2008/2/8  2:05

【衝撃】空閑文庫  事件

バイトの面接があったので淀屋橋まで定期で出て、そこからぷらぷら天神橋まで歩いた。行きたいと思っていたポルトガル料理店の前を通り過ぎ、天神橋商店街へ。目的地を発見して、まだ45分程時間が余っていたので、以前から気になっていた天神橋一丁目にある空閑文庫(くがぶんこ)へ。

衝撃。

まず、扉を開けると玄関があり、どこかから寄せ集めてきた種々雑多なスリッパが3足並べられている。無造作に置かれた古いタイプライター、本、本、本、とにかく希少本の洪水である。マンディアルグの『黒い手帖』、ブレヒトの『屠殺場の聖ヨハンナ』、とにかく美しい装丁の函本が狭い店内に溢れていた。おっちゃんの本に対する熱い語りを聞くこと30分、文庫本はダメである、若い人には特に言いたいけど、ちゃんとした単行本を買うべきだ、本というのは装丁も含めて雰囲気があるからそれをわかって欲しい、ちゃんとした本を持って欲しい、などなど。バイトの面接の時間に遅れるくらい聞き入ってしまったけど、一日中でも話していたかった。空閑文庫(=おっちゃん)との出会いは私の人生に衝撃を与える事件で、時間があるだけ通いつめようと思う。

バイトの面接には少し遅れたけど万事OKで、すでに確定の仕事をいくつか貰った。面接後、3丁目の天牛書店へ。100円コーナーで函本を二冊、大枚とまでは行かなくとも数枚のコインをはたいてボリス・ヴィアンの『心臓抜き』を購入。最近早川epi文庫からから出ていますがそれではなくて、白水社から出てるバージョンです。お買い得だと思います。おっちゃんの言っていたことが頭にあって、文庫本には手が出なかった。『分裂病者のダンスパーティー』『猥色文化考』など気になる本がたくさん。服買わずに本を買おう。帰りにハナ書房に立ち寄る。瀧口修造の『点』『余白に書く』など、垂涎物の函本がずらり。函から出すのも恐ろしくて、値段確認できず。小心者。恐らく確認できたところで買えない代物であるに違いないのだが。しかし中身が見たかった…。

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それにしても、どこに行ってもマキノ雅弘関連の本が置かれている。生誕100周年でWOWOWでも特集が組まれていたけど、大大阪ブームもマキノ再考の火付け役を担っている模様。こないだ観た『人生とんぼ返り』('55)には宗右衛門町の橋が写ってて、「そうか50年前の宗右衛門町はこんなんやったんんかぁ」と感心してしまったが、よく考えたら舞台は大正末期、セットなのであった(当たり前)。いやしかし、大正末期の宗右衛門町はああだったに違いない、ああ違いない。
『人生とんぼ返り』の市川段平もそうだけど、『夫婦善哉』の柳平にしろ、結局ダメ男、ダメンズ文化(?)って昔からあるんじゃない、って思うのは私だけだろうか。以前に「ダメ」発言で反省して以来、自分以外に「ダメ」を使わないようにしているが、心の方はどうもダメだ。心の幅を持ちましょう。

帰りに天神さん名物?焼きおにぎりサンドを家へのお土産に購入して、雨に打たれながら先週のバイトのお給料を受け取りに北新地から福島方面へ歩く。相変わらず何をしてても思うのは前の恋人のことで、あの場所に連れて行ってあげたいとか、連れて行ったら嬌声を発するだろうとか、そんなことばかり。雨の日は特に思い出してしまう。いつになったら思い出が薄れてくれるのか、次に恋人が出来たら忘れられるんだろうかとか、つれづれに思う。


空閑文庫さんで検索かけていたら、フォークの神様岡林信康の、次のような詞を発見。


ぼくは前なんか向いて生きたくない

うしろを向いてめそめそしたいんだ

それがぼくにとっていきることなんだ

それはぼくのうしろに未来を生み落としたいため


『絶望的前衛』岡林信康より



そういうことなのかもしれません。

******

追記

角川文庫から発行されていた草間彌生の『マンハッタン自殺未遂常習犯』がオークションに出てる。。。

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しかも安い!気になる。



2008/9/5  19:29

投稿者:エリンギ

空閑のおっちゃん曰く、「倉庫にはここの何倍もの本がある」。瀧口修造の『点』、空閑にもあったんですね。あれはもう、見るための本って風情ですよね。「地球空洞説」の黒い紙面に黒い活字、それはもう芸術の域でしょうね。あぁ、ナマで見たいなぁ…。こうやって「現物を見たい」と思わせるところがハードカバーの芸術美を高めている重要な部分でもあるのでしょう。
おっちゃんに「何か探してるの」って問われて一応答えはするんですけど、別段これといって探しているものがあるわけじゃなくていつも困っていました。しいて言うなら「グッとくるもの探してるんです」という感じでしょうか。また行きたいなぁ、空閑文庫。偶然でもお会いできるといいですね、、、ってあの狭さでお会いしたらお互い本に集中できませんね(笑)でも、もしかしたらどこかで。

2008/9/5  3:49

投稿者:針男

私も本はモノとして好きです。文庫にも美のあるものはありますが、やはりきちんとしたハードカバー、装丁の美しさだって楽しみたい。作る側もその喜びなくして何ほどのものぞ。空閑文庫、滝口修造「点」もあるし読むを拒絶してんのかっていう黒い紙面に黒い活字の「地球空洞説」(だったか?)もあった。黒いやつ、やはり限定本で高くて手が出ませんでしたが。とにかく所狭しと本が山積み、けもの道をくぐって渉猟。私は洪積世とかカンブリア紀とか密かに呼んでます。なかなか発掘できませんね。

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