2008/7/25 9:39
チップマンの物語 (3-6) 海の狩人
「ベンの物語は?」とわれわれはウインドラスの端にパイプ煙草を楽しんでいるチップマンにせがんだ。
ベンはあの騒動のときは正常だった。自分が端艇の船首から真下を見るとまさにくじらが我々の真下にいることがわかった。そして突破しようとしていた。鯨は我がいとしの彼女の帽子のボンネットのように深い水のなかで青く輝いていた。考える時間も無く、母の最期の助言に従うべく行動した。鯨の黒い表皮が鉄の銛を打たれずにただ我々の目前を通過するのを見過ごさない。あたかもクロネコにフォークを投げつけるように。だが、鯨はベンの考えたような醜い動きはせず、ベンはまだまだ未熟だった。わかるだろうお前たち。しかしこの生物は我々を粉砕しようとかかった。誰も怪我はしなかったのだが、水夫たちは回転する端艇の船尾のシートで混乱した。
いくつかのこうした物語が冒険の日々に求められたが、われわれ若者たちも高潔でとるにたらぬ話からはやがて退却した。我々は最初の試練を災難なしに乗り切ったが、残念なことに、もちろん、鯨脂を得られる最初の機会を失った。
