2008/6/3  1:03

どうやってオートポイエーシス論を運用しようか? その2  思想
二度読みしたんで、なんとか理解度70%ってところまでイケただろう。
構造的ドリフトとか、共鳴の話はちょっとヤバそうなんで無視する。正しい仮説かどうかの区別もつかないし。
基本的な定義のほうが、話としては大事。

まず、オートポイエーシスのイメージ図。
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オートポイエーシスシステムにとっては、閉ループになるという大前提が重要。
んで、構造って言葉は、構成素のセットとして捉えると分かりやすい。
環境は、オートポイエーシスシステムと構造の外にあるものすべて
実はこの図って、けっこう使いやすいんじゃないかなと思っている。工学の図式みたいに、もしかしたらマトリクスを用いて写像できちゃうかもね。


んで、前回書いたオートポイエーシスの記述の限界についての話。
構成素と構造がすべて分からんと、きちんと記述できないというのが弱点になるかもという考え方だった。
とくに構成素が見づらいようなものを図式化してみた。

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構成素が、次の産出に関係するものではなく、ループの適当なところでキいてくるようなもの。
カッコの左側がプロセスに必要な構成素で、カッコの右側が産出された構成素。
プロセスAで産出された構成素yは、プロセスCでキいてきてる。

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次は、シンプルなオートポイエーシスの状態遷移図。
で、見比べて見ると分かるんだけれども、構成素yが実際にキいてなくても、オートポイエーシスシステムは機能している。プロセスのループは間違っていないんだから。

さて。
構成素yが産出されなくなった場合、前者のシステムは死ぬ。後者のシステムは生き続ける。
はたして構成素yは、このオートポイエーシスシステムにとって本当に構成素であるのかどうか、構造だけを見ては理解できない、ということになる。

だいたい予想がつくと思うんだけれども、オートポイエーシスシステムで記述する場合、構造(構成素の集団ね)がどういうかたちをとっているのか、っていうのはすげー重要なわけ。
んでも構造しか見ることのできない観察者にとっては、オートポイエーシスの内実を予想しがたい。実際に、本当に、こういう構造になっているのか?という記述上の保証は無い。だって構成素を見落とすパターンがあるんだから。

これはプロセスをひとつ加えるだけで、一気に構造の妥当性が分かりづらくなる。

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四つのプロセスしかないループだけれども、どれが構成素なのか急に見えづらくなる。


シンプルに、次のループのためだけに構成素が出てくるというパターンは、化学や生理学やプログラミングにおいて、滅多に出てこない。
実際には、あとからキいてくる構成素を産出して、その構成素(yね)をあとから構成素によって産出してゆく、というパターンのほうが圧倒的に多い。
オートポイエーシスっていう考え方って、本当に実用的なのかなぁ?というのがいまの暫定的な結論。だって構造が決定できないんだもん。近似としては使えるかもしれないけれどね。


逆に、人工知能論においてこういった概念がまったく関係が無いわけではない、という指摘もよく理解できた。
おそらく指摘してくれた方のイメージとは違うだろうけれども。

構成素・構造がなかなか正確に記述できない、という問題は人工知能論にとっても同じ話なわけ。
ってことは、実用的なレベルで、構成素・構造において適当な近似を発見できるような手法が確立されたとしたら、それはそのまま人工知能論でも応用できる可能性もある。
んでもこれって、半世紀〜数世紀かけて考えないとたぶんうまい解決法が見つからないような問題かもしれない。
にしても、まったく関係が無いわけではないという点は、ひとつの収穫として残ったことはありがたいこと

2008/7/5  1:04

投稿者:いぬ
レスが遅れてすみません。

>構成素の定義
お手数おかけして申し訳ないです。

>基礎づけ関係のどこかに参加している産出物が構成素です
ということは、やはりこのエントリー内にある図の中で、マーキングをしてある産出物Yも構成素の定義に当てはまりますね。後の産出プロセスに寄与し、オートポイエーシスシステムの維持に必要なものとなっていますから。

>円環による表現
これも使っていくうちに、色々と問題点が出てきました。おっしゃるとおり、直後の産出プロセスに関わるものではないと表現できない(しづらい)ようです。
とくに、構造的カップリングを記述しようとするとき、どうしてもムリが出てきてしまうんですよね。

複数の円環を用いて、もうちょっと拡張できるかもしれません。以後のエントリーで必要になるため、試しに作ってみようと思っています。

ついでに、グラフ理論における記述方法も図解に役立つかどうか検討中です。
これも閉ネットワークを記述できる上、結節点が複数であるために利用しやすいと思うんですよね。多次元構造を念頭に発展したわけではないため、やはり限界があるとは思いますが、限界を知ることで限定的な応用が効くかもしれません。

2008/6/29  23:28

投稿者:山人
構成素を定義すれば、「次の構成素の産出を可能にし、閉じたネットワークの維持に参与している産出物」です。このネットワークは産出物による次の産出プロセスの作動基礎づけによって連接していますから、その全体が閉じる、つまり、ネットワークに参与しているすべてのプロセスがその内側で基礎づけられるようになった時、この基礎づけ関係のどこかに参加している産出物が構成素です。
たとえば、細胞高分子で考えれば、その産出プロセスの連接って、産出物が次の産出の原料となるか触媒となるという化学反応ですよね。非常に複雑なネットワークですが、一つ一つ辿ることは可能なはずです。
単純化すると確かに円環になりますね。ただ、その場合、個々の構成素が産出を基礎づけているのは、円環上で次に来る構成素だけです。構成素が何かわかれば、その産出を基礎づけるものが何であるかも、決まりますよね。

2008/6/12  23:05

投稿者:いぬ
毎度ありがとうございます。

>構成素は特定可能
入門書を拝読したんですけれども、構成素の定義がよく分からないんでこういう表現にしちゃったんです。
プロセスの循環において、「次のプロセスに必要とされる産出物」が構成素であるのか、「どこかのプロセスに必要とされる産出物」が構成素であるのか、あんまり明確に書かれていなかったんで混乱したまま疑問を書いたんですよ。

落ち着いて考えてみると、次のプロセスのみにキいてくる産出物のみを構成素とするのは、ずいぶんと制約がキビしいから現実的じゃないですね。
ってことで、構造がよく分からないっていう表現は俺の間違いです。たんに構成素の定義がよく分からないまま書いてしまったってことですね。


>どの構成素を産出するのに、どの構成素群が必要になるのかも特定可能
これはなぜそう言えるのか、ちょっと考えさせてください。
じゃぁどういうプロセスで産出されているのかも特定可能ってことになっちゃうのかなぁ?うーん・・・


>複雑な多次元のネットワーク
まー複雑なシステムならそうなりますけれども、単純化されたすげー小さいシステムでしたら円環でモデル化できないですか?
俺の場合、できるだけ小さくてシンプルなモデルから理解しないと、より複雑なモデルについては理解できないんですよ。
いきなり多次元構造はムリっす。

2008/6/12  13:13

投稿者:山人
構成素と構造は基本的に外部から観察可能です。そして、どの構成素の産出にどんな構成素群が必要になるかも特定可能。化学的な反応を例に考えてみてください。構成素産出プロセスのループは単純な円じゃなくて複雑な多次元のネットワークになっています。このネットワークが構成素産出の基礎づけ関係において自己充足的に閉じたものが、オートポイエーシス・システムです。

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