2008/4/9 17:27
小川国夫さんの訃報に寄せて 本
朝日新聞2008年4月9日(水)朝刊です。
「澄んだ文体で、地中海沿岸や故郷・静岡県中部の人や風土を描いてきた作家小川国夫さん」の訃報が写真入で出ていました。引用を続けます。「留学時代にバイクで旅した地中海沿岸と静岡県中部の海や光といった共通する風土を生かした物語、半自伝的な小説、19歳のときに入信したカトリック教徒として読み込んだ聖書もの。三つの方向から創作を続けた。文学は簡潔な文体にあるという信念を守り、平易な言葉と画家を志したことがある美的感性で、文章を磨き上げた。」
私にとって小川国夫さんは、全く相反する二つの要素で説明できます。
まず、私の人生の転機を決定づけた作家です。私が一生の中でもっとも大事にしている本の一冊が、小川国夫『なだれる虹〜全紀行T』、1980、作品社です。箱表紙には光が美しい地中海風のパティオの写真、ハードカバーの裏表紙にはロマネスク教会のタンパン壁画があしらわれていて、美しい装丁の本です。長いこと、パラフィン紙をつけたままで大事にしてきました。裏表紙に、当時の私が、S55年9月28日と書いて署名しています。。。大学を受験し直す夏に読んで署名したのだと思います。
ロマネスクの教会を、中世の人が巡礼した通りの道をバイクで辿る、エッセイでした。当時、歴史が好きでしたが、何を専門にするかを決めかねていた私が、これを読んで中世ヨーロッパに直感的に惹かれました。いわば、この本によって私は自分の専攻を選んだといえル、私にとって大事な作家です。
同時に、小川国夫さんはどこまで行っても近づきがたい孤高の作家でした。小川国夫さんの文体は決して平易ではなく、むしろ、何度近づこうとしても、厳しい岩のように人を寄せ付けないところがありました。どこまでも思索的な文体です。読もうとして挫折した本も数多くあります。。。トホホ。。。
ご冥福をお祈り申し上げます。
「澄んだ文体で、地中海沿岸や故郷・静岡県中部の人や風土を描いてきた作家小川国夫さん」の訃報が写真入で出ていました。引用を続けます。「留学時代にバイクで旅した地中海沿岸と静岡県中部の海や光といった共通する風土を生かした物語、半自伝的な小説、19歳のときに入信したカトリック教徒として読み込んだ聖書もの。三つの方向から創作を続けた。文学は簡潔な文体にあるという信念を守り、平易な言葉と画家を志したことがある美的感性で、文章を磨き上げた。」
私にとって小川国夫さんは、全く相反する二つの要素で説明できます。
まず、私の人生の転機を決定づけた作家です。私が一生の中でもっとも大事にしている本の一冊が、小川国夫『なだれる虹〜全紀行T』、1980、作品社です。箱表紙には光が美しい地中海風のパティオの写真、ハードカバーの裏表紙にはロマネスク教会のタンパン壁画があしらわれていて、美しい装丁の本です。長いこと、パラフィン紙をつけたままで大事にしてきました。裏表紙に、当時の私が、S55年9月28日と書いて署名しています。。。大学を受験し直す夏に読んで署名したのだと思います。
ロマネスクの教会を、中世の人が巡礼した通りの道をバイクで辿る、エッセイでした。当時、歴史が好きでしたが、何を専門にするかを決めかねていた私が、これを読んで中世ヨーロッパに直感的に惹かれました。いわば、この本によって私は自分の専攻を選んだといえル、私にとって大事な作家です。
同時に、小川国夫さんはどこまで行っても近づきがたい孤高の作家でした。小川国夫さんの文体は決して平易ではなく、むしろ、何度近づこうとしても、厳しい岩のように人を寄せ付けないところがありました。どこまでも思索的な文体です。読もうとして挫折した本も数多くあります。。。トホホ。。。
ご冥福をお祈り申し上げます。
