2008/5/13  23:51

「早稲田文学」復刊1号  

 「早稲田文学 復刊1号」読了。
 もともと蓮實御大のロング・インタビューとロブ=グリエの追悼文を読みたかったから買ったのだが、生真面目な(?)私はせっかくお金出したんだからと、全ページ通読。疲れた。こういう作業を毎月やっているのだとすると、文芸時評家というのは本当に大変だと思う。
 通読したといっても、最初の8ページは川上未映子のグラビアだから、これは眺めただけ。グラビアとはいえ自慰行為ははたらいていない。念のため。でも少し迷った。

 こうしたいわゆる文芸誌を、まるまる1冊一文字余さず読んで(バカだ)、つくづく思ったのは、これらの小説がどこにも開かれていないな、本当にこの雑誌の中だけで完全に閉じられてしまっているな、ということだった。
 ことに、伊藤比呂美・星野智幸の対談『切腹の快楽』などは、まるで外国語かなんかのようで、何を話し合っているのだか、完璧にわからなかった。申し訳ないことだと思う。

 それでも、川上未映子『戦争花嫁』だけはダントツだった。さすがに時の人の作品だけあって、使う言葉が意外性に満ちていて、そうした閉鎖性について真剣に何かを語ろうとしているように感じた。『乳と卵』も『わたくし率・・・』も、読んでみようと本気で思った。

 その閉鎖感がより感じられたのは、もうひとつの特集、ロブ=グリエのテクストに、書くことと書かないことの諦念と希望の「間」というものが、やっぱり読んでとれたことだった。
 蓮實重彦による追悼文と合わせて。

 なお、蓮實御大のロング・インタビューは、左開きの冒頭、実に44ページに及ぶが、散文の諦念について語るB・アンダーソンの理論など役にたたぬことを確信させるためのリストを作る必要がある。そして、そのリストを豊かなものにするための名前が、現代の日本文学に欠けているはずがない。そのことについて、
「わたくしは、批評家として、自信をもってそう断言することができます」と力強く語る御大の檄に応え得るテクストが、この雑誌の中にあったろうか。



コメントを書く


この記事にはコメントを投稿できません


RSS1.0