2008/7/13  12:48

星空のビバーク  カナダ・バンフでの日々

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その日、私たちは森の中で寝た。

レインジャケットをひいて、寝袋を2重にして、二人で潜り込んだ。
雨あがりの森。真夜中の森。

雨に濡れた草の上で、テントもなく、さぞ寒くつらい夜になるだろうと思ったけど、長い長いクライミングの一日の後で、くたくたの体はすぐに眠りに落ちた。それに、木々のシェルターと、互いの体温とで、森の中のビバークは、思いのほか快適だった。

木々のシルエットの上に、満天の星空が広がっていた。
それは、星空のビバーク。

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この日私たちが挑んだのは、去年の秋に雪に降られて、あきらめざるを得なかった、キャッスルマウンテンのロッククライミングルート。
今年の7月のバンフは天候が不安定で、雲をにらみながらのクライミングになったけど、今まででベスト5に入るような、素晴らしいルートだった。
高みへ、頂へ、岩のはしご。眼下に広がる、峰、また峰・・。

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けれど、岩に登ったら、星の頂にたどり着いたら、今度は必ず下りなきゃならない。
足元遥か彼方とも思える、下界へ、私たちの家に戻らなくてはならない。
そしてこの下りは、残雪とたった5分だけキャッスルマウンテンを襲った嵐のおかげで、長い長い道のりとなったのだった。

やっとで岩嶺を抜け、谷を下り、ハイキングトレイルを最後にはヘッドランプとともにひたすら進んで、それから車どおりのない舗装道路を、永遠とも思えるような時間歩き続けた。
そんな時間にヒッチハイクをしてみても、たまに通るのは巨大な運送のトラックばかり。暗がりの中、結局30分という時間を無駄にしただけだった。
一体ここで何をしているんだろう、私たち・・。

それで、私たちは決めた。


・・その日、私たちは森の中で寝た。

木々のシルエットの上に、満天の星空が広がっていた。
それは、完全なる星空のビバーク。

疲れきって、家にもたどり着けず、これ以上ないほど惨めな状況にもかかわらず、どこか私の心はあたたかかった。


・・冷たく濡れて、頭のてっぺんからつま先まで汚れて、疲れきった私たちを、次の朝拾ったのは、バンフに住んでいるクライマー。
シャワーを浴びて、バンフのレストランに、豪華な朝ごはんを食べに出かけた。普段なら残してしまうような、大きなお皿に大盛りの朝ごはんを、ぺろりとたいらげてしまった。

キャッスルマウンテンでのクライミングと、星空のビバークと。
誓って一生忘れない。



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