2008/5/13  9:29

艀 はしけ Barge  我愛船艇

♪ 空も港も夜(よ)ははれて、月に数(かず)ます船の影。
 端艇(はしけ)の通いにぎやかに、寄せくる波も黄金(こがね)なり ♪

この小学唱歌は明治29年に作詞作曲とのことで、110年も前に出来ていたものと今日知った。さてこの歌詞にあるように“ハシケの通い賑やかに”とある情景は自分の記憶にも残る。場所はおおむね東京か横浜の港。鈍重な小判型の身重の真っ黒な船殻がいくつも数珠繋ぎ状態でタグボートに曳かれてゆく様が思い出される。

個々の艀の艫部には巨大な舵柄があって、これを操作するための要員が必ず一人はついていた。実情を知らない自分はのんきな商売と思っていた。曳航速度は、例えば横浜から東京港まで行くとなれば半日はかかってしまうような鈍足。舵取り以外にはすることも無い、と思ったのだ。こうした艀の活動が盛んであったのはおそらく昭和30年代か40年代の前半までで、のちは荷役岸壁の充実やコンテナ方式の導入ですたれていった。

今もわずかに船溜まりにのこる艀は出番を待っているのだろうか。海外では艀を浮かぶ住居として利用することがある。セーヌ河岸でもアムステルダムの運河でもそれらを見ることが出来るが、我が国では水面利用の法律の縛りのためか見ることが出来ない。ウオーターフロントの再開発はようやく緒についたばかりである。


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