2008/7/23 23:16
腐海の大気の化学的成分は何ですか? ノンセクション
その昔、『風の谷のナウシカ』がロードショー公開中のよき時代。
今はなき渋谷東急に、ヒット御礼ということで宮崎駿と島本須美が来たことがあった。
当然ながらいそいそと出かけ、あれこれ2人の話をまぶしく聞き入ったものだ。
進行役が、少女時代のナウシカの声がとてもかわいいという話をして、その声で「母様もいる・・・」って言ってみてもらえませんか、というリクエストをした。場内大拍手。
けれど、島本須美は照れに照れて、真っ赤になって一言もしゃべれなくなってしまう。そのとき宮崎駿が「いや、この人はそういうことが、パッとできないところがいいところなんですよ」とフォローしていたのが、何ともいい感じの一幕だったのを覚えている。
まあ、今日の話題はそこではなくて、観客との質疑応答のことだ。そのとき客席から手が上がり、真っ先に出たのが、こんな信じられないような質問だった。曰く「瘴気の化学的成分はなんですか?」
これには耳を疑う。何だそれ? そんなの『ナウシカ』の素晴らしさと何の関係もないじゃんか。で、続く質問が「メーヴェの動力源は何ですか」という同レベルの度し難さ。
これらに対して、宮崎駿がどう答えたのか覚えていない。ただ、ああ、いわゆるアニメ好きというのは、こんなことを聞いちゃうのか、とがっくりきたのだった。もう二度とこういう場には足を運ぶまいと決意したし、いわゆるアニメというジャンルに、必ずしものめりこめない原因となった一幕だった。
さて、宮崎駿の発言や文章、インタビューを集めた新刊、『折り返し点 1997〜2008』(岩波書店)を読み進めていて、そうか、そうしたバカな質問はその後20年以上たった今でも変わらないんだ、と思い知る。
梅原猛と網野善彦、高坂制立との座談会で、梅原にしても「シシ神というのは何ですか」とか、「時代への一種の批判や絶望が「タタリ」とか「もののけ」になったんでしょうか」とか、同レベルの白痴的質問を。
司会(牧野圭一)は司会で、「トトロとは森の精なのでしょうか、森そのものなのでしょうか?」なんて言い出す始末。さすがに網野はそんな愚な質問はしないし、宮崎駿ものらりくらりとにこやかに逃げているが、心中いかばかりかと、げんなりする。
で、そうした無意味な質問へのリベンジなのか、本書収録の別のインタビューで、「(千尋の乗った)その電車はどこに繋がっているのですか?」とか、またぞろバカなことを聞かれたのに対し、たぶんキレた宮崎駿はこう答える。
「普段自分が生きている世界や周りのことに関心を持たない人が、どうして物語の中のことにだけそんなに関心を持つんですか? 家や会社のかたわらを走る電車やトラックの行き先を気にもとめない人に限って、あの電車は? ってたずねてきます。」
まったくほんとに完全無欠にその通りだよね。『ナウシカ』上映開場での質疑応答のときのモヤモヤを、20数年たってすべて解消してくれたような、爽快な気分に。
今はなき渋谷東急に、ヒット御礼ということで宮崎駿と島本須美が来たことがあった。
当然ながらいそいそと出かけ、あれこれ2人の話をまぶしく聞き入ったものだ。
進行役が、少女時代のナウシカの声がとてもかわいいという話をして、その声で「母様もいる・・・」って言ってみてもらえませんか、というリクエストをした。場内大拍手。
けれど、島本須美は照れに照れて、真っ赤になって一言もしゃべれなくなってしまう。そのとき宮崎駿が「いや、この人はそういうことが、パッとできないところがいいところなんですよ」とフォローしていたのが、何ともいい感じの一幕だったのを覚えている。
まあ、今日の話題はそこではなくて、観客との質疑応答のことだ。そのとき客席から手が上がり、真っ先に出たのが、こんな信じられないような質問だった。曰く「瘴気の化学的成分はなんですか?」
これには耳を疑う。何だそれ? そんなの『ナウシカ』の素晴らしさと何の関係もないじゃんか。で、続く質問が「メーヴェの動力源は何ですか」という同レベルの度し難さ。
これらに対して、宮崎駿がどう答えたのか覚えていない。ただ、ああ、いわゆるアニメ好きというのは、こんなことを聞いちゃうのか、とがっくりきたのだった。もう二度とこういう場には足を運ぶまいと決意したし、いわゆるアニメというジャンルに、必ずしものめりこめない原因となった一幕だった。
さて、宮崎駿の発言や文章、インタビューを集めた新刊、『折り返し点 1997〜2008』(岩波書店)を読み進めていて、そうか、そうしたバカな質問はその後20年以上たった今でも変わらないんだ、と思い知る。
梅原猛と網野善彦、高坂制立との座談会で、梅原にしても「シシ神というのは何ですか」とか、「時代への一種の批判や絶望が「タタリ」とか「もののけ」になったんでしょうか」とか、同レベルの白痴的質問を。
司会(牧野圭一)は司会で、「トトロとは森の精なのでしょうか、森そのものなのでしょうか?」なんて言い出す始末。さすがに網野はそんな愚な質問はしないし、宮崎駿ものらりくらりとにこやかに逃げているが、心中いかばかりかと、げんなりする。
で、そうした無意味な質問へのリベンジなのか、本書収録の別のインタビューで、「(千尋の乗った)その電車はどこに繋がっているのですか?」とか、またぞろバカなことを聞かれたのに対し、たぶんキレた宮崎駿はこう答える。
「普段自分が生きている世界や周りのことに関心を持たない人が、どうして物語の中のことにだけそんなに関心を持つんですか? 家や会社のかたわらを走る電車やトラックの行き先を気にもとめない人に限って、あの電車は? ってたずねてきます。」
まったくほんとに完全無欠にその通りだよね。『ナウシカ』上映開場での質疑応答のときのモヤモヤを、20数年たってすべて解消してくれたような、爽快な気分に。
