2008/6/12  12:51

Ingrid Heuser  文化・芸術

えーい 勢いアート系3連荘。
とは言え、今回はまだ恐らく無名に近い、
ドイツ人女性アーティストの
Ingrid Heuserさん!

私が彼女に出会ったのは、遡ること10年前、
新進服飾デザイナーとしてスタートを切った、
友人Cさんの仕事(雑務全般)を
手伝っていた時のことだ。
都内某所で開かれた
Cさんのブランドの新作展示会に、
背の高い、外国人女性がフラリと入ってきた。
伸ばしっぱなしのブロンドの髪と
どこか貫禄のある風貌は
いかにもアーティストだが、
物腰は ごく丁寧で柔らかい。
日本に長く住んでおり、言葉も堪能であるらしい。
それがIngrid Heuserさん だった。

しばらくして、Cさんの友人でもある
あるギャラリストから、
Ingrid Heuserの 展覧会DMを数枚、
譲って頂いた。
薄紫の地に、黒鉛と赤茶色の絵の具が滲む、
さなぎのような物が描かれた、
繊細な水彩画が1枚。
他の数枚は、木やファブリック(フェルト)、
紐、紙(蝋で表面がコーティングされて
いるように見える)、
昆虫、瓶や きのこなどを
寄せ集めるようにして作られたオブジェだった。
その作風や 使用している素材からも、
彼女がヨーゼフ・ボイスに
心酔していることは明らかで、
視覚的な不快感スレスレのところに、
それらは皆、あった。
しかしながら、
画廊の中に一人ひきこもって
死んだウサギに向って語りかけ続けるという
パフォーマンスで世の度肝を抜いた
狂気のオッサンJoseph Beuysに比べれば、
(スイマセン、別にけなしてるわけでは
ありません!)、
Ingrid Heuserの作品は 遥かに繊細で美しく、
私は それら数枚のハガキに
すっかり魅せられてしまった。
以来、大事に大事にファイルして
整理棚の中にしまっている。

で、この間 ふとまた
それらを棚から取り出してみて、
彼女が一体どういう人なのか、
どういう意図でこれらの作品を作ったものなのか
全然知らずにいたことに やっと気がついた(!)
というわけで、
今更ながら、ネット中ブラウズして
大調査開始ですよ。
でも、いかんせん情報が少なすぎ(泣)。
彼女自身が作成したとおぼしきHPは
あるにはあるんだけど、
その内容のほとんどがドイツ語で書かれているから
読めないし。。
僅かに、1997年付けのJapan Timesの記事と、
2000年の立川芸術祭に参加した際の記事を
発見したのだが、
そこから推し量るに、
Heuserさんはドイツのハノーバー近くにある
Alfeldという町で生まれ、Wiesbadenで育った。
お父さんは「女を教育するのは時間の無駄」
という、前時代的な発想の持ち主で、
Heuserさんも 早くに学校を去ることを
余儀なくされたものらしい。
しかし、その後彼女は自力で
法律、社会心理学、更には美術を学ぶ。
中でもJoseph Beuysに大変な感銘を受け、
彼の哲学の忠実な継承者たらんとしている
節も見られる。

アジア圏では他に
インドネシアにも滞在したことがある彼女だが、
彼女が日本に対して最初に受けた印象は散々だった。
多くの外国人同様、
彼女もガイジンである自分と、日本との間に、
何らかの壁を感じた
(殊に、某大学の彫刻科に進むにあたって、
「ファブリックを使用した彫刻を作る」ことを
許されず、退学することとなった )ことが、
”日本=冷たい、難しい国”という
印象をもたらしたものだったらしい。

しかし、不思議なことに、彼女はその後
合計して 10数年に及ぶ長い期間を
その”難しい国”にある、
逗子の茶室に暮らすこととなる。
この辺のガッツは、子供時代に早くから
学問を諦めることを強要され、
それでも 自力で勉強を再開したという
彼女のバックグラウンドとは無関係ではなさそうだ。
そう言われてみればナルホド、
この時期に多く作られた、
何か蝶のさなぎのような、変態前の昆虫のような
不思議なオブジェの数々からも、
そうした閉塞感(外郭)を打ち破らんとする
独特のパワーと、うちに秘めた繊細さが
感じられる。
しかも そのオブジェは、石や金属のような
永続性を約束されるものではなく、
時間と共に いつかは変容し、
朽ちていくもので作られているのだ―。
最早、Joseph Beuys云々・・・というよりも、
彼女自身のパーソナルな物語が
そこから 読み取ることが出来て、
大変 興味深い。

Ingrid Heuserさんが その後どうしているのか、
ハッキリとしたことは 私にはわからない。
恐らく、ドイツへ戻られた今も、
美術活動を続けていらっしゃるのだろう。
彼女の益々の活躍を祈りつつ。。。

■大事に取っておいた ハガキたちを

クリックすると元のサイズで表示します
Ingrid Heuserさんの貴重な展覧会DMたちです。
ぽちっと。



2008/6/18  19:59

投稿者:枝子

葉書を大事とってあったもりをさん、エライ
!!こういうのって出逢いですよ〜。
それに、よく2000年まで追いかけました
ね〜。もう、美術評論家の肩書きあげちゃい
たいくらい♪私も絵本の画家さんで色々調べ
てみることあります。でも、その後、ってな
かなか掴めないですよね。

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