2008/3/22  14:32

「個食のしあわせ」について  分類なし

 今回は「個食のしあわせ」について書いた内田樹氏の文章がとても面白かったのでここにご紹介します。
 さて、「個食」は何かと申しますと、「孤食」のことで、同じテーブルを囲んでいても、家族がばらばらに違う食べ物を食べていても、全員がテレビを見ていて無言でいるなら、それも広義における個食だそうです。我々は地球上に存在して以来、食べ物を分け合う儀礼を持ち続けてきたのですが、ここにきてそれが変化していると云うのです。
 どうして共食の儀礼が重視されたかと云うと、人類にとって、水と食料がとても大切なものであり、その大切なものを他者とともに分かち合う、友愛の証でもあるからだそうです。また、いっしょに食べ、いっしょに飲むという行為は「動作の模倣」を意味し、細胞レベルでも「同体化した」ということを意味するそうです。
 ほとんどの時代、人間は恒常的に飢えていて、集団的に行動しない限り生き延びられませんでした。だから、人間の身体組成は「飢餓ベース」に、精神は「集団ベース」に作られているそうです。
 しかし、現代の日本は飽食国家となり、集団ベースで構築された身体運用技法や儀礼や習慣との間でフリクションが起こっているのです。
 「人類史上例外的な幸運」とするこの世の中の繁栄と平和の代償として「個食」があるのだというハッピーな結論付けをしているところが内田氏らしいのですが、「未婚」「孤独死」「少子化」の原因もこの方程式に当てはめると、すべてが納得できるような気がしました。今回はアートと無縁なお話ですみませんが、とてもお薦めなので、是非御一読下さい。

文藝春秋刊「ひとりでは生きられないのも芸のうち
内田樹著



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