2008/5/7  8:46

696.活力を維持している商店街の類型  流通政策関連

 前回は07年度中小企業白書の一部をご紹介しましたが、その資料の脇に「活力を維持している商店街の類型」なる資料がありましたのでついでにご紹介します。
 一般に「類型化」とは、全体を個々に紹介するのは大変だから、それよりも少ない「タイプ」に分けて(類型化)説明するための考え方であり、例えば100人を紹介するより4タイプに分ければ(分類)、それぞれのタイプの説明で済む”便利さ”の手法でしょう。洋服のA・B・AB・Yといったタイプが典型的な”類型化”です。
 こう考えると「活力を維持している商店街」(全体がいくつあるか分かりませんが、商店街実態調査の最新版で”繁栄している”のは2%前後)は概ねこの4類型になるって理解が常識的でしょう。つまり、これからの商店街はこの4つの類型のどれかを”人口減少・少子高齢社会における商店街ビジョン”として目指せ!ってことかな・・(白書の趣旨)、それともいくつかの事例を整理してみたら4つのタイプだったので、ご参考までにと言うことなのかと一瞬考えましたが、どうやら後者の理解が正しいように思いますが、これも”一つの成功事例”だとしてその応用を工夫するには役立つでしょう。
 筆者が”商店街の類型化”を試みたのは昭和45年に神奈川県庁の委託事業で『神奈川県商業立地調査報告書』でした。内容は”商業集積の適正配置”で公共交通体系(鉄道・バス)を骨格とした商業集積の配置が”一種の階層秩序体系”(クリスタラー先生の交通原理)を形成していることを”明らかにした(?:いろいろ異なった意見もあるので)”もので、同一階層に属する集積は同じタイプの商業集積(=類型)だと言うものでした。当時神奈川県の商業集積数は140弱、その8割は「駅前立地」でしたから、配置も鉄道の影響が一番大きかったのでしょう(この類型化は神奈川県の商業集積全体をなるべく少数の類型に分類するものでした)。同じ「類型」とは言ってもその意味が違うと、応用の仕方も違ってくるってことでしょうか。話を本題に戻します。以下は07年度中小企業白書の内容です。

1.活力を維持している商店街の類型(1)−広域拠点型、新興集積型ー

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 「広域拠点型」(3商店街)に共通しているのは”幅広い地域・年齢層の顧客に対応しており、来街者は休日・昼間型、ファッション衣料関連小売業の構成割合が高く、サービスもブライダル関連や旅行関連企業が多く、大規模企業の割合が高く、1996年以前からの営業(老舗)割合が過半数以上だそうです。
 「新興集積型」はサービス業種(飲食・理容・エステなど)の割合が高く、若者向けの”おしゃれ”な店、経営者の年齢層も若く(30歳代以下が27%)、休日型・昼間型で、1996年以前からの営業は半数以下、上記に比較して少ない。上掲資料では「広域拠点」の裏通りなどで開業し、成功すれば上記類型にステップアップするような感じです。この二つの類型がセットになって、広域拠点が”持続可能”になるのかもしれません。
 たしかにここに示された事例ではこうした説明が可能なんでしょが、県庁所在都市の”衰退している中心商店街は何をすべきか(少なくない数ありますから)”、この問にどう答えるかが問題です。つまり「こうした類型(ビジョン)実現に向けて商店街は何をすべきか」(商店街政策)を明示することですが、白書からそれを読み取ることは難しいように思います。

2.活力を維持している商店街の類型(2)ーテーマ型、生活密着型ー

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 「テーマ型」でも2商店街、長浜はガラス工芸(昭和62年開業、(株)黒壁設立、来館者200万人前後)、境港市中心市街地「水木ロード商店街」は鬼太郎などです。平成5年オープンで平成6年の入れ込み客数28万人が平成17年には85万5千人だそうですから”成功”でしょう。
 しかしテーマがあれば可能でしょうが、それをどうするかが問題ですし、多くのテーマパークがそうであるように、テーマ自体の斬新性(顧客吸引力)が長期に維持可能かどうか”不確実”ですから、これにどう対応するかが課題です。
 「生活密着型」は2商店街の事例ですが、いずれも少子高齢社会対応です.青森市・新町商店街は高齢者対応(歩道拡張・段差解消・ベンチ配置・車いすトイレ・買い物宅配など)を充実させ、福島・小高町では”乗合タクシー”で来街促進”らくらく買い物、50歳代以上が中心・平日の午前中がピークの近隣型商店街です。

 この「活力維持商店街4つの類型」は、このような事例があるって意味で参考になりますが、応用をどうするかって話になるとなかなか難しいのが現実ではないでしょうか。
 「広域拠点型」ではそもそもが”大都市中心市街地内”にある商店街の話ですから、郊外型SCへの出店規制が”ほどほどある”ってことでなければ難しいと思います。今回の改正都市計画法でも「大都市圏」内でどうなるか、神奈川県でも郊外開発・MM21近傍は今後大型店の出店は激しいでしょうから、既存の中心商店街がこの「広域拠点型」をビジョンとして設定するのは難しいように思います。
 「新興集積型」も一つの方向だとは思いますが、その継続性をどう評価するかが見えません。しかし「起業促進策」「創業支援策」といった仕組みで新陳代謝を維持できれば面白いかもしれません。
 「テーマ型」は基本的に”短命”だとl思いますが、「テーマ性」を維持できいるような仕組み(ディズニーランド)があれば、面白い試みだとは思います。”ウルトラマン”(東京・祖師谷)、沖縄村なども注目しておきたいとおもいます。
 「生活密着型」これが一番の問題です。最大多数派(近隣型・地域型商店街)ですから、この”活力維持”がこれからの少子・高齢コミュニティにとっては、まさに”暮らし”の維持のためにも重要です。本再生シリーズで”CRM”(課題解決型商店街マーケティング)を問題にするのも、まさにこの商店街の活力維持問題だと筆者は考えています。コミュニティ志向の商店街活動の議論も、この活力維持にとってより重要だと思います。
明日からお出かけですので、今週はこれまでといたします。次の月曜日が次回です。勉強してきます(???)。



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