2008/5/11  12:16

萩往還250キロ完踏記4-夜明けと共に朝は来る  マラニック

まだ本調子ではないので、少しゆっくり進むことにする。豊田湖エイドを3時半に我々がでて、ゆっくりコースに戻ったとき、我々よりももっとゆっくり走るランナーたちが「新しいエイド、どうでした?」と聞いてくる。「たいした距離ではないのですが…寄られないんですか」「我々は遅いからパスしないと間に合わないんですよ」と青いウエアを着たランナーが言った。先ほどの豊田湖エイドで、骨折のためにリタイアした女性を乗せた救急車がサイレンを鳴らして夜中の山道を下っていった、それを見て「どうしたんでしょうね」とくだんのランナーが聞くので、「女性が一人骨折されたようなんですよ」と答えると、「僕も肋骨折ってるんですけどね」と冗談っぽく話す。「あれまあ、無理なされないで…」というと、「萩往還は無理しなくちゃ走れないんですよ」とまたもや冗談っぽく言う。この人何者だろう。ちょっと先にでたU先生は、えらい勢いで行ってしまったようで、我々が走っても走っても追いつかない。しかし、肋骨を折っても走っているというこのランナーについていけば、なんとか完走はできるかもしれない。どうも、このランナーさんたち、ベテランらしい。萩往還のベテランランナーともなると、決して急がず、時間内に完踏する術を知っているつわものが多い。彼らもそういう人たちなのではないか。

時刻は4時過ぎだろうか。最も寒さの厳しいときであろうが、ゆっくり走ることはあっても、もう歩くことはないから寒くない。まだものは口には入らないが、足は痛くないので、あとは胃腸の調子を整えるばかりである。日が登って暑くなる前までに、なんとか元の調子で走れるようになるだろうか。俵山温泉に入るころには山の端がうっすら明るくなっていた。朝方まで、地元の中学生が火の番をしてストーブをたいてランナーを迎えてくれる。「ありがとうね」と挨拶をする。夜中も寝ずに走るへんなおじさんおばさんの趣味に付き合わせて、ごめんなさいね。先についたU先生が、ぐったりした格好でストーブのよこで眠っていた。なごやんは一応トイレにはいって胃腸の調子を見る。おそらく脱水状態になっているのであろうから、水分補給が必要だと冷静に判断する。とよとよさんは辛抱強く待っていて、目をさましたU先生と三人でエイドを出る。さっき、我々よりもゆっくり来た女性ランナーが先に出て行ったから、われわれはおそらく最後のランナーだろう。周りはすっかり明るくなっていてライトを消した。道に迷って砂利ヶ峠の方向がわからない。3人で地図を見たり、少し先まで走って偵察に行ったりしてやっとのことで道を見つけ出す。救護車というサインをつけたバンが行ったり来たりしている。昨夜、西寺でなごやんが、一瞬、乗ろうかな、と思ったやつである。もう、乗らんぞ。しかし、U先生はぽつりと「この前は、砂利ヶ峠を下るところで夜が明けたのに…。このままでは、千畳敷の関門に引っかかって5時の収容バスに載せられるかもな…」って、なんてこというのよ。どうしてゴールまで行こうといわないの!とよとよさんとなごやんは初めての道を走ることになるので、道を知っているU先生と一緒に走りたかったのであるが、砂利ヶ峠に差し掛かる坂の途中で、U先生はそのままずるずると遅れていった。我々は振り返り振り返りしながらU先生の姿を確かめていたが、とうとうその姿が見えなくなってしまった。それから二人で何も申し合わせたわけではないが、キロ5分半くらいにスピードを上げて、砂利ヶ峠を一気に下った。走れる。十分走れる。胃腸はまだ様子を見なければならないが、足腰が痛いわけではない。昨夜遅れた分を取り戻そう。

大坊ダムへ下る道で、俵山温泉を我々よりも先に出た女性ランナーに追いついた。イヤホンで音楽を聴きながらマイペースで走っているようなので、びっくりさせないように後ろから追いついて、元気に「おはようございますっ!」と挨拶。すると、しゃべり方もマイペースなおばちゃんランナーは「おはようございまーす」とのんびりと返してくれた。ああ、いいなあ。ともに苦しい長い夜から生還して朝を迎えることができた人たちとは独特の連帯感みたいなものがある。今日も一日がんばって行きましょうね。



2008/5/11  21:19

投稿者:まるちゃん

肋骨折れてるのに走れるなんて、その方どこまでウルトラなのでしょうか???

あ〜、U先生が気になります。

でもなごやんさん!
胃腸との闘い+関門との闘いある中で、キロ5分半にペースアップとはすごい!!

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