2007/4/3 7:24
昨日の話の続き マイスター学校(Schwenningen)
提出の木曜日の朝すぐに、ヤオホ先生に僕の動いている時計をみせたら大喜びしていた。永遠に終わらないかと思ったこの日本人の時計が自分の目の前で動いていると。僕の時計は針がなかったり表面処理がまだぜんぜん駄目だったりで見栄えが悪いんだが、基本設計がしっかりしいて技術的に面白いのです。その面白さをヤオホ先生つくづく見入ってDesignがいいと言ってくれた。そういう風に褒めてくれればいいのさ。針なんか誰だって換えられる。表面の磨きなんかは研磨の専門家に頼めばいいこと。Uhrmacher時計製作者の一番大事なことは、いい時計を設計すること。これはUhrmacher以外には出来ない仕事だからね。僕は今回のこの時計の設計だけは、クラスのほかの誰にも負けないと自負している。まぁ、あたりまえだわな、こっちは大学で機械工学を勉強したんだもの、その意地を作品の中に見せないと。
技術的なことはまた後日書きたいと思います。
今日はその後のことを書きます。
この日は午後5時までに提出といっていたので遅くとも午後3時からReinigung洗浄して組み立てを始めようと思っていました。それまではいろいろしなければいけない手直しを出来るだけすると。しかし話が少し好転し、夜の9時まで仕事をしていてよいということになって精神的にかなりゆとりをもって仕事をすることが出来ました。ところで、なぜ夜9時まで締め切りを延長したかというと、マニュエルが僕よりももっと危機的な状態だったのです。僕は遅まきながらもこの日の朝を、時計が動く状態で迎えることが出来ましたが、彼は組み立てるどころか、部品がまだぜんぜん揃っていない。
ということで、マニュエルはこの日当然ながら全力で作品を完成に近づける。
僕は、もう動いているんだからもうこれ以上失敗をしないように確実に終わらせ提出する。
その他の生徒は早々に提出の準備を終え、机、引き出しの中の整理整頓、部屋の掃除などをする。このマイスター作品の提出は同時にマイスター学校の終わりを意味するわけで、飛ぶ鳥跡を濁さず、いろいろ身の回りをきれいにしなければいけないのです。そしてその整理整頓の作業が終わった奴らから順にマニュエルの作品作りの手伝いをすると。僕は残念ながらこの日、マニュエルの手伝いをするほどの余裕がなく、結局提出作業で一日が終わった。でも本当にすばらしいと思った。いつもなら自分の用事が終わったらとっとと帰ってしまう奴らが今日はマニュエルのために残って積極的に手伝っている。
マニュエル本人は工場を飛ぶように動き回っててんてこ舞い。比較的早く周りの整理がお終わったジーモンがこの日早い段階からマニュエルの作品を手伝い始め、てんてこ舞いのマニュエルに代ってジーモンがこの危機的状態をしきる最高司令官と化していた。このジーモンの気転はすばらしい。周りに無理なく仕事を割り振って旋盤を回す奴、はめあい確認、組み立てる奴、必要あらばどんどんマニュエルに図面を要求、ともかく部品の製作と組み立てを同時に進めていかないと間に合わないわけだから、ジーモンの指揮のもと、クラスがほんとうによく機能した。
次の日、本当は旋盤仕事のための道具一式を学校に持っていく必要はないのだが、多分マニュエルを助けることになると予想してその一式を持っていった。それは当たりだった。前日指揮をとったジーモンがマニュエルのいないところで朝一番にボソッと言った。「マニュエルの作品はまだ部品がぜんぜん出来ていない」おー、これは危機的。今日はクラスの総力を挙げてマニュエルの作品を仕上げることになると直感的に思った。僕には光栄なことにかなり厄介なWelle軸の製作が回ってきた。この軸を旋盤で作りながら思った、僕がマニュエル程に危機的でなかったのは紙一重の違い。マニュエルは今日まで度重なる悪夢にもめげずに本当に毎日飛ぶように工場で働いていた。だからこちらも喜んで手伝いたいし、他の奴らだってそう思っていたに違いない。
僕の前ではフィリップが、後ろではシュテファンが、僕も入れて腕の立つ3人が揃ってマニュエルのために旋盤を回している。この3人なら、どう転んでもともかく使い物になる品物が出来ることは確実。隣の教室では小型の時計旋盤でベルトラムとアレックスが何かを作って、時折シュテファンとジーモンがはめあいだか組み立てをしている。マニュエルもなんだか飛ぶように工場を動きながら、図面をどんどん刷りだす。
マイスター試験委員会の試験官が提出を確認するために学校に来たのが午後1時半。マニュエルの組み立てがまだ終わらないのであと30分待ってもらって、どうにか提出していた。作品の完成度がどの程度かは知らないが、彼は顔が真っ赤になるくらい頑張っていたから、そこは多少情で持って受け取ってくれたのだろうと思う。そうあるべきだ。挑戦もしないで、市販の時計を無難に提出するヤツよりよっぽど偉い。そういう困難を克服する勇気と気力を評価しなかったら、マイスター制度そのものの存在意義を疑問視せざる終えないから。
技術的なことはまた後日書きたいと思います。
今日はその後のことを書きます。
この日は午後5時までに提出といっていたので遅くとも午後3時からReinigung洗浄して組み立てを始めようと思っていました。それまではいろいろしなければいけない手直しを出来るだけすると。しかし話が少し好転し、夜の9時まで仕事をしていてよいということになって精神的にかなりゆとりをもって仕事をすることが出来ました。ところで、なぜ夜9時まで締め切りを延長したかというと、マニュエルが僕よりももっと危機的な状態だったのです。僕は遅まきながらもこの日の朝を、時計が動く状態で迎えることが出来ましたが、彼は組み立てるどころか、部品がまだぜんぜん揃っていない。
ということで、マニュエルはこの日当然ながら全力で作品を完成に近づける。
僕は、もう動いているんだからもうこれ以上失敗をしないように確実に終わらせ提出する。
その他の生徒は早々に提出の準備を終え、机、引き出しの中の整理整頓、部屋の掃除などをする。このマイスター作品の提出は同時にマイスター学校の終わりを意味するわけで、飛ぶ鳥跡を濁さず、いろいろ身の回りをきれいにしなければいけないのです。そしてその整理整頓の作業が終わった奴らから順にマニュエルの作品作りの手伝いをすると。僕は残念ながらこの日、マニュエルの手伝いをするほどの余裕がなく、結局提出作業で一日が終わった。でも本当にすばらしいと思った。いつもなら自分の用事が終わったらとっとと帰ってしまう奴らが今日はマニュエルのために残って積極的に手伝っている。
マニュエル本人は工場を飛ぶように動き回っててんてこ舞い。比較的早く周りの整理がお終わったジーモンがこの日早い段階からマニュエルの作品を手伝い始め、てんてこ舞いのマニュエルに代ってジーモンがこの危機的状態をしきる最高司令官と化していた。このジーモンの気転はすばらしい。周りに無理なく仕事を割り振って旋盤を回す奴、はめあい確認、組み立てる奴、必要あらばどんどんマニュエルに図面を要求、ともかく部品の製作と組み立てを同時に進めていかないと間に合わないわけだから、ジーモンの指揮のもと、クラスがほんとうによく機能した。
次の日、本当は旋盤仕事のための道具一式を学校に持っていく必要はないのだが、多分マニュエルを助けることになると予想してその一式を持っていった。それは当たりだった。前日指揮をとったジーモンがマニュエルのいないところで朝一番にボソッと言った。「マニュエルの作品はまだ部品がぜんぜん出来ていない」おー、これは危機的。今日はクラスの総力を挙げてマニュエルの作品を仕上げることになると直感的に思った。僕には光栄なことにかなり厄介なWelle軸の製作が回ってきた。この軸を旋盤で作りながら思った、僕がマニュエル程に危機的でなかったのは紙一重の違い。マニュエルは今日まで度重なる悪夢にもめげずに本当に毎日飛ぶように工場で働いていた。だからこちらも喜んで手伝いたいし、他の奴らだってそう思っていたに違いない。
僕の前ではフィリップが、後ろではシュテファンが、僕も入れて腕の立つ3人が揃ってマニュエルのために旋盤を回している。この3人なら、どう転んでもともかく使い物になる品物が出来ることは確実。隣の教室では小型の時計旋盤でベルトラムとアレックスが何かを作って、時折シュテファンとジーモンがはめあいだか組み立てをしている。マニュエルもなんだか飛ぶように工場を動きながら、図面をどんどん刷りだす。
マイスター試験委員会の試験官が提出を確認するために学校に来たのが午後1時半。マニュエルの組み立てがまだ終わらないのであと30分待ってもらって、どうにか提出していた。作品の完成度がどの程度かは知らないが、彼は顔が真っ赤になるくらい頑張っていたから、そこは多少情で持って受け取ってくれたのだろうと思う。そうあるべきだ。挑戦もしないで、市販の時計を無難に提出するヤツよりよっぽど偉い。そういう困難を克服する勇気と気力を評価しなかったら、マイスター制度そのものの存在意義を疑問視せざる終えないから。



