2007/7/12 15:56
骨太に震える サスペンス
『犯人に告ぐ』
最近は、もっぱら邦画ブームですね。
ここ数年ずっと続いていて、
「もう来年はヤバイね。終わるね、邦画ブーム」
とか言われていたけど、どうでしょう、この邦画陽気たるや。
邦画の元気具合は、国内のみならず、いまや海外でももぞもぞしています。
この前カンヌ獲ったのも邦画だったし。
北野武はいまや世界の名監督に数えられているし。
さらには、ハリウッドリメイクのオファーが次々と。
『シャル・ウィー・ダンス』で、「おおうっ!」とビックリしていたのはいつのこと?
いまや、ホラー作品は片っ端からリメイクされていて。
結構ハマった『悪夢探偵』もリメイクのオファーがあったのことですが、あれは決まったんですかねぇ。
誰がやるのかしら、悪夢探偵。
キアヌあたりが無難なところか。(マトリックスアゲイン)
さて、こうも邦画ブームが続くと、新規投入は邦画に目が向きます。
CM作りに精を出していた数年前は、ちょっといい新人女優、ちょっと面白いミュージシャンは、バンバンにCMに使われていましたね。
最近はもっぱら邦画に使われているというわけか。
だから、アイドルなんだか、俳優なんだか、歌手なんだか、よくわかんないのがいっぱい出てくるようになりました。
言ってみれば、私が小さい頃は、タケモトタカユキとか、もうちょっと大人になった頃の永瀬正敏なんかは、アイドル的な扱いだったわけです。
仲村トオルも若干アイドルであった。歌とか出していたし。知ってるか?今の若者たちよ!(知らなくていい)
今、若手の俳優陣に、アイドルと俳優の線引きがないような気がするわけです。
線がないことは、いいことだとは思います。
その線をかき消してくれたのが、SMAPだと私は分析しています。
演技をやらせてもなかなか、コントをやらせても面白い、でもアイドル。
こう来ると、適いませんね。
出だしから、ずーっと俳優であり続けているのは稀です。
石原軍団名誉会長ことユー様だって、最初はアイドル的に羨望を集めたはず。
いまや世界をまたにかける、永遠のbQ、真田弘之だって、昔はJACで黄色い声援に軽く片手を挙げていたはずです。
数少ない、生まれながらのアクターは、ケン・ワタナベなんか、そうでしょう。
彼はあんなに素晴らしいルックスなのに、中学生に
「好きな人は、ケン・ワタナベ!」
と黄色い声で言われたことがない。
透明なプラスチックの下敷きに、独眼流正宗のブロマイドをはさんでいたら、かなりのコアな趣味のクラスメイトと認められたでしょう。
そして、もう一人。
とてつもないルックスながら、黄色い声援で呼びかけることを、世のジョシに許さなかった俳優。
それが、豊川悦二なのであります。
180センチ超で、8頭身という、グンバツのスタイルに、センチメンタル漂うクールビューティーを持ちながら、キャーキャー言わせることをさせなかった男。
「いいよね、トヨエツって」
「好きかも」
「どきっとしちゃう」
と、コソコソ耳元おしゃべりレベルでしか許さなかった男。
ルックスだけじゃない、演技やたたずまい含めて、好きなんだ、としか言わせなかった男。
骨太なのであります。
そんなトヨエツが、意外にも初めて刑事を演じたという『犯人に告ぐ』。
昨今の、アイドルまがいの若手俳優たちが、本気ぶって演じている映画が、ものすごくちゃちに思えるほど、これまたホント骨太。
トヨエツを囲む、その他の出演陣が、また渋いこと!
狙った渋さじゃないの。
本当に渋い。
四方堂亘とか出しちゃうかなぁー、ずるいよー。渋すぎる。
そして、伊丹監督とマルサの女の愛息子、池内万作がなかなかいい。
七光り、という言葉に苦労してきたであろう、彼の努力が、徐々に花開いている感じが、勝手にうれしいのであります。
そしてそして、小澤征悦。
父にあの、小澤征爾を持つ彼は、いいとこのボンボン風味偽善者味がいまひとつちら見えしている気がしていた。
さわやかで、やさしくて、偏差値がよくて、好青年の役が多かったし。
本当に好青年が、好青年の役を演じると、気持ち悪くなるわけですよ。いやみったらしくなる。
今回は、いいとこのボンボン風味だけ残して、あとは真逆。
本当に気持ち悪くて、いやらしくて、どーしようもないヤツなので、すっごくかっこよく見えた!!
不思議ですねぇ、映画って。
ちゃらついたところ、一切なし。
映像の端、端まで、出演陣の脇、脇まで、渋さ満点。
サスペンスは、気をつけないと、すっかり火サスになっちゃうのに、カメラのよさも手伝って、久々に、映画って映画を見たような気がします。
「犯人よ、今夜は震えて眠れ」
骨太たちによる、トヨエツのための、トヨエツによる映画。
見たら、絶対震えます。
『犯人に告ぐ』
2007年/117分/日本
監督:瀧本智行
出演:豊川悦司 、石橋凌 、松田美由紀、片岡礼子 、小澤征悦 、井川遥 、笹野高史
今秋公開!
オフィシャルサイト



