2007/5/23  23:55

〔一〕因幡の素兎(古事記42)  古事記6 大国主神の事跡

それでもって、この大国主神(おおくにぬしのかみ)の兄弟は、いっぱいいた。でも、みんなじぶんの国を大国主神(おおくにぬしのかみ)に譲ってしまった。なんでかと言うと、女。みんな因幡に住んでいる八上比売(やがみひめ)と結婚することに夢中になっちゃったのだ。
みんなで口説きに行こうとしたとき、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)〔訳注:大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)と大国主神(おおくにぬしのかみ)はおなじ神様。出世魚の如く、大国主神(おおくにぬしのかみ)へと名前が変わる〕に荷物もちをさせて、パシリとして同行させた。

そんなこんなで気多(けた)の岬についたら、毛がなくなっている兎が倒れていた。これを見て兄貴たちは、その兎に話を聞いて、こう言った。「オマエがしなきゃいけないことは、この海の水を塗りたくって、風にあたって、高い山のてっぺんで横たわることだよ」。そんなわけで、その兎は兄貴たちの忠告を聞いて、山のてっぺんで横になっていた。

そんなことをしたせいで、痛いわ苦しいわで泣いていたら、最後にやってきた大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)がその兎を見て、「なんでオマエは泣いているんだ?」と聞いた。兎は答えた。
「私は淤岐の島(おきのしま)にいたんですが、こっち側の陸地に来たかったんです。しかし、こっち側に来る方法がありませんでした。そんなわけで、海のサメを騙したんです。『あんたと俺を比べて、仲間の多い少ないを数えてみようじゃん。ってわけで、あんたはちょっと自分たちの仲間をみんな連れてきてくれないかな。この島から気多(きた)の前までみんな並ばせてみてよ。そしたら、俺があんたたちの上を踏んで、走りながら数えてみるよ。そうすりゃどっちの仲間が多いか分かるじゃん』って話をしたんです。

そんなふうに言って、騙して並ばせて、わたしは数えながら海を渡って、最後にこっちの陸地に着く直前に、『ごめん、こっち岸に渡りたかったから騙したんだ♪』と言っちゃったんです。
そしたら最後のサメが怒っちゃって。私を捕まえて毛皮をぜんぶ取っちゃったんです。

こんな理由で泣きながら痛いなぁと思ってたら、さっき来た偉い神様たちが、『海水浴びて、風に浸かりながら寝てればいいよ』っておっしゃったんです。
そんなわけで、教えられたとおりにやってみたら、この通り酷い有様ですよ。」

これを聞いて大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)は、その兎に教えた。
「今すぐこの河口に行って、ふつうの水で体を洗いなさい。そしてその河口にある蒲の花(がまのはな)をとって敷き散らして、その上でごろごろ寝転びなさい。そうしたら、その傷ついた体がちゃんと治りますよ」と言った。
そんなわけで、その教えのとおりにしたら、兎の体はもとのとおりに治った。
これが因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)という。

そんなわけでその兎は、大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)に言った。
「あの意地悪な神様たちは、絶対に八上比売(やがみひめ)をものにできないでしょう。袋を背負って安い役目のあなたですが、あなたこそ八上比売(やがみひめ)を手に入れることができるでしょう」と言った。


皆様ご無沙汰ちゃんです。
有名すぎて、手をつけるのに手間取ってた。
まぁいいや。適当で。やっちゃえ、というイキオイで作った。
ついでにフォーマットも一部変更。よりケータイで読みやすいかなーと思って。
因幡国風土記との関連について、いくつかご意見がいただければ僥倖。


国を譲った神様
譲ったあとなにするんだろうね。
つーか女を口説くために仕事捨てるなよな。

八上比売(やがみひめ)
因幡在住。

大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)
大国主神と同一人物。発音は現代風アレンジ。
穴がデカくて遅いってのは、どういう当て字なんだろう。鼻穴デカくてブサイクで、トロくさい神様というイメージだ。荷物もちのパシリのイメージにもピッタリ。
やっぱり醜かったりトロ臭かったりすると、同列には扱ってもらえないのかな。

大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)は地方神としての名前で、この因幡の素兎は、大国主神(おおくにぬしのかみ)への出世話を書いているのだそうだ。
この視点からは、新たに与えられた神なのではなく、ジモティがレベルアップしてオマエラの神になったんだ、という意図が読み取れる。大穴牟遅神(おおあなむぢのかみ)という、いかにもダサくてボーっとしてそうな名前から、オマエラの神は田舎モンだったんだよ、というセンスがうかがえてよろしい。

荷物もち
原典では袋を持たせてとある。
中身はなんだろうね。食い物とか服だろうか。
袋が大黒さんを連想させる。
七福神が出てくるのは江戸期のはずだけれども、大黒さんの信仰ってもっと古かった気がする。
大黒天 wikipedia
とまぁこんな具合で。大黒さんのもとになっているんですな。

こうすりゃ治るよ
呪医としての視点。
ご存知のとおり、古代では医者、祈祷師、王は同一視されていることが多かった

因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)
べつに白くはないんだね。
裸だからシロうさぎ。



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