2008/5/2 8:45
694.地域の高齢者支援と商店街 地域志向型マーケティング(CRM)
前回も若干触れましたが”人口減少社会”(これを考えないで済むのは首都圏などのごく一部地域)が始まり、少子高齢化が大きな話題になって商店街は何をするべきかと考えたとき、多くの商店街では見るべき”対応策”がほとんど行われてないと”愚痴って”きましたが、今回も同じ路線になりました。大型店による商品開発やメタボ対策、そして今回は高齢者支援です。商店街としての高齢者支援活動をどう具体化するか、これもコミュニティ住人への安全・安心・快適な暮らしの支援という商店街の役割を考えれば、大きな課題に違いないと思いますが、なかなかその実態が見えません。
この問題を考える一つの事例をご紹介しつつ、商店街としてどう取り組むかを考えてみたいと思います。今回も残念ながら大型小売業の対応事例です。
1.ドラッグストアによる”介護対応”の事例

いまとなってはいささか古い話になりますが、改正介護保険法(06年4月施行)では「高齢者が住み慣れた地域で暮らす」ことを目的にした”地域密着サービス”などを導入しました(この仕組みは第490回参照)。しかしこの地域密着サービスを提供する事業者の参入が思ったほどでなく、「参入予定の事業者割合は2割未満」(日経:07年1月25日)という記事もみました。事業者と同一市町村内居住者に利用者を限定したことが、事業者の参入意欲を削いだということでした。これこそ商店街の出番じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
上記のドラッグストアの対応は、訪問介護拠点を設置し、これを拠点にして専門家(ホームヘルパーなど)を配置し顧客との関係を密接にする戦略です。介護用品売場を配置し600品目以上の商品を陳列、介護相談コーナーも用意していますから、これを通してさまざまな相談、そして関係の親密化も可能でしょう。また「介護ヘルパー養成講座」も事業者と顧客との関係強化には有効だと思います。
なお、改正介護保険法の主な点を以下に整理しておきました。正確にはご確認ください。
・・・地域密着型サービス・・・
*夜間対応型訪問介護(訪問介護の24時間体制)
*小規模多機能型居宅介護(訪問介護の拠点に泊って身の回りの世話を受ける)
・・・予防給付・・・・・・・
*新予防給付(筋トレ、口腔ケア、栄養指導、予防訪問介護など)
もちろん専門事業者の参入も20%程度ですがありますが、こうした事業者が自ら固定投資して”限られた地域内居住者”を前提にしては“意欲削減”も無理からぬことですが、この事例のようにドラッグストアとして一定の事業の柱がある場合には、専門業者にはない有利性(固定投資はドラグ部門で吸収可能:範囲の経済性)も考えられます。
2.ドラッグストアによる”介護対応”事例(続き)

ドラグストアの状況は厳しいのが実態です。ひとつは大きな業界再編成に直面していることでしょうが、その最大の契機はは改正薬事法です。一般薬(医師の処方箋なしでも売れる医薬品:昔は”OTC”と言ってました)の販売にスーパー、CVS,ホームセンターが参入してくることでしょうか。また「後発医薬品(昔は”ゾロ”と言ってましたが特許切れの医薬品で特許使用料の負担がない、同じ薬効の医薬品)」の使用が緩和され、薬価(ゾロは安い)が下がる可能性が出てきたことも、ドラッグストアの新規事業への参入を促進させていると思われます。したがって介護事業と薬品事業との相乗効果(範囲の経済性)です。
・・・・・・・・・・・
同社のHPを見ました。調剤薬局・ドラッグストア・介護事業を一体的に提供することを”トータル・ヘルスケア・ドラグ(THD)”と表現して一種の新業態への転換を試みているように思います。現在の事業構成は
*介護サービス事業
*居宅介護事業
*訪問入浴事業→入浴に必要な商品は一括持参
*訪問介護事業→訪問時に宅配サービスも
*福祉用具レンタル→車いす、歩行器、手すり付きベット、立ち上がりチェア、移動用リフト、ポータブルトイレ、入浴補助用具など
平成20年4月14日に定款変更して、ハウスクリーニング、リラクゼーション、アロマテラピー、ネイルサロン、エスティティック、居宅等における家事支援事業にも参入する計画のようでです。THD追及ってとこでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・
商店街はこうした事業機会を黙って見てるだけ・・・ってとこですが、それで商店街再生は可能でしょうか。相当数の専門家が集積してるのですから、お互いに協力し合えば地元の高齢者への支援活動は可能です。地元の診療所で診察、薬局で血圧測定やその他の相談、整体・指圧で疲労回復、食料品店で栄養バランス食品、衣料品店では健康衣料、家電店で”運動具”や健康管理ソフト、飲食店で料理レシピ、たまには住人の有資格者から栄養講習や健康相談会・・・と言った対応があれば、顧客は商店街を”再発見”するのではないでしょうか。
当面の人口予測やら何やらを整理すると、今後の数年間では
*65歳以上(高齢者)人口2400万人
*自立した健全な高齢者2000万人、要介護高齢者400万人(新予防給付対象160万人)
だそうです。自立した高齢者2000万人は、大きな新規市場ですし、前回のメタボケアや栄養指導・筋トレなども有効でしょうから、この「市場」に対するサービス提供拠点を商店街内部に設置して来街を促進することで、人口減少を補う事業機会にできるかも知れないし、少なくとも商店街との”つながり”強化は可能でしょう。
また”ホームヘルパー養成講座”を実施すれば住人への仕事機会提供にもなるのではないでしょうか(これも商店街で開講すれば来街機会になります)。上記のドラッグストアの場合、教育訓練等給付制度指定講座にもなっているので、受講者には相当の受講料補助が提供されてますので、大きな励みになっていると思います。
以上の議論は、たしかに企業と商店街との”組織”の違いを無視した議論であることは否定しません(商店街として何をするか、ましてや”出資”が必要となれば極めて難しい)。
商店街で企業(=利益共同体)と同じような意思決定ができるとは思いませんが、しかしこの数回の事例は競争相手の”先行事例”ばかりで、これでは競争にならないこと(=商店街衰退)ことも否定できないのではないでしょうか。もはや商店街としての再生を試みるかどうか、試みるのなら”集積のメリット”追及を個店の枠を超えて具体化しなければ、地域住人の支持を得るのは困難だと思います。
この問題を考える一つの事例をご紹介しつつ、商店街としてどう取り組むかを考えてみたいと思います。今回も残念ながら大型小売業の対応事例です。
1.ドラッグストアによる”介護対応”の事例
いまとなってはいささか古い話になりますが、改正介護保険法(06年4月施行)では「高齢者が住み慣れた地域で暮らす」ことを目的にした”地域密着サービス”などを導入しました(この仕組みは第490回参照)。しかしこの地域密着サービスを提供する事業者の参入が思ったほどでなく、「参入予定の事業者割合は2割未満」(日経:07年1月25日)という記事もみました。事業者と同一市町村内居住者に利用者を限定したことが、事業者の参入意欲を削いだということでした。これこそ商店街の出番じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
上記のドラッグストアの対応は、訪問介護拠点を設置し、これを拠点にして専門家(ホームヘルパーなど)を配置し顧客との関係を密接にする戦略です。介護用品売場を配置し600品目以上の商品を陳列、介護相談コーナーも用意していますから、これを通してさまざまな相談、そして関係の親密化も可能でしょう。また「介護ヘルパー養成講座」も事業者と顧客との関係強化には有効だと思います。
なお、改正介護保険法の主な点を以下に整理しておきました。正確にはご確認ください。
・・・地域密着型サービス・・・
*夜間対応型訪問介護(訪問介護の24時間体制)
*小規模多機能型居宅介護(訪問介護の拠点に泊って身の回りの世話を受ける)
・・・予防給付・・・・・・・
*新予防給付(筋トレ、口腔ケア、栄養指導、予防訪問介護など)
もちろん専門事業者の参入も20%程度ですがありますが、こうした事業者が自ら固定投資して”限られた地域内居住者”を前提にしては“意欲削減”も無理からぬことですが、この事例のようにドラッグストアとして一定の事業の柱がある場合には、専門業者にはない有利性(固定投資はドラグ部門で吸収可能:範囲の経済性)も考えられます。
2.ドラッグストアによる”介護対応”事例(続き)
ドラグストアの状況は厳しいのが実態です。ひとつは大きな業界再編成に直面していることでしょうが、その最大の契機はは改正薬事法です。一般薬(医師の処方箋なしでも売れる医薬品:昔は”OTC”と言ってました)の販売にスーパー、CVS,ホームセンターが参入してくることでしょうか。また「後発医薬品(昔は”ゾロ”と言ってましたが特許切れの医薬品で特許使用料の負担がない、同じ薬効の医薬品)」の使用が緩和され、薬価(ゾロは安い)が下がる可能性が出てきたことも、ドラッグストアの新規事業への参入を促進させていると思われます。したがって介護事業と薬品事業との相乗効果(範囲の経済性)です。
・・・・・・・・・・・
同社のHPを見ました。調剤薬局・ドラッグストア・介護事業を一体的に提供することを”トータル・ヘルスケア・ドラグ(THD)”と表現して一種の新業態への転換を試みているように思います。現在の事業構成は
*介護サービス事業
*居宅介護事業
*訪問入浴事業→入浴に必要な商品は一括持参
*訪問介護事業→訪問時に宅配サービスも
*福祉用具レンタル→車いす、歩行器、手すり付きベット、立ち上がりチェア、移動用リフト、ポータブルトイレ、入浴補助用具など
平成20年4月14日に定款変更して、ハウスクリーニング、リラクゼーション、アロマテラピー、ネイルサロン、エスティティック、居宅等における家事支援事業にも参入する計画のようでです。THD追及ってとこでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・
商店街はこうした事業機会を黙って見てるだけ・・・ってとこですが、それで商店街再生は可能でしょうか。相当数の専門家が集積してるのですから、お互いに協力し合えば地元の高齢者への支援活動は可能です。地元の診療所で診察、薬局で血圧測定やその他の相談、整体・指圧で疲労回復、食料品店で栄養バランス食品、衣料品店では健康衣料、家電店で”運動具”や健康管理ソフト、飲食店で料理レシピ、たまには住人の有資格者から栄養講習や健康相談会・・・と言った対応があれば、顧客は商店街を”再発見”するのではないでしょうか。
当面の人口予測やら何やらを整理すると、今後の数年間では
*65歳以上(高齢者)人口2400万人
*自立した健全な高齢者2000万人、要介護高齢者400万人(新予防給付対象160万人)
だそうです。自立した高齢者2000万人は、大きな新規市場ですし、前回のメタボケアや栄養指導・筋トレなども有効でしょうから、この「市場」に対するサービス提供拠点を商店街内部に設置して来街を促進することで、人口減少を補う事業機会にできるかも知れないし、少なくとも商店街との”つながり”強化は可能でしょう。
また”ホームヘルパー養成講座”を実施すれば住人への仕事機会提供にもなるのではないでしょうか(これも商店街で開講すれば来街機会になります)。上記のドラッグストアの場合、教育訓練等給付制度指定講座にもなっているので、受講者には相当の受講料補助が提供されてますので、大きな励みになっていると思います。
以上の議論は、たしかに企業と商店街との”組織”の違いを無視した議論であることは否定しません(商店街として何をするか、ましてや”出資”が必要となれば極めて難しい)。
商店街で企業(=利益共同体)と同じような意思決定ができるとは思いませんが、しかしこの数回の事例は競争相手の”先行事例”ばかりで、これでは競争にならないこと(=商店街衰退)ことも否定できないのではないでしょうか。もはや商店街としての再生を試みるかどうか、試みるのなら”集積のメリット”追及を個店の枠を超えて具体化しなければ、地域住人の支持を得るのは困難だと思います。
