2007/5/15  16:12

失敗の本質  

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本書は、太平洋戦争直前の満州で勃発したノモンハン事件から沖縄戦まで、日本軍の6つの敗戦を分析した昭和59年の本である。読めば読むほど、二つの意味で驚かされる。まず、大戦中の日本の陸海軍が持っていた組織的問題点が、戦後日本にも構造的に引き継がれていること。そして、昭和59年時点での分析がそれから23年経っても些かも色あせておらず、むしろ現代日本の組織において問題はまったく改善されていないことである。

本書によれば日本軍の最大の失敗の本質は「適応は適応能力を閉め出す」ということ、即ち日本軍は日露戦争の成功体験に基づいて極限まで組織を適応させた結果、太平洋戦争時の新たな環境変化に柔軟な適応ができなかった点にあるという。

限界までの最適化は兵器の開発思想にも反映する。大戦前半の名機と詠われたゼロ戦は、防御能力や操縦しやすさを犠牲にして攻撃性を追求し、熟練パイロットと一体となって最高の性能を出した。一方、ゼロ戦のライバルとなった米機は、量産性、操縦の容易さを追求した。この結果、大戦後半になって熟練パイロットが枯渇してくると、ゼロ戦の性能は十分に発揮できなくなった。

他の兵器も一品生産型で、例えば潜水艦は約200艇生産されたが、1モデル当たり平均5艇という多品種少量の非効率な生産だった。

この逸話は、現代の日本の家電メーカーを彷彿とさせる。独自機能を満載にし、次々にモデルチェンジを繰り返し、しかし海外市場には出られず「ガラパゴス現象」と揶揄されている。また、ソフトウェアでも一品手作りから脱却できず、汎用のモジュールを市場に出す米系メーカーに太刀打ちできない。

さらに、陸海軍の縦割りも甚だしい。長期持久戦を主張する陸軍と積極攻撃による先制攻撃を主張する海軍の妥協の産物として大本営が決定した「戦争指導大綱」には「米の戦意を喪失せしむる為、長期不敗の政戦略体制を整えつつ、機を見て積極的の方策を講ず」と書かれていたため、東条首相は「意味が通らぬ」と言ったという。

このような妥協的作文は、現在の日本政府が発表する各種の「戦略」、「ビジョン」、「プログラム」の類にそのまま引き継がれている。

そして、本書の最後は「日本的企業組織も、新たな環境変化に対応するために、自己革新能力を想像できるかどうかが問われている」と結ばれている。さて、それから23年が経ち、自己革新能力を想像できたのだろうか。



2007/5/15  22:40

投稿者:totonka

旧日本軍の問題として、個別作戦の戦略上の位置づけが不明確であったと指摘されていました。
日本企業の海外進出も作戦の目的を明確化しないと、同じことの繰り返しになる恐れがあります。

5年くらい前にドコモが盛んに海外投資をしましたがすべてマイノリティ参加であったため、ドコモの方式の採用にもならず、結局大きな損を出して撤退しました。

電機メーカーも、ブランドを広めたいのか、生産量を拡大したいのか、標準を取りたいのか等の戦略ポイントを明確化すべきだと思います。それによって、現地合弁のありかた、現地人材の使い方、投入する商品構成、などに影響してくるのだと思います。

2007/5/15  21:48

投稿者:ママイア

以前のコメントで書かせて頂きましたが、私が入社当初配属された部署での北米市場からの撤退は、以前から第二次大戦の日本軍と重なって見えて仕方ありませんでした。
昨年度あたりから急に電機各社は一斉に海外比率を高める!と言い出しました。通信事業者も海外進出を目論んでいます。
20年前とは状況が異なっており、成功のチャンスはやや大きくなっているようにも感じます。
海外ベンダとのアライアンスも徐々に手慣れてきたようですし。
昔は完全に自社開発でしたから…

計画通りとは行かないまでも、着実に海外比率は高まってくるのではないでしょうか。

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