2008/4/19  3:54

4/18(金)後楽園ホールの結果〜4回戦にあるもの(加筆修正)  ボクシング
久しぶりに4回戦オンリーの興行を観に行った。新人王戦、1日で15カード。
俺は4回戦の試合が、実は好きだ。
何でって……世界戦にしかないものもあるかもしれないけれど、4回戦にしかないものもあると思うから。
中には技術的に「これは将来すごい選手になるかもしれない」と思える選手もいる。そんな選手の将来を想像して、楽しい気分になれる。
しかし、それと同時に、4回戦ならではのボクシングの原点、気持ち、ひたむきさ、そういうものが勝負に直結してくるところが「忘れてはいけないもの」を思い起こさせるのだ。

世の中っていうのは、天才が1割、凡人が9割なんだと思っている。そして、俺も9割のうちの凡人に過ぎない。もしそうでなければ、何かで今ごろ頭角を現しているのかもしれないが、残念ながら俺にはそういうものはない。
高校のとき、陸上をやっていた。でも、俺には才能がなかったし、身体にも恵まれていなかった。だから、人よりちょっと足が速いくらいで、終わった。
それでも、あのときの経験は今でも貴重だったりする。なぜか。そのとき俺は、確かにひたむきに取り組んでいたかもしれないから。

技術は大事。センスも大事。
だけど、向き不向きを別にして、一番大事なのは、やっぱり気持ちなんだろうと思う。
人間の世界っていうのは、決して何かに取り組んで結果が出ないだけで終わらない、その先が異なる角度で用意されていたりもする。一生懸命な過去が人間味として表出して相手に伝わったりする。
気持ちをこめて一生懸命。素直にそう思える人間は、巧く生きようという人間よりも、もっと貴重なものを得ることができるのかもしれない。

さらに、今日感じたことがある。
4回戦のボクシングにおいては、応援っていうのはとっても力になるんだろうなあ、と。
俺はプロ野球を観るが、ボクシングの4回戦の応援っていうのは、やっぱり野球の応援とはちょっと質が違うんだよね。
本当に身近な、その人を知っている人たちが応援に来る。それは友達かもしれない。その友達は、四角いリングの中で、生きるか死ぬかの闘いを演じているのだ。
ボクシングの場合には、残念ながら命を落とすことだってある。命を落としてしまう確率は、一見スリリングなように見えるK-1やプロレスよりも高い。急所を確実に狙う競技なのだから。
生死を賭けるからなのか、会場の雰囲気によるものなのか、ただいえるのは、4回戦の応援っていうのは、ボクサー自身を知っているがゆえに、本当にピュアなのだ。
ある選手が限られた人数だけの大声援を受けて戦う。だけれど、その声に、ちょっと目頭が熱くなる。
いちばんつながりの深い人たちの中で行なわれている競技。それが4回戦のボクシングなんだと思う。雲の上に行ったプロの選手が行なっている雰囲気とは、事を異にする。

4回戦。歴史はここから、始まるのだ。

仕事に捕まり、後楽園ホールに到着したのはすでに18時前。この日の試合開始は17時半。
第1試合は残念ながら観戦できず。第2試合の4ラウンドから、今日の観戦は始まった。

第2試合:フライ級4回戦
●柳沢洋平(木更津グリーンベイ)4R46秒 TKO 河合良太(船橋ドラゴン)○

第3試合:フライ級4回戦
○谷本雅彦(ワタナベ)判定3-0【39-38・39-38・39-38】平安名勝吉(厚木平野)●
1R:平安名が足を使いながらサークリング。谷本の入ってくるところをガードかまわず打ち下ろす。
2R:1Rではまったく手を出さなかった谷本だが、右ボディが決まり平安名の腹を赤く腫らす。やがてボディから上へと展開する。
3R:接近戦。頭を下げてボディから上への展開を狙う谷本。平安名の手数が減る。
4R:再び足を使い自分の距離で戦おうとした平安名だったが、時すでに遅し。
勝った谷本は4戦2勝1KO2敗、負けた平安名は5戦1勝1KO4敗。

第4試合:フライ級4回戦
○平野竜司(金子)判定3-0【39-38・39-37・40-37】林隼人(稲毛)●
1R:林の左ジャブのタイミングがよい。
2R:平野が先手を取る場面が増える。ここまでは互角か。
3R:平野は運動神経のいい選手だ。身体も柔らかい。林、頭の振りがほしいところ。
4R:序盤、林が右ストレートで平野の頭を跳ね上げる。しかし後半は平野が一気に追い上げ、試合をものにした。
平野は3戦2勝1分、林は4戦1勝3敗。

第5試合:フライ級4回戦
●塩澤直紀(角海老宝石)判定0-3【37-39・37-39・37-39】大塚メロン貴光(三谷大和スポーツ)○
大塚選手はトランクスもメロン柄ならば、シューズもメロン色。彼はなぜ、「メロン」という名をボクサーネームに課したのか、気になる。
1R:塩澤のステップの切り方にセンスのよさが垣間見れる。
2R:大塚、接近しての小さい右フックがいい。ペースは大塚だ。
3R:手数でペースを掌握した大塚。塩澤は手が出ない。
4R:大塚の上へのパンチが当たる。最後まで気迫で押し切ったのは青の大塚だった。
大塚は6戦3勝2KO2敗1分、塩澤は5戦3勝2KO2敗。

第6試合:フライ級4回戦
○のっぽ長島(青木)判定3-0【39-38・40-37・40-36】蔀貴行(厚木平野)●
赤コーナーの長島選手、本当にのっぽだ。この体つきでよくフライのリミットも越えられるなあ、と。
1R:身長差を生かしてアウトボクシングと思いきや、のっぽは自分から前に出て打ちあう。ステップの切りかたに、この選手のよさが垣間見える。
2Rアタマを振りながら前に出る蔀の接近戦での左フックがよい
3R:この回から長島が距離を取りはじめる。リーチを生かして入り際のに当てる長島。
4R確実にパンチを当てたのは長島。一発大きいのがあれば蔀にもチャンスはあったと思うのだが。
長島は6戦4勝2敗。蔀は8戦2勝6敗。

第7試合:フライ級4回戦
●山中康輔(金子)2R1分37秒 TKO 倉永丈雄(T&T)○
1R:倉永の時折ボディに展開するジャブがよい。両者ともに同じ体格、同じタイプか。
2R:いや、同じではなかった。倉永の左ジャブは正確。この左に威力があった。射抜くように正確なジャブで山中を逃がさず、最終的に連打で決着。
倉永は6戦4勝2KO1敗1分、山中は4戦1勝1KO2敗1分。

第8試合:フライ級4回戦
●松本伸宏(金子)判定0-3【38-39・38-39・38-39】吉岡征俊(東京拳闘会)○
1R:中盤から展開の速いいい攻防が観られる。
2R:がむしゃらに前に出る松本。吉岡が下がってしまい、被弾する。ところが終盤、吉岡のパンチで松本がグラつく。
3R:打ち合いでは吉岡のパンチが当たるのだが、吉岡は被弾も多い。最後は松本のラッシュ。
4R:最後までよく打ち合った両者。吉岡は勝つには勝ったが、下がるクセは矯正したい。
吉岡は5戦4勝2KO1敗。松本は3戦1勝2敗。

第9試合:フライ級4回戦
●井上拓朗(ワタナベ)1R2分33秒 KO 星野晃規(M・T)○
1R:赤地に「山猿」と書かれたトランクスで、いきなり突進した井上が連打。しかし星野が冷静にジャブで応戦。そして星野は左アッパーでグラつかせてコーナーに詰めて左右のワン・ツー。堪らずダウンした井上。そのままテンカウントを聞いた。
星野は3戦2勝1KO1分。井上は4戦1勝2敗1分。

第10試合:フライ級4回戦
●川松秀永(ファイティング原田)判定0-3【36-40・36-40・36-40】岡田哲也(イマオカ)○
1R:この岡田という選手、戦績がウソのようなテクニシャンぶりだ。多彩なコンビネーションブローをヒットさせる。
2R:同じく青のペース。
3R:岡田はよく手が出ている。倒すタイプではないが、カウンターの狙いも巧い。終盤いい右カウンターが決まる。
4R:最後まで当てたのは青だろう。
岡田は6戦3勝3敗、敗れた川松、4戦1勝3敗。

というところで、激しく睡魔が襲ってきました。続きはまた、後日書きます!

(以下、4/20日に加筆修正)
さすがに睡魔が限界に達していたため、金曜日の夜は力尽きた。読み返してみて、いくつかおかしなところがあったので修正しました。とくに戦績を誤ってしまった部分があり、大変失礼いたしました。

第11試合:フェザー級4回戦
●松永尚恭(横田スポーツ)4R1分45秒 KO 山田健太郎(全日本パブリック)○
1R:松永が足を使いながらパンチを放つ。右のアッパーを決めにする形のようだ。対する山田は様子見。
2R:松永の左カウンターをもらい山田がダウン。ただし、ダメージはそれほど深刻ではない。松永のカウンターにセンスのよさを感じる。山田の動きが硬い。
3R:山田が右ストレート、右のクロスとよい攻撃をかける。パンチ力はありそうな山田。あとは組み立て次第だが。
4R:3Rから明らかにクロスを狙っていた山田。決まったところを皮切りに連打を仕掛けダウンを奪う。逃げ切りを図った松永だったが逃げ切れず、逆転KOの幕切れとなった。
勝った山田は5戦3勝3KO1敗1分で、勝った試合のKO率は100%。負けた松永は4戦2勝2KO2敗。

第12試合:S.フェザー級4回戦
●柴田智之(横浜さくら)1R1分37秒 TKO 菊地陽平(五代)○
1R:菊地のジャブは速く、キレがある。左ジャブ〜右ストレートで柴田の頭を上げた後、右のワンパンチが見事に決まり戦慄のKO。
勝った菊地は3戦3勝2KO。負けた柴田は2戦1勝1敗。

第13試合:S.フェザー級4回戦
○打馬王那(ワタナベ)4R2分15秒 TKO 小澤高広(レパード玉熊)●
この日の興行で、最も切なかったのはこの試合だった。
赤コーナーの打馬選手は、モンゴル出身。ここまで2戦2勝2KOで、おそらく新人王候補なのだろう。対する小澤選手は7戦1勝1KO6敗。事前に得られる情報からすれば、実力差がありそうな試合。
案の定、打馬選手の強打は後楽園ホールの観衆から「おおっ」という溜め息をもたらした。しかし、それでも小澤選手は倒れない。耐えて耐えて、打たれても打たれても倒れず、少ないながらも最後まで勝利の機会を確実に覗っていた。
1R:パンチのある打馬。ボディも強烈だ。この強打を警戒して、小澤は完全に防御一辺倒となってしまう。ただ、打馬のガードには課題がありそう。
2R:打馬のボディがとにかく重そうだ。パンチが重いからだろう、手を出すよりも耐える試合になってしまっている小澤。
3R:パンチは重いのだが、打馬の攻めは単調すぎる。尤も、小澤が亀のようにガードを張っているので、攻め手もなかなかないのだが。誘う技術がほしい。
4R:ボディが効いたところでレフリーが試合をストップ。
打馬はこれで3戦3勝3KO。新人王の最有力候補といえるだろう。小澤は8戦1勝1KO7敗。

第14試合:S.フェザー級4回戦
●山田拓(金子)判定0-3【36-40・36-40・35-40】阿部隆臣(新日本大宮)○
すでに午後9時を回り、人影もまばらになった後楽園ホール。それでも青コーナーの阿部選手を応援する仲間たちは、リングへ大声援を飛ばしていた。
1R:阿部は思い切りよく右フックで飛び込んでいく。左〜右〜左のコンビネーションもいい。
2R:積極的にパンチを出す阿部。ただ、後半は狙いがやや雑になる。
3R:右のカウンターで阿部が山田からダウンを奪う。それでも果敢に打ち合う山田の姿勢もすがすがしい。
4R:山田も最初からよく前に出て攻めたが、やはり後半は阿部のペースに。お互いに最後までよく打ち合ったいい試合だった。
勝った阿部は6戦4勝1KO1敗1分。負けた山田は5戦2勝2KO1敗2分。

第15試合:S.フェザー級4回戦
●植木淳平(沼田)判定0-3【38-39・38-39・37-40】泉圭依知(18鴻巣)○
いよいよ最後、15試合目。フィナーレを飾ったこの試合に、ボクシングの原点を見たような気がした。
1R:いきなり右のフックで仕掛けていった泉。やる気満々といった様子である。これに植木も応じる。熱のこもったパンチの繰り出し合いは、ほとんどケンカだ。これぞ打ち合いの醍醐味。しかし、どこかの選手のようにカッとなって相手を投げたりはしない。それが制約が前提のスポーツ、ボクシングなのだ。
2R:相変わらずの速い攻防だ。観ていてスリリング。有効打では泉が上回る。
3R:この回に入ってもずっと打ち合っている二人。何だか矢吹丈とカーロス・リベラみたいに試合後に友情でも芽生えそうな雰囲気だ。植木のボディが効いたようで、終盤は泉がやや苦しくなる。
4R:前半、植木が泉の嫌がるボディから上へと展開するが、中盤以降、泉がジャブを確実に当てた。
勝った泉は4戦3勝1KO1敗。敗れた植木は4戦1勝2敗1分。

§勝手に小堀佑介選手の世界挑戦を記念してのコーナー。
題して「あしたのコボリを探せ!」

この日の4回戦興行で光った選手の「コボリ度」を勝手に10点満点で判定。世界にはばたけ、4回戦ボーイたち!

・菊地陽平選手(五代) コボリ度:7.5点
この選手のジャブは速い。パンチ力もあり。新人王戦でどこまでいけるか?

・倉永丈雄選手(T&T) コボリ度:7点
この選手もジャブが非常に正確で、相手を逃がさない。上下への打ち分けも巧い選手だ。

・星野晃規選手(M・T) コボリ度:6点
相手に対し冷静に対処。流れを自分に引き寄せてからの決めは見事だった。

・打馬王那選手(ワタナベ) コボリ度:6点
パンチはこのクラスではずば抜けていそう。テクニシャンと対戦したときのガードに課題か。

東日本新人王戦の決勝は11/2(土)、全日本新人王戦の決勝は12/21(日)。まだまだ始まったばかり。今年も4回戦ボクサーたちの熱い試合に、期待しています。

2008/4/20  1:26

投稿者:ぽんせ
>いそのさん
今日は仙台から携帯で。ありがとうございます。昨日は4回戦の魅力を伝え切れないまま体力の限界が訪れてしまい…今日も出先ですので続きを書けていません。
4回戦の魅力は、やはりその4回戦の試合を観たがままに、感じたままに伝えるのが一番だって思っています。今までに観てきた4回戦の試合を振り返ってまとめてみたらあんな文章になりました。
ボクシングマガジンの特集、ありましたね!加茂さんの書かれた記事でしたね。加茂さんの文章は大好きなのですが、僕はあの記事以上の魅力が4回戦の興行には詰まっているって思っています。
多分続きを書くときには「あしたの小堀選手ランキング」を書く予定です(笑)

2008/4/19  7:31

投稿者:いその0てん
とても感動しました。
4回戦の魅力って伝えるの難しいですが、
この文章を読めば、誰もが4回戦の魅力を感じれると思います。

一度「ボクシングマガジン」でも4回戦の特集やってたのを思い出しました。
人と話すことも器用に出来ない凄い弱気な選手とかいて、
でもそんな人でもプロボクシングの世界にいるっていう事実に、
このスポーツの凄さを感じました。

今日の夜NHKで、連敗ボクサーの特集やるようですよ。

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