2008/10/8 0:38
カニッツアの三角形 日記
先日、都庁舎前広場にある「アダムとイブ」(池田宗弘)の作品前で記念写真を撮っていたとき、池田氏があの赤いアーチは井上武吉の作品で、知事室からみると弧を描いた建設の庁舎の離れている空間の部分がこのアーチによりつながって見えるようにできている・・・?というようなことをおっしゃっていた。私は、すぐに「カニッツアの三角形」を思い浮かべた。「主観的輪郭」ということだ〜、そうなんだ〜とあらためて感心して大きく眺めた。そして、知事室からみてみたいなと思ったのでした。
都庁に勤めている友人がいつでも庁舎内を案内してくれるといっていたが、庁舎内をみてもしょうがない(ごめんなさい)と思っていた。でも、急に友人に連絡を取って案内していただこうと決めた。
以前、「カニッツアの三角形について」を脳科学のミニレポートしたことがあった。なつかしく、見つけたのでここにアップしよう。存在しない図形の輪郭が見える現象をイタリアの心理学者のカニッツア「主観的輪郭」によって興味を覚えたことでした。
ある出来事から、いろんなことがつながって楽しい毎日です。いろんな出会いに感謝、感謝!
<脳科学ミニレポート> 〜 カニッツアの三角形について 〜
脳の認知メカニズムの視覚情報に、視覚の錯覚−錯視『カニッツアの三角形』がある。
形に関する情報は、大脳皮質の領域で処理される仕組みになっている。視覚野と視覚連合野に並列系があり連絡し合っている。V1とV2の間には情報の照合が行われる。
V2は、ある図形(主観的な輪郭を生ずる例)を見たときに、周りの図形パターンの影響などによって三角形の輪郭があたかもあるように認識する「主観的輪郭」の知覚と関係している。この存在しない図形の輪郭が見える現象が『カニッツアの三角形』である。
視覚情報の並列系の中でV1やV2との情報の不一致を照合しながら情報の修正が行われる。この不一致の典型的な例は、V1とV2の間の例で、カニッツアの三角形のような錯視輪郭がV1とV2のデータの不一致から生じる。この三角形を作る線分が不完全であるにもかかわらず、正常な人間はこの図形の中に三角形を知覚する。(三角形の幻想)
つまり、脳は線分のないところに線分を作り出しているのである。ここで、V1の形選択性細胞は錯視に反応しないし、線分がなければ線分があるとの信号を出さない。一方、V2はV1から入力信号を受けているが、V2の細胞はV1より受容野が大きく分析機能が発達しているので錯視に反応する。即ち、V2の細胞は線分が存在すると「推測」している。ニューロン集合体は浮き上がって見える三角形を作り出し、これは目からの客観的な手がかりと三角形があるのではという期待とが結合してできた完全に主観的なイメージである。(奥行きの知覚に関係する不思議な明暗の対比で三角形は背景より明るく見えることにも注目される)V1とV2のこの不一致を解決するために、V2の細胞はV1の対応する細胞に向けて再回帰信号を返している。視覚情報を統合するには各領野間で双方向に情報をやりとりするための再回帰結合が必要である。処理能力の異なる細胞同士が同じ刺激に反応すれば当然、細胞間で処理結果が一致しないが、この不一致を再回帰結合が解決してくれる。このように処理結果の不一致の調整がなされるのである。
参考文献 久住眞理ほか(編)『心身健康科学研究へのアプローチ』(人間総合科学大学,2004年)
T.B.チェルナー(著)・新井康允(訳)『心の棲である脳』(東京図書,2003年)
川島隆太(著)『高次機能のブレインイメージング』(医学書院,2002年)
ロジャー・N・シェパード(著)『視覚のトリック』(新曜社,1993年)
椎名 健(著)『錯覚の心理学』(講談社現代新書,1995年)
今井省吾(著)『視覚図形』(サイエンス社,1984年)
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