2008/5/7  23:59

東浩紀・北田暁大 編 『思想地図 Vol.1』  

東浩紀・北田暁大 編『思想地図 Vol.1 特集・日本』(日本放送出版協会)読了

 素直にいい本が創刊されたと思う。思いつきでその場限りの政治評論や、いたずらにヘーゲルやカントの名前を出しつつ、ハート&ネグリ、あるいはサイードの名前で最新を装う、誰にも読めない(伝わらない)現代思想的(?)評論にはもうたくさん、という渇望を癒してくれたと言えるのではないか。

 全体で450ページを超えて、15本もの討議・論文を収録するこの本を端的にコメントするのは難しいが、ひとつだけ例としてあげておくと、ひとくちに「保守」という言葉をあてがっても、その指し示す意味は、日本と韓国ではまったく違うことをレポートした、高原基彰の論文はきわめて興味深く読んだ。

 ここで日本ではこう、韓国ではこうと、それぞれの国での「保守」のイメージを要約するには、いささか複雑すぎるので、これも省略せざるを得ないが、歴史的な沿革からそうなるに至った背景を解き明かしていく筆致はとても面白く、勉強になった。
 こうした背景を知らずに、「反日」「嫌韓」を語っても、単に感情論だ。

 この国に住んでいる以上は、この本に書かれていることに意識的である必要があるのだと思うが、反知性主義の壁は本当にぶ厚いから道は遠いだろうな。ただ、その志は買いたい。
 ともあれ、(本人は遺憾に思うだろうとはいえ)「動ポモ」に書いてあることなど、マジどうでもいいが、この本での東(と北田)の仕事はとてもとても立派だと思う。



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