2008/7/3  9:53

不都合な真実 アメリカのベンチャーキャピタル  ニュース

米国でベンチャー企業の新規株式公開(IPO)に急ブレーキがかかっている。4―6月期に新規上場したベンチャーキャピタル(VC)投資先企業数は四半期ベースで約30年ぶりにゼロとなった。

私がシリコンバレーに駐在した2001年の6月は、世紀末のドットコムバブルが崩壊してVC投資が大きく落ち込んだ時期だった(その後、9.11テロでさらに落ち込むのだが)。しかし、しばらくシュンとしていたVC業界と株式市場は3年ほどで元気を回復し、私が帰国した2004年頃には再び威勢良くなっていた。

同時に、シリコンバレーの幇間達もPRを再開し、折しもグーグルの成長に合わせてVC投資を煽り始めた。何しろ、全米のVC投資の1/3はシリコンバレー地域で行われているのだ。

彼らはドットコムに続くハイプ(流行もの)を探し続けた。2003年から2004年頃は「バイオ」だった。2004年6月にサンフランシスコで全米バイオ協会が総会・展示会を行ったのもバイオをネタに資金調達を進めたいVC達との思いが一致した結果だ。

しかし「バイオ」は、少々難しかった。そもそもの技術がハードコアな上に出口が典型的な規制業種であり、いつまでも「バイオ」で誑かすことはできなかったようだ。

2005年頃からは「ナノテク」が投資を集めたが、「ナノテク」は容易に市場化しないことが分かってしまったし、あまりに漠然としていた。そして、最近では「エコ」、「新・省エネ」が投資を集めていたようだ。

はっきり言えば、技術のネタは何でも良いのである。アメリカの新興投資市場というのはラスベガスのようなもので、VCは金で金を生み出すために賭場に参加している博打打ちに過ぎない。博打打ちに金を渡す人がいる限り、ゲームは続く。

軽薄なシリコンバレー信者は、「シリコンバレーでは環境技術の研究が急速に進められている」とか言ってはしゃぐが、実態はアブク銭を集めるための流行言葉として使われているに過ぎない。

博打打ちにフレッシュマネーが供給されているうちは、賭場全体がプラスサムゲームだから、例え負け組が出たところで多くの人がおこぼれに預かり、ゲームは成立する。しかし、フレッシュマネーが止まれば、ゼロサムゲームになるから途端につまらないゲームになる。

そして、どうやらこの5年間の賭場に流れ込んでいたマネーの多くが、サブプライムローンに代表されるように、無理矢理の信用創造によって作り出された危ういものだったことが明らかになってきた。いわば、狸のお札であった。

お札が葉っぱに戻った瞬間に賭場の参加者は蜘蛛の子を散らすようにいなくなる。
IPOという芝居によって葉っぱのお札の魅力を立てようとしても、誰も寄りつかない。

かくして、「ベンチャーキャピタル(VC)投資先企業数は四半期ベースで約30年ぶりにゼロ」が現出したわけだ。

吉原で活躍していた若旦那が金を使い果たした途端に誰も寄りつかなくなったという落語があるが、さて、所詮は金の臭いに人が群がるシリコンバレーに寄り集まっていた太鼓持ち達はこれからどうするのだろうか。



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