2007/6/29 23:20
もう一度あの頃のように 心の友
「セックスは格闘技だ!」
場末の飲み屋でそんな力説されても困るんですけど、とにかくその時の彼の眼差しはかつて田村が高田に真剣勝負を挑んだ時のそれと同じ種類の炎を宿していた。
彼の名は宮田。かつて名うての風俗ファイターとして鳴らした彼が結婚したのは3年前のことになる。東のはんずぃ(仮)、西の宮田といえばごく一部の間では有名で、皇帝、マエストロ、人類のクズetc…様々な異名を欲しいままにした、まさしく生きる伝説とも言える存在だ。
どちらかといえば理論派の僕と違って実戦主義を貫く彼のスタイルは突撃あるのみ。一切の情報誌を見ずに直感で選んでその場で入店。予約なんてもってのほか。そして風俗で鍛え上げたテクニックを合コンで知り合ったおねーちゃん相手に披露する、という男にとって理想とも言えるスタイルを築き上げたのだった。
似て非なる者同士、何となく馬が合った僕達は幾度となく戦場を共にしたことがあるのだけれど、一番驚いたのは、彼はスパーリング相手に店で一番のブサイクを指名することだ。
僕なんかは一回のスパーを可能な限り内容の濃いものにしたいという想いがあるから、そのための情報収集は欠かさないし、相手にだってそれ相応のレベルを求めてしまう。これは僕に限らず風俗ファイターなら誰もがそうじゃないかと思う。
しかし彼は違った。彼にとって風俗はあくまでトレーニングにすぎないのだ。
「ブサイクの方が訓練に集中できるから」
僕の素朴な疑問に対する彼の言葉がそれを如実に表している。聞くところによると彼は全盛期、週7回のスパーリングと週2回の実戦を繰り返していたという。
そのせいで彼の財政状況は常に北朝鮮人民並に破綻していたのだけれど、そんな彼も3年前の結婚を機にこの世界から足を洗い、陽の当たる世界へと歩み始めたのだった。
そんな宮田とこうして酒を酌み交わすのは果たして何年ぶりのことになるだろうか。少々恰幅のよくなった胴回りと薄くなり始めた頭髪が、2人の間の時間の流れを否応なく感じさせた。
本当はこの後感動の再会場面から涙なしでは語れないような母への想い、16小説のラブストーリーなど盛りだくさんの内容なのですけどさして面白みのある話でもないので割愛。
で冒頭の台詞に戻るのだけれど、
「セックスは格闘技だ」
これは彼の昔からの持論でして。スピード、パワー、テクニックの高次元での融合、打撃・関節・投げ等あらゆる技術の応酬など共通する部分が多いとのこと。
彼と僕とのもう一つの共通点、それが格闘技好きであるということなんですよ。僕はどちらかといえばプロレス寄りなんですが彼は根っからの格闘技好き。
「俺はとことんまで責め抜きたい、責めて責めて、そして勝つ!その上で自分も相手も納得できる試合ができれば最高じゃないか!」
格闘技好きの彼らしい表現だ。
「でもな…なんか最近違うんよ。俺と嫁さんは…敢えて言うなら桜庭とシウバみたいな関係だと思ってたんだよ。リングに上がれば全力で戦うけどリングを降りたら一緒にトレーニングするみたいな」
それって夫婦でってことは巷で言うところのカップル喫茶とかスワッピングとかなのか?数多の風俗を経験してきた僕でもこればかりは未経験。さすがに相手がいないと無理ですし。まさか既に経験済みなのか?高まる期待。盛り上がる股間。
「だけどそのなんていうか…嫁さんがな、それこそ最近の桜庭みたいになってきた」
その後も管を巻くばかりで全く要領を得ないので要点だけまとめると、どうやら最近彼の嫁さんの試合内容が非常に悪いらしいのです。具体的には
@動きが遅い
Aクリンチが多い
Bテイクダウンを取れない(取らない?)
C勝つ気が感じられない
というようなことらしいです。
ちなみにその過程で
「まぁまずはこう、抱き寄せるわけよ」
「ほうほう」
「それからこうおっぱいを…」
などと、あいにくとここでは書くことができないような話を聞く事になりまして、しかも彼の嫁さんてのが結構な容姿の持ち主でしていろんなことを想像して割と興奮したのはここだけの秘密です。
「でも、それはほら、桜庭だってもう膝がボロボロなわけだしそろそろ引退も視野に入ってるだろう」
「嫁さんまだ28だぞ。桜庭は確かそうだけど嫁さんの場合、精神的なもんだと思うわけよ。端的に言うならモチベーションの低下ってやつ。てことはそれなりの原因が考えられるわけだ」」
そこで彼が挙げた原因として考えられるものが宮田自身の技術不足。
「俺と試合をするうちに、嫁さんの技術レベルも上昇してしまったんだと思う。ひょっとしたら俺よりも上なのかもしれない。なら、俺はどうすればいい?」
こういう時の相談てのは本人の中では結論が出ている事が多いんですよね。ただ、きっかけが欲しくて、背中を押してくれるのを望んでいるだけの場合がほとんどです。それを踏まえれば、何故今夜、昔の友人と会おうとしたのか。そして何故、その相手が僕だったのか。彼がそれを望んでいたことは一目瞭然だった。
もう一度、あの頃のように。
居酒屋を出た僕達の足は、自然と歓楽街へと向かっていた。ロクに会話もなく、明確な意思表示はなかったけれど、古い友人として彼の望みを叶えてあげる事が必要である、そう感じ取ったからだ。
ほどなくして、僕達は最近駅前に出来たばかりのシュートボクセに出稽古することにした。彼にとっては3年ぶりの、僕にとっては…野暮なことはおいておこう。互いに状況が変わったとしても、こうして分かり合える。これ以上に素晴らしいことなどありはしないのだから。
3年ぶりのスパーに緊張した面持ちの宮田であったが指名したのはマイティー・モーみたいなスーパーヘビー級であった。敢えて詳細は聞かなかったが、彼の表情から察するに満足のいくスパーができたのであろう。彼等夫婦の少しは役に立てたのかな、そんな暖かな感情が、僕の心を満たしていた。
その後、彼からの連絡は途絶えた。
場末の飲み屋でそんな力説されても困るんですけど、とにかくその時の彼の眼差しはかつて田村が高田に真剣勝負を挑んだ時のそれと同じ種類の炎を宿していた。
彼の名は宮田。かつて名うての風俗ファイターとして鳴らした彼が結婚したのは3年前のことになる。東のはんずぃ(仮)、西の宮田といえばごく一部の間では有名で、皇帝、マエストロ、人類のクズetc…様々な異名を欲しいままにした、まさしく生きる伝説とも言える存在だ。
どちらかといえば理論派の僕と違って実戦主義を貫く彼のスタイルは突撃あるのみ。一切の情報誌を見ずに直感で選んでその場で入店。予約なんてもってのほか。そして風俗で鍛え上げたテクニックを合コンで知り合ったおねーちゃん相手に披露する、という男にとって理想とも言えるスタイルを築き上げたのだった。
似て非なる者同士、何となく馬が合った僕達は幾度となく戦場を共にしたことがあるのだけれど、一番驚いたのは、彼はスパーリング相手に店で一番のブサイクを指名することだ。
僕なんかは一回のスパーを可能な限り内容の濃いものにしたいという想いがあるから、そのための情報収集は欠かさないし、相手にだってそれ相応のレベルを求めてしまう。これは僕に限らず風俗ファイターなら誰もがそうじゃないかと思う。
しかし彼は違った。彼にとって風俗はあくまでトレーニングにすぎないのだ。
「ブサイクの方が訓練に集中できるから」
僕の素朴な疑問に対する彼の言葉がそれを如実に表している。聞くところによると彼は全盛期、週7回のスパーリングと週2回の実戦を繰り返していたという。
そのせいで彼の財政状況は常に北朝鮮人民並に破綻していたのだけれど、そんな彼も3年前の結婚を機にこの世界から足を洗い、陽の当たる世界へと歩み始めたのだった。
そんな宮田とこうして酒を酌み交わすのは果たして何年ぶりのことになるだろうか。少々恰幅のよくなった胴回りと薄くなり始めた頭髪が、2人の間の時間の流れを否応なく感じさせた。
本当はこの後感動の再会場面から涙なしでは語れないような母への想い、16小説のラブストーリーなど盛りだくさんの内容なのですけどさして面白みのある話でもないので割愛。
で冒頭の台詞に戻るのだけれど、
「セックスは格闘技だ」
これは彼の昔からの持論でして。スピード、パワー、テクニックの高次元での融合、打撃・関節・投げ等あらゆる技術の応酬など共通する部分が多いとのこと。
彼と僕とのもう一つの共通点、それが格闘技好きであるということなんですよ。僕はどちらかといえばプロレス寄りなんですが彼は根っからの格闘技好き。
「俺はとことんまで責め抜きたい、責めて責めて、そして勝つ!その上で自分も相手も納得できる試合ができれば最高じゃないか!」
格闘技好きの彼らしい表現だ。
「でもな…なんか最近違うんよ。俺と嫁さんは…敢えて言うなら桜庭とシウバみたいな関係だと思ってたんだよ。リングに上がれば全力で戦うけどリングを降りたら一緒にトレーニングするみたいな」
それって夫婦でってことは巷で言うところのカップル喫茶とかスワッピングとかなのか?数多の風俗を経験してきた僕でもこればかりは未経験。さすがに相手がいないと無理ですし。まさか既に経験済みなのか?高まる期待。盛り上がる股間。
「だけどそのなんていうか…嫁さんがな、それこそ最近の桜庭みたいになってきた」
その後も管を巻くばかりで全く要領を得ないので要点だけまとめると、どうやら最近彼の嫁さんの試合内容が非常に悪いらしいのです。具体的には
@動きが遅い
Aクリンチが多い
Bテイクダウンを取れない(取らない?)
C勝つ気が感じられない
というようなことらしいです。
ちなみにその過程で
「まぁまずはこう、抱き寄せるわけよ」
「ほうほう」
「それからこうおっぱいを…」
などと、あいにくとここでは書くことができないような話を聞く事になりまして、しかも彼の嫁さんてのが結構な容姿の持ち主でしていろんなことを想像して割と興奮したのはここだけの秘密です。
「でも、それはほら、桜庭だってもう膝がボロボロなわけだしそろそろ引退も視野に入ってるだろう」
「嫁さんまだ28だぞ。桜庭は確かそうだけど嫁さんの場合、精神的なもんだと思うわけよ。端的に言うならモチベーションの低下ってやつ。てことはそれなりの原因が考えられるわけだ」」
そこで彼が挙げた原因として考えられるものが宮田自身の技術不足。
「俺と試合をするうちに、嫁さんの技術レベルも上昇してしまったんだと思う。ひょっとしたら俺よりも上なのかもしれない。なら、俺はどうすればいい?」
こういう時の相談てのは本人の中では結論が出ている事が多いんですよね。ただ、きっかけが欲しくて、背中を押してくれるのを望んでいるだけの場合がほとんどです。それを踏まえれば、何故今夜、昔の友人と会おうとしたのか。そして何故、その相手が僕だったのか。彼がそれを望んでいたことは一目瞭然だった。
もう一度、あの頃のように。
居酒屋を出た僕達の足は、自然と歓楽街へと向かっていた。ロクに会話もなく、明確な意思表示はなかったけれど、古い友人として彼の望みを叶えてあげる事が必要である、そう感じ取ったからだ。
ほどなくして、僕達は最近駅前に出来たばかりのシュートボクセに出稽古することにした。彼にとっては3年ぶりの、僕にとっては…野暮なことはおいておこう。互いに状況が変わったとしても、こうして分かり合える。これ以上に素晴らしいことなどありはしないのだから。
3年ぶりのスパーに緊張した面持ちの宮田であったが指名したのはマイティー・モーみたいなスーパーヘビー級であった。敢えて詳細は聞かなかったが、彼の表情から察するに満足のいくスパーができたのであろう。彼等夫婦の少しは役に立てたのかな、そんな暖かな感情が、僕の心を満たしていた。
その後、彼からの連絡は途絶えた。
2008/2/10 8:38
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2008/1/25 19:46
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2007/7/7 0:23
投稿者:はんずぃ(仮)
>☆うさん
それは敢えて伝えなかったんですが、やっぱりそうですかね。でも飽きたものに再び興味を持たせるのってメチャメチャ難しいと思うんですが。
それは敢えて伝えなかったんですが、やっぱりそうですかね。でも飽きたものに再び興味を持たせるのってメチャメチャ難しいと思うんですが。
2007/7/2 10:59
投稿者:☆う
なかなかな薀蓄ではあったけど、嫁のモチベーションが落ちてるのは、技じゃないよ、きっぱり。
旦那に飽きてるからだよ。
いくら訓練積んで技の手数を増やしたって同じだと思うわ。メンタルな部分で萌えないんだから。
旦那に飽きてるからだよ。
いくら訓練積んで技の手数を増やしたって同じだと思うわ。メンタルな部分で萌えないんだから。
