を観る前に三宿のうどん屋、夢吟坊の渋谷支店を数年ぶりに訪れた。本店の時と同じように鰊うどんを頼む。
前回も感じたことだが、本店に比べると若干味が劣るような気がする。うどんの茹で方は、悪くはないが特に良くもない。出汁も、具体的に指摘するのは難しいが、本店の水準には達していない。
★★★・・
前回も感じたことだが、本店に比べると若干味が劣るような気がする。うどんの茹で方は、悪くはないが特に良くもない。出汁も、具体的に指摘するのは難しいが、本店の水準には達していない。
★★★・・
2008/4/13 18:06
氷の微笑み 映画
Paul Verhoeven, Basic Instinct (1992)
過激な性行描写に眉をひそめる人もいると思うが、それを楽しめる人にとっては極上のエロティック スリラーだ。
美貌と怜悧な頭脳を持つスリラー作家キャサリン タメル(シャロン ストーン)と、サンフランシスコ市警のニック カレン(マイクル ダグラス)を中心に物語は進む。SMプレイで両手を縛られた男がアイスピックで刺し殺される、という殺人事件が起こる。その方法はキャサリンの著書に書かれているのと全く同じだった。ニック達の尋問を受けたキャサリンは全く動揺せず、証拠も無い。同僚達がキャサリンは無罪だと思う中、ニックは一人でキャサリンの調査を続行するが、魅力に抗えず遂にキャサリンと関係を持ってしまう…
本作は、その魅力の多くをシャロン ストーンに負う。整った顔立ちと卑猥な台詞とのキャップ。緻密な計算と、そして『女』を利用してニックを手玉に取る様。強烈な印象を残す人物造形だ。
映像も随所で工夫が凝らされている。女が男をアイスピックで刺す冒頭部。尋問を受けているキャサリンが、スカートの奥が見えるように足を組み替える場面。若干あざとい感じがしない訳でもないが、最初から最後まで目が離せない。
★★★★★
(WOWOWで録画)
過激な性行描写に眉をひそめる人もいると思うが、それを楽しめる人にとっては極上のエロティック スリラーだ。
美貌と怜悧な頭脳を持つスリラー作家キャサリン タメル(シャロン ストーン)と、サンフランシスコ市警のニック カレン(マイクル ダグラス)を中心に物語は進む。SMプレイで両手を縛られた男がアイスピックで刺し殺される、という殺人事件が起こる。その方法はキャサリンの著書に書かれているのと全く同じだった。ニック達の尋問を受けたキャサリンは全く動揺せず、証拠も無い。同僚達がキャサリンは無罪だと思う中、ニックは一人でキャサリンの調査を続行するが、魅力に抗えず遂にキャサリンと関係を持ってしまう…
本作は、その魅力の多くをシャロン ストーンに負う。整った顔立ちと卑猥な台詞とのキャップ。緻密な計算と、そして『女』を利用してニックを手玉に取る様。強烈な印象を残す人物造形だ。
映像も随所で工夫が凝らされている。女が男をアイスピックで刺す冒頭部。尋問を受けているキャサリンが、スカートの奥が見えるように足を組み替える場面。若干あざとい感じがしない訳でもないが、最初から最後まで目が離せない。
★★★★★
(WOWOWで録画)
2008/4/6 19:30
房総半島のドライブ 分類なし
良く晴れた日曜日、房総半島に久し振りにドライブに出かけた。
東京湾アクアラインを通り、『海ほたる』で休憩。東京湾の広大な景色に気持ちが和む。巨費を掛けたという東京湾アクアラインの建設に経済合理性が有るか否かわからないし、片道3,000円は高いと思うが、一観光客として『海ほたる』は楽しめる。
★★★★・
『房総スカイライン』は飛ばせる区間が短く、期待したほど面白くなかった。
★★★・・
国道465号線の大原町近くで、偶然、線路沿いに桜並木と菜の花が一面に咲いている場所を発見。桜の薄いピンクと菜の花の黄色の組み合わせに見とれてしまう。近くに古い民家と田んぼが残っているのも、風情がある。
★★★★★


有料道路の九十九里道路は、海沿いにあるにも関わらず、防砂林に遮られ海が余り見えずに残念。地元の人にとっては砂嵐を防ぐ防砂林は大切はものなので、僕の感想は一観光客の我が儘なのだが...
★★・・・
東京湾アクアラインを通り、『海ほたる』で休憩。東京湾の広大な景色に気持ちが和む。巨費を掛けたという東京湾アクアラインの建設に経済合理性が有るか否かわからないし、片道3,000円は高いと思うが、一観光客として『海ほたる』は楽しめる。
★★★★・
『房総スカイライン』は飛ばせる区間が短く、期待したほど面白くなかった。
★★★・・
国道465号線の大原町近くで、偶然、線路沿いに桜並木と菜の花が一面に咲いている場所を発見。桜の薄いピンクと菜の花の黄色の組み合わせに見とれてしまう。近くに古い民家と田んぼが残っているのも、風情がある。
★★★★★
有料道路の九十九里道路は、海沿いにあるにも関わらず、防砂林に遮られ海が余り見えずに残念。地元の人にとっては砂嵐を防ぐ防砂林は大切はものなので、僕の感想は一観光客の我が儘なのだが...
★★・・・
2008/3/22 19:00
レ・クレアシヨン・ド・ナリサワ 料理
午後は妻のオルガンの発表会を聞きに行き、夜はレ・クレアシヨン・ド・ナリサワで結婚記念日を数日早く祝った。
青山の一等地に構える店は、ガラスを多用した現代的な外観。内装は焦げ茶の木と白い漆喰を基調とし、磨りガラスを配した、これまた禁欲的で現代的な感じ。内外装を見ただけでは「デザイナー レストラン」という感じもするが、料理は実に真っ当だ。
アラカルトも選べるが、コースの完成度が高そうだったので、コース(一人21,000円)を選択した。3月のコースは『芽吹き雪解け』と題されている。コースの各皿に合わせて異なるグラス ワインを供するサービスが有ったので、ちょっと値段が張る(15,750円)が頼んでみた。
『フランス・ランド地方のホワイトアスパラのグラティネ』の白アスパラガスは、堅すぎず柔らかすぎず、程良い歯応え。卵黄とバターを使ったと思われるソースは、軽く泡立ててあり、アスパラガスとの絶妙の相性を見せる。
『春キャベツ・リードポーク、タマネギのエッセンス・花びら』は、豚の胸腺のネットリとした味わいが印象的。
『天然トラフグの白子、翡翠仕立て』は、トラフグの白子を茶碗蒸しの様に仕立ててある。その上に被さっている緑色(翡翠)の層は、エンドウで作ったもの。味も見た目も爽やかだ。
『甘ダイ・活ラングスティーヌ、フキノトウ・蕎麦の実』は、甘ダイのポワレの仕方も良いが、オリーブや魚の出汁を使ったと思われるスープも上品な味わい。フキノトウの苦みがいいアクセントとなっている。
『フランス・ヴェルゴー家のシャラン鴨』は、かなりレアな焼き加減だ。火の通し方がこれ以上浅いと生臭くなってしまいかねないギリギリの焼き加減で、肉の旨みを引き出している。これを塩またはバルサミコ系のソースにつけて食べる。単に焼いただけとも言える料理だが、素材の質の高さと的確な火入れで勝負している。
コースにフロマージュが組み込まれている(オプションではなく)のは珍しい。ブリーとソーテルヌの組み合わせに陶然とする。
デセールの『イチゴ・スミレ』は、中央のゼリーの内側に食用スミレが閉じこめられているという可愛らしい演出だ。その周りには、単に半身に切っただけの苺がいくつかおいてある。と思いきや、実は下半分は苺のムースであった。エスプリが効いている。
全般的に『芽吹き雪解け』という題にふさわしく、旬の野菜を上手に使って季節感を出している。素材の組み合わせ方やプレゼンテーションが巧いが、奇を衒わずに正攻法の料理をしているのに感銘を受ける。
サービスの素晴らしさも特筆ものだ。予約の際の対応も的確で、苦手な素材や、何かの記念日かどうか確認する。結婚記念日だったので、ロウソクを立てたガトーをおまけで付けてくれた。主に対応してくれた給仕も、人柄の良さが自然に滲み出てきており、好感を抱く。お手洗いに立つ際の誘導や、同伴者と皿を交換する際の対応も文句なし。
二人で68,000円と、頻繁に通えない値段だが、何かの記念日の折には是非再訪したい。満足。
★★★★★
青山の一等地に構える店は、ガラスを多用した現代的な外観。内装は焦げ茶の木と白い漆喰を基調とし、磨りガラスを配した、これまた禁欲的で現代的な感じ。内外装を見ただけでは「デザイナー レストラン」という感じもするが、料理は実に真っ当だ。
アラカルトも選べるが、コースの完成度が高そうだったので、コース(一人21,000円)を選択した。3月のコースは『芽吹き雪解け』と題されている。コースの各皿に合わせて異なるグラス ワインを供するサービスが有ったので、ちょっと値段が張る(15,750円)が頼んでみた。
『フランス・ランド地方のホワイトアスパラのグラティネ』の白アスパラガスは、堅すぎず柔らかすぎず、程良い歯応え。卵黄とバターを使ったと思われるソースは、軽く泡立ててあり、アスパラガスとの絶妙の相性を見せる。
『春キャベツ・リードポーク、タマネギのエッセンス・花びら』は、豚の胸腺のネットリとした味わいが印象的。
『天然トラフグの白子、翡翠仕立て』は、トラフグの白子を茶碗蒸しの様に仕立ててある。その上に被さっている緑色(翡翠)の層は、エンドウで作ったもの。味も見た目も爽やかだ。
『甘ダイ・活ラングスティーヌ、フキノトウ・蕎麦の実』は、甘ダイのポワレの仕方も良いが、オリーブや魚の出汁を使ったと思われるスープも上品な味わい。フキノトウの苦みがいいアクセントとなっている。
『フランス・ヴェルゴー家のシャラン鴨』は、かなりレアな焼き加減だ。火の通し方がこれ以上浅いと生臭くなってしまいかねないギリギリの焼き加減で、肉の旨みを引き出している。これを塩またはバルサミコ系のソースにつけて食べる。単に焼いただけとも言える料理だが、素材の質の高さと的確な火入れで勝負している。
コースにフロマージュが組み込まれている(オプションではなく)のは珍しい。ブリーとソーテルヌの組み合わせに陶然とする。
デセールの『イチゴ・スミレ』は、中央のゼリーの内側に食用スミレが閉じこめられているという可愛らしい演出だ。その周りには、単に半身に切っただけの苺がいくつかおいてある。と思いきや、実は下半分は苺のムースであった。エスプリが効いている。
全般的に『芽吹き雪解け』という題にふさわしく、旬の野菜を上手に使って季節感を出している。素材の組み合わせ方やプレゼンテーションが巧いが、奇を衒わずに正攻法の料理をしているのに感銘を受ける。
サービスの素晴らしさも特筆ものだ。予約の際の対応も的確で、苦手な素材や、何かの記念日かどうか確認する。結婚記念日だったので、ロウソクを立てたガトーをおまけで付けてくれた。主に対応してくれた給仕も、人柄の良さが自然に滲み出てきており、好感を抱く。お手洗いに立つ際の誘導や、同伴者と皿を交換する際の対応も文句なし。
二人で68,000円と、頻繁に通えない値段だが、何かの記念日の折には是非再訪したい。満足。
★★★★★
