2008/7/19 1:28
一方その頃カナダでは 〜哀・ベジタリアン グルメ・クッキング
最近、あまり楽しくない話題(就活)ばかりなのでちょっと気分を変えまして。
最近ではFacebook(フェイスブック=英語版のMixiみたいなもの)の恩恵で、今までカナダやその他の国で知り合った人々の足取りを追うことが簡単になっています。Mixiと一緒で友人からアップデートがあるとこっちの画面に一覧表示されるので、変化があったら一目瞭然なのです。
で、今日お届けするのはカナダの誇るベジタリアン(仮)、元同僚で友人のステファニーからの旅行記です。
* * *
ステファニーとスコットは環境保全と野生動物保護に敏感なベジタリアンカップル。わたしのカナダ時代の日記にも頻繁に登場します。ふたりの性格を説明するのに有効なネタ・・・もとい逸話は他数ありますが、今日はこれでいってみましょう。
個人的には幸せな生活を送っているふたりですが、日に日に暑くなってゆく地球の現在と未来のことを考えるとなかなか気が休まりません。買い物用の袋、いわゆるエコバッグなんかはもう何年も前から使用しており、ふたりが買い物でビニール袋をもらってくることはまずありません。しかしふたりの家ではビニール袋が増えて行きます。なぜかというと、もてなし好きの二人がわれわれ友人たちをパーティーに呼ぶと、必ず何人かはお土産の食べ物や飲み物をビニール袋に入れて持ってくるからで。
もちろんふたりが「自分の袋は持って帰ってくれ」などと言うわけがありません。どこに持って行こうがそのビニール袋が地球上に存在するという事実は変わりませんし、処分の仕方によっては大変なことになります。路上に捨てたりすると野生動物が食べたり捕まったりして死んでしまうかもしれませんし、火にくべられたら有毒ガスが発生、最悪の場合そのへんの地面に数十年に渡ってうずめられ、植物などの生長を阻害しつつその成分がじわじわと地下水に染み込んでいくことになるかもしれません。というわけで持ち込まれたビニール袋はふたりが「引き受ける」ことになるわけです。
しかしながら、さすがのカナダでもリサイクル回収に出せないビニール袋。ふたりの取る行動は「再利用できなくなるまで使う」というものに限られます。何かをくるんで運ぶのに使って、破れたら捨てる。食べ物を運ぶのに使って、汁が中に出てしまったから捨てる。おいちょっと待てよ。そう言ったのはスコットでした。
「食べ物の汁が付いたからって捨てなくてもいいじゃないか。洗って乾かせばまた使えるよ」
ステファニーの反応が「まあ素敵! さすがスコットね。さっそくやってみましょう」だったのは言うまでもありません。というわけでその後数日間、わたしたちの旧職場にお弁当を再利用ビニール袋に入れて持ってくるステファニーの姿が見られたのですが・・・
「ああ、もうダメ、耐えられない! どんなに洗ってもビニール袋は臭いのよ!!」
きっと、せっかく毎日ふたりで心をこめて作るベジタリアン弁当の風味がぶちこわしになるのに耐えられなかったのでしょう。あと、そんなものをカバンに入れて持ち歩くのも。というわけで、残念ながらビニール袋洗って再利用作戦はボツになってしまいました。もちろん筆者が「いいチャレンジだったじゃないか」ととてもわかりやすい気休めを言っておいたのは言うまでもありません。
さて、そんなステファニーが先月、ひとりでアメリカに住んでいる親族のところに遊びに行くことになりました。スコットは仕事の関係で遅れて合流する予定だったそうです。一人旅自体は平気なステファニーでしたが、問題はその親族です。ステファニー同様フィリピン系、しかもアメリカの田舎在住・・・肉食民族in肉食大国というわけで、ベジタリアンである彼女は到着する前から少し不安だったのです。飛行機はほどなくアメリカに入り、彼女はニュージャージーにて親族一家と再会を果たしたのですが。
「すみません、ベジタリアン料理はありますか?」
「親族再会パーティー」と題された宴の始まる前、皆さんにそう尋ねたステファニーでした。きっと「NO」という答えが返ってくるのだろう、と思っていた彼女でしたが、答えは返ってきませんでした。代わりに彼女を待っていたのは少しの沈黙と、突き刺さってくる視線と、親族の皆さんの困惑した表情でした。それは「ベジタリアンってどんな食材だったっけ」というようにも見えれば、「この娘は長旅でちょっと疲れているのかもしれないな、英語でもタガログ語でもない言葉を話し始めたぞ」というふうにも見えました。一同が、このカナダ在住の親族が「ベジタリアン」という名の少数民族に属していることを知ったのはこれが初めてだったのでしょう。
結局ステファニーは自分で自分用のベジタリアン料理を作ることにしたそうです。スコットが一緒にいてくれれば、あの稀少動物を見るような視線も、料理作りも、食べるのも全部ふたりで分かち合うことができたのに。彼女がそう思ったのは想像に難くありません。
さて無事に肉食人種たちの宴を切り抜け、スコットと合流し、のんびりした休暇をアメリカの片田舎で過ごすことになったステファニーでしたが、まだまだ受難は続きます。ある日入った食堂でのこと。カウンターでスープを買おうとしたふたりは店員にこう尋ねました。
「すみません、このスープ、ベジタリアン向けですか?」
アメリカ人の店員が愛想良く答えます。
「ええ、野菜ならいっぱい入ってますよ。ほら、見えるでしょ」
笑顔で見せてくれた鍋の中には、確かに野菜がたくさん浮かんでいるようでした。でも、その合間合間になにか肉の塊としか見えない物体も浮かんでいます。ふたりは別な店に行くことにしました。そして同じ状況で、同じ質問をしてみました。
「このスープ、ベジタリアンですか?」
やはりアメリカ人の店員が、今度は少し困ったような顔で答えます。
「ええと・・・野菜ならこの通り、沢山入っていますが」
さすがにイライラしてきたのでしょう、ステファニーはもう一歩踏み込みます。
「いや、だから、そのスープの材料に動物の肉が使われてるかどうか聞いてるのよ」
困り顔のアメリカ人店員氏、ふたを開け、スープをかきまぜつつ鍋の中をじっくり眺めました。
「ええ、大丈夫です、肉は全然見当たりませんから」
ステファニーの脳裏には数年前に行ったフィリピンでの思い出が蘇っていたでしょう。「肉の入っていない料理」を注文したら、店員が肉野菜炒めのような料理から肉だけ取り除いて持ってきた思い出を。スコットの脳裏には、彼が「今日からベジタリアンになる、もう肉は食べない」と家族に宣言した時、「じゃあ今晩は魚にしようか」と言ったお母さんのことが思い出されていたかもしれません。そういうことじゃないんですよ。ああ、かくも悲しきベジタリアン。
その日ふたりがどうしたのかは聞いていませんが、カナダに戻ったステファニーからは速攻でメールがきました。そこに以上の顛末が書かれていたのですが、この一行が光っていました。
「やっぱり地元はいいわ、言葉が通じるもの」
わたしが、自分はベジタリアンじゃなくて良かったと思ったのは言うまでもありません。
最近ではFacebook(フェイスブック=英語版のMixiみたいなもの)の恩恵で、今までカナダやその他の国で知り合った人々の足取りを追うことが簡単になっています。Mixiと一緒で友人からアップデートがあるとこっちの画面に一覧表示されるので、変化があったら一目瞭然なのです。
で、今日お届けするのはカナダの誇るベジタリアン(仮)、元同僚で友人のステファニーからの旅行記です。
* * *
ステファニーとスコットは環境保全と野生動物保護に敏感なベジタリアンカップル。わたしのカナダ時代の日記にも頻繁に登場します。ふたりの性格を説明するのに有効なネタ・・・もとい逸話は他数ありますが、今日はこれでいってみましょう。
個人的には幸せな生活を送っているふたりですが、日に日に暑くなってゆく地球の現在と未来のことを考えるとなかなか気が休まりません。買い物用の袋、いわゆるエコバッグなんかはもう何年も前から使用しており、ふたりが買い物でビニール袋をもらってくることはまずありません。しかしふたりの家ではビニール袋が増えて行きます。なぜかというと、もてなし好きの二人がわれわれ友人たちをパーティーに呼ぶと、必ず何人かはお土産の食べ物や飲み物をビニール袋に入れて持ってくるからで。
もちろんふたりが「自分の袋は持って帰ってくれ」などと言うわけがありません。どこに持って行こうがそのビニール袋が地球上に存在するという事実は変わりませんし、処分の仕方によっては大変なことになります。路上に捨てたりすると野生動物が食べたり捕まったりして死んでしまうかもしれませんし、火にくべられたら有毒ガスが発生、最悪の場合そのへんの地面に数十年に渡ってうずめられ、植物などの生長を阻害しつつその成分がじわじわと地下水に染み込んでいくことになるかもしれません。というわけで持ち込まれたビニール袋はふたりが「引き受ける」ことになるわけです。
しかしながら、さすがのカナダでもリサイクル回収に出せないビニール袋。ふたりの取る行動は「再利用できなくなるまで使う」というものに限られます。何かをくるんで運ぶのに使って、破れたら捨てる。食べ物を運ぶのに使って、汁が中に出てしまったから捨てる。おいちょっと待てよ。そう言ったのはスコットでした。
「食べ物の汁が付いたからって捨てなくてもいいじゃないか。洗って乾かせばまた使えるよ」
ステファニーの反応が「まあ素敵! さすがスコットね。さっそくやってみましょう」だったのは言うまでもありません。というわけでその後数日間、わたしたちの旧職場にお弁当を再利用ビニール袋に入れて持ってくるステファニーの姿が見られたのですが・・・
「ああ、もうダメ、耐えられない! どんなに洗ってもビニール袋は臭いのよ!!」
きっと、せっかく毎日ふたりで心をこめて作るベジタリアン弁当の風味がぶちこわしになるのに耐えられなかったのでしょう。あと、そんなものをカバンに入れて持ち歩くのも。というわけで、残念ながらビニール袋洗って再利用作戦はボツになってしまいました。もちろん筆者が「いいチャレンジだったじゃないか」ととてもわかりやすい気休めを言っておいたのは言うまでもありません。
さて、そんなステファニーが先月、ひとりでアメリカに住んでいる親族のところに遊びに行くことになりました。スコットは仕事の関係で遅れて合流する予定だったそうです。一人旅自体は平気なステファニーでしたが、問題はその親族です。ステファニー同様フィリピン系、しかもアメリカの田舎在住・・・肉食民族in肉食大国というわけで、ベジタリアンである彼女は到着する前から少し不安だったのです。飛行機はほどなくアメリカに入り、彼女はニュージャージーにて親族一家と再会を果たしたのですが。
「すみません、ベジタリアン料理はありますか?」
「親族再会パーティー」と題された宴の始まる前、皆さんにそう尋ねたステファニーでした。きっと「NO」という答えが返ってくるのだろう、と思っていた彼女でしたが、答えは返ってきませんでした。代わりに彼女を待っていたのは少しの沈黙と、突き刺さってくる視線と、親族の皆さんの困惑した表情でした。それは「ベジタリアンってどんな食材だったっけ」というようにも見えれば、「この娘は長旅でちょっと疲れているのかもしれないな、英語でもタガログ語でもない言葉を話し始めたぞ」というふうにも見えました。一同が、このカナダ在住の親族が「ベジタリアン」という名の少数民族に属していることを知ったのはこれが初めてだったのでしょう。
結局ステファニーは自分で自分用のベジタリアン料理を作ることにしたそうです。スコットが一緒にいてくれれば、あの稀少動物を見るような視線も、料理作りも、食べるのも全部ふたりで分かち合うことができたのに。彼女がそう思ったのは想像に難くありません。
さて無事に肉食人種たちの宴を切り抜け、スコットと合流し、のんびりした休暇をアメリカの片田舎で過ごすことになったステファニーでしたが、まだまだ受難は続きます。ある日入った食堂でのこと。カウンターでスープを買おうとしたふたりは店員にこう尋ねました。
「すみません、このスープ、ベジタリアン向けですか?」
アメリカ人の店員が愛想良く答えます。
「ええ、野菜ならいっぱい入ってますよ。ほら、見えるでしょ」
笑顔で見せてくれた鍋の中には、確かに野菜がたくさん浮かんでいるようでした。でも、その合間合間になにか肉の塊としか見えない物体も浮かんでいます。ふたりは別な店に行くことにしました。そして同じ状況で、同じ質問をしてみました。
「このスープ、ベジタリアンですか?」
やはりアメリカ人の店員が、今度は少し困ったような顔で答えます。
「ええと・・・野菜ならこの通り、沢山入っていますが」
さすがにイライラしてきたのでしょう、ステファニーはもう一歩踏み込みます。
「いや、だから、そのスープの材料に動物の肉が使われてるかどうか聞いてるのよ」
困り顔のアメリカ人店員氏、ふたを開け、スープをかきまぜつつ鍋の中をじっくり眺めました。
「ええ、大丈夫です、肉は全然見当たりませんから」
ステファニーの脳裏には数年前に行ったフィリピンでの思い出が蘇っていたでしょう。「肉の入っていない料理」を注文したら、店員が肉野菜炒めのような料理から肉だけ取り除いて持ってきた思い出を。スコットの脳裏には、彼が「今日からベジタリアンになる、もう肉は食べない」と家族に宣言した時、「じゃあ今晩は魚にしようか」と言ったお母さんのことが思い出されていたかもしれません。そういうことじゃないんですよ。ああ、かくも悲しきベジタリアン。
その日ふたりがどうしたのかは聞いていませんが、カナダに戻ったステファニーからは速攻でメールがきました。そこに以上の顛末が書かれていたのですが、この一行が光っていました。
「やっぱり地元はいいわ、言葉が通じるもの」
わたしが、自分はベジタリアンじゃなくて良かったと思ったのは言うまでもありません。
2008/7/20 11:31
投稿者:管理人K
2008/7/20 8:09
投稿者:Cecile
Kさん、まいどぉ〜。ステファニーにぜひインドへ行ってみれば?とすすめておいてください。言葉は通じなくともスコットとともに思い切りベジタリアンを満喫できることでしょう。
それにしても在バンクーバーのベジタリアン・インディアン、体格いいですよね。
それにしても在バンクーバーのベジタリアン・インディアン、体格いいですよね。

むむっ、インド料理はベジタリアン向けが多いのですね。知りませんで
した。そう言えばベジタリアンでも体格良い人、多いですねえ。ダール
とか、豆料理が多いからかな?