2008/7/12  19:19

レガッタ  趣味


今週もアメリカのマーケットが荒れた。
市場のセンチメントは不思議なもので、巷間言われるように自己実現的(self-fulfilling)だ。
悪くなるとの不安は、現実を本当に悪化させるし、
良くなるとの期待は、現実を本当に改善させる。
これは市場のみならず、人生においてもあてはまる法則だと僕は勝手に思っている。
そういう意味で根っからの楽観主義者(optimist)だ。

マーケットだけを見ているわけではないが、マーケットが荒れると、いきおい僕の生活のペースも加速する。
ようやく迎えた週末。

日頃お世話になっている、議会、政府、プレス関係者をBBQでもてなした後、車を飛ばす。
歴史あるNAVY YARDの敷地内に車を停め、ボートハウスへ向かう。

そう、今日はボートレース。
いわゆるレガッタだ。

この一週間メンバー間でメールがやたらと飛び交っていたが、僕は忙しかったのでろくに目を通していなかった。
したがって、正直何のレースなのかも良くわかっていない(レース後の今も)。

レースの名はCapital Sprint。
名前の通り、短距離レース。
通常、ボートは2000Mの距離を競うのだが、今回はその半分の1000M。
昼過ぎから始まった大会のトリのレース。
通常の大会だと最速とされる男子の8+(エイト)のレースが多いのだが、僕らが最後になったのは、単にMIX(男女混合)のレースであるというだけの理由。

4時20分スタートなので、3時頃に到着し軽くウォーミングアップ。
3時40分頃、皆が集まる。
男女それぞれ4人ずつ。
今日の面子の平均年齢は、いつにもまして高い。

60歳代2人(男×2)
50歳代3人(男×1、女×2)
40歳代1人(女×1)
30歳代2人(僕、女×1)
因みに今日の人種構成は、白人、インド人、日本人。

艇を船台まで担ぎ、オールをセットして岸蹴り。
軽いウォーミングアップとスタート練習を終え、スタート地点に到着。
風は逆風だ。

風の向きはオアーズマンにとって死活的に重要なレース・コンディションだ。
逆風だと、ブレードを水に入れた瞬間に水を固め易い反面、相当重くなる。
当然のことながら、レース時間も長くなる。
要すれば、苦しむ時間が増えるということを意味する。

さて、スタート地点で横に目を向けると、予想していた以上に他のクルーの年齢が若いことに驚く。
20代後半から30代前半で固めている。
女性の手足も筋肉質で引き締まっているのが分かるくらいだ。

そこでようやく気付いた。
出艇前にレース表を見ると、各クルーの名前の下にA〜Fのアルファベットと0〜30の数字が記されていた。
これは、クルーの実力とハンディキャップ(秒数)であったのだ。
確か横のクルーの名前の下にはAと0(零)が書かれていた。
納得。

まあ、他のクルーにどうしても勝たなければいけないというような緊迫感は僕のクルーには元々なかったので、今回のレースについて、相手との勝負は二の次だ。
クルーの仲間が思っていることは、「楽しむこと」と「自分の全力を出し切ること」。

風が強かったため、スタート地点について間もなく、スタートのコールがかかる。

“Attention, Go!”

スタート5本で立ち上げ、ハイピッチ10本の後、コンスタントへ。
最初の30秒くらいで視界から相手が消える。
そう、ボートは進行方向に向かって後ろ向きに座って漕ぐので、遅いクルーは速いクルーの姿を見えない。
逆に速いクルーは遅いクルーを見ながら漕げる。
今日は、ダンディーなクルーキャプテンが来ているので、僕はストローク(クルーの中で一番前で漕ぐ人)ではない。
ストロークに座ると、漕ぐリズムを作っていかねばならないので結構しんどいが、今日は彼に合わせつつ、思い切りオールを引く。

最近レースから遠ざかっていたので、1000Mといえど、異様に長く感じる。
500M地点で手足に乳酸がたまり、痺れ始める。
そこで、コックスからPower 10(クルー全員が力を込めてオールを引くこと)のコールが入る。
競馬の騎手が馬に鞭を10発入れるイメージだ。
そう、僕らは馬なのだ。

グンッ!
艇が一気に加速する。

正直愕然とした。
僕より明らかに体力がないと思われるおじちゃんとおばちゃんの底力。
前に座っている70歳近いおじちゃん(おじいちゃん?)は手足が皺くちゃなのだが、信じられない勢いでモリモリ漕いでいる。
日本に、こんなにパワフルな60〜70歳のおじちゃん、おばちゃんはいるだろうか?
日本ももっと元気な国になるべきなんだ。
そんなことを頭の片隅で考えつつも必死で漕ぎ続ける。

ラストで後ろに座っているおばちゃんから気合の入った叫び声が聞こえる。
僕も無我夢中で何を言っているのか聞き取れないが、おばちゃんが頑張っていることだけは分かる。

コックスの女性(30代)も「今日のあなたたちはperfect, excellent!そして、 すぐそこに相手がいるわよ!」と僕ら8人のクルーが後ろを見えないことをいいことに、明らかな嘘を並び立てる。
が、苦しい時はそんな声でも助けになる。

さすがにゴールした直後はみんな声を発することもできないほど疲弊していたが、クールダウンの後、艇庫に戻って、互いに、「Good Job!」。

オールは少しバラバラだったが、心は一つになった。

終わった後はBBQ。
本日2回目なのでさすがに遠慮して帰宅。
今から浴衣クルーズに出発だ。
今日は一日が長い。


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(大会風景その1)


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(大会風景その2)


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(レース表。極めてシンプル。)


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(僕らが乗ったエイト)



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