2008/5/6  23:25

さすらいの男(14)【サラ】  さすらいの男

この日のために用意したドレス。
この日のために用意した靴。
この日のためにセットした髪。
そしてお化粧。
なんて女って面倒なのかしら?

「サラ用意はできた?」
母親が覗き込んでくる。
「ええ。できたわ」
今までで最高の出来だと思う。
こんな時はちょっと思ってしまう。
私ってなんて綺麗なのかしら…。

「本当にあの人も連れて行くの?」
母親が聞いてきた。
「いいでしょ?お祝いしてくれる人は多い方がいいわ」
適当に理由をつけてる。
「そうだけど、何の関係もない人じゃない」
「私を助けてくれたわ」
「いつ、どこで?」
「それは…、言えない」
脱走したなんていえない。
「しょうがないわね。全く」
ぶつぶつ言いながら部屋を出て行った。
「俺はお呼びじゃないみたいだな」
いつの間に来たのか、レイが扉の前に立っていた。
「レイ」
「へぇ、なんだかサラじゃないみたいだな」
「何言ってんのよ」
必死で表情を隠す。
顔が赤くなってないかしら?
「で?俺が行って何か役に立つのか?」
「ええ!もちろんよ」
立ち上がってレイに近づく。
「あなたには私の恋人になって欲しいの。
 もちろん、フリだけだけど」
そう、フリだけ…。

私の戦いが始まる。



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